ベッキオ橋の夕陽

(イタリア、フィレンツェ)



ドゥオモ

フィレンツェは、オレンジ色の街だ。
家々の屋根はどれもくすんだオレンジ色で、暖かい。
壁にも、淡いオレンジ色の石が使われている。

私たちは、息を切らして教会の塔に登った。
遠くになだらかな丘が見えた。
近くには瓦の海が広がり、その中にひときわ目を引くドゥオモの屋根があった。





エンジェル

ふらっと立ち寄った街の中の教会だったと思う。
暗い電球の光の中で、小さな天使の像と出合った。
いつから、ここに置かれているのか。
この像に心を留めた人が、何人いたのか。

でも、そんなことより天使に尻尾ってあったっけ?



夕陽

フィレンツェの街を一日中歩き回った。
疲れ果てて川べりに出ると、日が沈むところだった。
穏やかな水面を、何艘もの手漕ぎボートが練習のため繰り返し往復していた。
やがて夕闇が迫り、ボートの数が減っても、このボートだけは執拗に練習を続けていた。
求道者の姿を見るようだった。




家路

街外れのボーボリ公園。
春だというのに夕暮れの風は冷たく、人々がそろそろ家路に向かう時刻だった。
地味な身なりの男が、うつむきがちに、そして足早に歩いていった。
並木の大きさと比べて、何とちっぽけな背中なのだろう。




続く









2002年 月 日(月)

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