峠の郵便局は腹一杯

(フランス、シャンパーニュ地方)

出だしは思い切り冴えなかった。
ドーバー海峡の下には、車を載せてフランスに渡れるシャトル列車が走っている。
これを使ってフォークストン(イギリス)からカレー(フランス)に渡り、そのままシャンパーニュ地方まで走る予定だった。
しかし、我が家を出発しようとすると、エンジンがかからない。
日本のJAFに相当するAAを呼んで直してもらい、数時間遅れで列車に乗り込んだ。
だが、フランスに到着して列車を降りる段になって、またもエンスト。
1台が止まると、後ろの数十台も列車から降りられない。
何度キーを回しても、かからない。やがて、イグニッションも回らなくなった。
背中には冷や汗、額には脂汗がにじむ。
数台の車からさっと男たちが出てきて車を押してくれ、何とかプラットフォームに降りることができた。
エンストで車のコントロールが効きにくく、一歩間違えば線路に転落したところだ。
この間、誰一人クラクションを鳴らさず、文句を言ってくる人もいなかった。
イギリス人の懐の深さを見た気がした。
しかし、次々と走り去る車の中からの冷たい目、目、目・・・。
これまた、イギリス人らしい。

駅の作業員がエンジンをかけてくれ、次の列車が来るまでに構内から出ろと急かしてきた。
近くのガソリンスタンドで修理工場の車を呼んでもらい、その先導で修理工場へ行き、何とか修理完了。3時間のロス。
この間、事情を伝えようと、英語をフランス語風に発音しただけの訳の判らない言葉をとにかくしゃべり続けた。それと、両手と両足(?)を駆使してのボディーランゲージ。
結局は、バッテリーがいかれていただけだったので、新品に交換。
朝、AAの兄ちゃんに「バッテリーは大丈夫か」と尋ねたら、「1時間走れば大丈夫」とはっきり言ったのに・・・。イギリス人は人の物であっても、捨てることを極端に嫌う。
修理工場で、新しいバッテリーのラベルを見ると、マニュアル指定の電圧よりも相当高かった。
それを修理工場のおじさんに伝えると(数字なので見せれば通じた)、「そうだ、それだけパワフルなんだ」と意に介さない様子。
これは、いかにもフランス人の答だ。

我々3人のシャンパーニュ旅行は、こんな事件でスタートした。
「これだけトラブルがあれば、これ以上悪くなりようがないさ」と言いながら、皆、内心は「また何か起こるのでは」とヒヤヒヤしていたはず。
結局、その後パワフル・バッテリーも絶好調で、大きなトラブルに遭うこともなく快適な旅を楽しんだ。
それでも、ランスを過ぎて丘をいくつか越え、葡萄畑の向こうにシャンパーニュ地方の中心エペルネを見下ろす場所に着いた時は、本当にほっとしたものだった。



エペルネをめざす







ふくよかな果実







おいしい峠の郵便局





ブーブ・クリコじゃないけれど・・・







2002年 月 日( )

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