八幡野
人は誰でも体の中に海を持っています。
人だけでなく陸上に生きる生命すべては
体の中に海を持っています。
それは母なる生命の海から離れて生きるためなんです。
海から離れて生きるため生命は
体の中に海を持つことで陸上に進出することが出来ました。
海に潜ると里帰りにも似た感覚を持つのは、このためなんですね。
オオパンカイメン
海の生き物は不思議がいっぱいですね。このオオパンカイメンはこれでも動物です。海綿動物という種類の動物なんです。海綿動物は入水孔と出水孔から海水を出し入れして、海水中のプランクトンなどの微小な生物を体内で捕らえエサとしています。
海綿動物は最も原始的な多細胞動物といわれます。はじめて多細胞の動物が誕生した時、動物はこの海綿動物のような生態だったそうです。わたしたちもおおもとをたどっていくと、ここに行き着くんですね。
ムラサキハナギンチャク
イソギンチャクは刺胞動物という種類の動物です。刺胞動物は海綿動物が進化した動物で、最初に筋肉と神経を持った動物です。わたしたちの筋肉や神経は基本的なところで、この刺胞動物と同じです。
でも、刺胞動物も太古の昔から変わってこなかったわけではありません。わたしたちの祖先と枝分かれしてからも、進化を続けイソギンチャクの他に、クラゲ、サンゴ、ウミトサカといった種に別れ、それぞれの環境に適応していきました。
ちなみに、イソギンチャクを逆さにして海面に浮かべるとクラゲにとてもよく似ていると思いませんか?同じ刺胞動物だからなんです。
この写真は大瀬崎で撮ったもので特別出演してもらいました。
トゲトサカ
きれいですね。でも、これも刺胞動物です。
これでもサンゴの仲間なんです。ソフトコーラルとも呼ばれます。
ミダレカメノコキクメイシ
舌かみそうです。
こっちはもう熱帯の海でおなじみのサンゴと同じイシサンゴです。ハードコーラルとも呼ばれます。伊豆でも見られるんですよ。
シロガヤ
白い部分がそうです。もうほとんど植物のように見えますが、これも刺胞動物です。
刺胞動物はは毒の入ったトゲ細胞を触手の中に持っています。この器官はカプセル状をしていて刺激を与えるとカプセルの中から糸上のトゲが出てきて、刺激を与えた相手に刺さります。こうやってエサとなる生物を麻痺させて捕らえるのです。
とくにこのシロガヤの毒は強烈で、人がさわると赤くなって、みみず腫れになってしまいます。1週間以上かゆみが止まらなくなってしまうので絶対さわらないで下さい。
マナマコ
刺胞動物と脊椎動物をむすぶ、その間に棘皮(きょくひ)動物がいます。棘皮動物の仲間にはヒトデ、クモヒトデ、ウミシダ、ウニ、ナマコなどがいます。
このマナマコも棘皮動物の一種です。
棘皮動物から脊索(せきさく)動物が進化し、さらには脊椎動物へとつながっていきます。
今回は脊索動物は紹介できませんが、いずれまた紹介したいと思います。脊索動物の仲間にはホヤやサルパなどがいます。わたしたちからはイカ(軟体動物)やカニ(節足動物)なんかより、ホヤのほうが近い親戚なんですね。
ナヌカザメ
ようやく脊椎動物です。ここまでくると普通の感覚で動物らしくなってきますね。サメやエイの仲間は軟骨魚類と呼ばれます。軟骨魚類は体内の骨格がほとんど軟骨からなっている魚で、およそ4億年もの昔から地球で生きてきた生き物なんです。
ちなみにサメは浮き袋を持っていません。その代わりに巨大な肝臓をもっています。その巨大な肝臓に油を貯めることで浮き袋のかわりにしているんです。油は水より軽いですからね。肝油ってこの油のことなんですよ。ってことはサメはみんな脂肪肝なんですね。
ナヌカザメ2
アップで撮ってみました。目をつぶってぐっすり眠っていました。
ナヌカザメのオスは他の軟骨魚同様交接器というおちんちんをもっていてメスと交尾をします。そして卵を産みます。でも、他の魚のように何百、何千という数の卵を産むことはありません。少数精鋭の生き方を選んだんですね。
ドチザメ
ドチザメは卵胎生で母体内で孵化して子どもが生まれます。
あと、夜行性の魚で昼間は数匹で眠っています。
この時も5,6匹が一緒に眠っていました。
ドチザメ2
アップで撮ってみました。サメっぽいですね。
でも性格はおとなしいので、ちょっかいをださなければ無害ですよ。
でも肉食魚ですからね、ちょっかいだして噛まれるとひどい目に合いますよ。あと、サメは鮫肌なんです。(いや冗談じゃなくて。)触れるだけですり傷になってしまうこともあります。そのすり傷からの出血がサメの嗅覚を刺激して攻撃を誘ってしまうこともあります。
でも、神経質になる必要はまったくありません。マナーを守ってさえいればサメと楽しい時間をすごすことができます。
キビナゴ
水面付近のキビナゴの群れがきらきら光ってとてもきれいでした。
キビナゴはイワシの仲間ですが、イワシって鰯と書きますよね。弱い魚なんです。ほとんど食べられるために生まれてきたような魚です。動物プランクトンを食べて生き、とても繁殖力が強く、いくら食べられてもいなくなってしまうことはありません。そうやって食物連鎖では上の位置にいる肉食魚を支えています。はかない生き物であるがゆえのきれいさなのかもしれませんね。
キンチャクダイ
鮮やかな色です。
どうしてこんな色をしているのかとても不思議になる時があります。
生まれた時はすべてメスで、一番強いメスがオスに性転換してハーレムをつくります。
これも不思議な生態です。私たちは、ほとんど一生同じ性で生きますからね(まぁ、そうでない人も中にはいますが)。でも、魚の街ではそれがあたりまえなんですね。
食べ物はカイメンや藻類で雑食です。
アオブダイ
口がオウムのくちばしのようです。そのためブダイの仲間は英語でパロットフィッシュ(オウム魚)などと呼ばれます。この口の奥にも食べた物をすりつぶす骨を持っていて、そのかわり胃がありません。
アオブダイは藻類を食べます。
ハリセンボン
ハリセンボンはフグの仲間です。危険が迫ると胃の中に海水を取り入れ体をふくらまし、同時に体表の「針千本」もピンと立たせます。こうやって身構えることで自分を守っています。
こういう自衛手段を持っている魚って、結構おいしいんですよね。ちなみに無毒です。
それにしてもフグの仲間って面白い形、動作の魚ばっかりですね。小さなヒレをパタパタ動かしたり、大きな目をキョロキョロさせたり。見ていてあきません。
最近、ハリセンボンが海岸に大量に打ち上げられるといった現象があちこちで起こっているようですが、海の中の世界で何が起こっているのか、少し不安になることがあります。