大雪でした



今週前半は、今冬一番の大雪でした。
鳥取市内の積雪は約20cmでしたが、我が家の庭や駐車場の吹き溜まったところでは30cmくらい積もりました。
飛行機も欠航になり、ちょうど千葉県から遊びにきていた家族が予定の日に帰れなくなりました。
東京(羽田)からの便が、雪で鳥取空港に着陸できなかったためです。
後で聞くと、雪が多いとはいえ実際に欠航になるのは、年に数回とのこと。
不運を嘆きましたが、おかげで雪化粧した鳥取の町の見事な景色が見られたので、差引きで損得なしというところでしょうか。

今では雪も大分溶けましたが、2週間前の暖かさですくすくと育ってしまった我が家のクロッカスやチューリップの芽は、まだ残雪の下に埋もれています。
凍ったりしないんでしょうかね?

さて、我が家の庭も雪で雰囲気が一変しました。
一面白い雪にふわりと覆われたその上に、転々と小さな足跡の列が続いています。
多分、近所の猫なのでしょう。(以前住んでいたロンドンの家には、キツネやリスが出没していましたが、残念ながらここではそんな野生動物は出てきません。)
足跡のすぐ横には、バスタブほどの大きさの池ができて、そこに氷が張っています。
2週間前に土壌改良のため、穴を掘って木の枝や枯葉を埋めたところに、雨がたまったのです。
山茶花 ツバキ科
常緑樹。花期は秋から冬。
その向こうには、隣家の生垣の山茶花が赤い花をつけています。
雪自体の美しさに、氷の濃灰色と花の赤さがコントラストを添えて、平らで変化に乏しい我が家の庭も、それなりにきれいに見えます。
雪「化粧」とは、本当にうまく言ったものです。

日本の庭には、この雪がとてもよく似合います。
ずっと昔、京都に住んでいた頃は、あちこちの庭を訪ねました。
市内で一般公開している庭のほとんどに、一度は足を運んだと思います。
同じ庭でも雪が降った時に行くと、雰囲気ががらりと変わります。
何の変哲もない庭が、雪の中で見違えるような美しさを見せることもあります。

例えば、左京区岡崎の平安神宮神苑。
小川治兵衛の作ですから「何の変哲もない」と書いては語弊があるのでしょう。
しかし、広大な敷地に作られた池泉回遊式の庭ですので、有名な龍安寺や私の好きな曼殊院の庭のような凝縮感はありません。
家から近かったせいもあって、私にとっては散歩がてらのんびりしにいく場所でした。

ある年の冬、まとまった雪が降った直後にこの庭を訪れたことがあります。
平安神宮は朱塗りの大鳥居と本殿が有名ですが、まずは真っ白な雪と、塗り替えたばかりの朱が、圧倒的なコントラストで目に飛び込んできました。しかも、その背後には抜けるような冬の青空が広がっています。
次に、本殿の左手(西側)から神苑に入ると、今度はモノトーンのコントラストの世界が広がります。
神苑は本殿の背後をぐるりと回る形で、池・石・灯篭・飛石・亭(東屋)などを配しながら、本殿右手(東側)まで続いています。
回遊路の終り近くには、平等院鳳凰堂を模した渡り廊下も池の上に置かれています。
もちろん大小の樹木も配されています。
雪はこれらの構造物や樹木に、「積もる」というより、むしろ「ふわりと置かれる」ような印象で載っていました。
石や木肌の黒い色合いと雪の白さとが対照をなして、水墨画のような趣きだったと記憶しています。

庭を見る場合、通常は、庭の構成要素(石・樹木など)の一つ一つが、色や質感などを通じて鑑賞者に訴えかけてきます。
設計者はそれらを計算しつくして配置を決めていくのでしょうが、雪はそれぞれの素材の個性の大半を覆い隠すことで、逆に日本庭園本来の様式美を、一層純粋な形で引き出すのでしょう。
様式化の対極にあるナチュラル系のイングリッシュガーデンには、雪はこれほどは似合いません。
実際に雪が積もったところを見たことはありませんが、むしろ、フランス風の整形式の庭のほうが、雪との相性は良いかもしれません。



2002年2月2日(土)




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