‐OECC中国駐在員だより‐
現地の強みを生かして日中環境協力をサポート
OECC中国駐在員 大野木昇司
2003年4月より、OECC研究員として北京に駐在しております。本職は国土環境(株)の社員ですが、OECC中国駐在員を兼務することになりました。役割としては、現地にいることの強みを生かして、急速に変化する現地の状況を把握し、対中環境協力や対中環境ビジネス等の各種サポートをしていくことだと考えております。ここで、現在の北京の環境状況の動向を簡単にご紹介します。
現在北京ではオリンピックに向けて環境分野に力を入れており、2002年環境投資額も北京市GDPの4.3%を占め、国全体の同数字1%前後をはるかに上回っています。
大気環境ではここ数年、二酸化硫黄や一酸化炭素濃度で大幅減少、浮遊粒子状物質で若干の減少、二酸化窒素で横ばいと改善傾向が見られます。石炭ボイラーを減らし、電気や天然ガスなどのクリーンエネルギーを増やしました。自動車排気ガス対策でも、排気ガス除去装置の検査、低排気ガス型バス車両の投入など各種措置を取っています。水環境では、河川の汚染濃度に若干の改善傾向が見られます。また都市汚水処理率は45%に上昇、工業用水再利用率も9割を超え、節水効果も上がっています。地下水は現在も低下を続けており、今後の改善が期待されます。固体廃棄物分野では、無害化処理率や総合利用率は上昇傾向にあります。
生態保護分野では、郊外に2つの国家級生態農業モデル地区を制定、北京市郊外での有機農業、緑色農業の普及に努めています。一方で4年連続の水不足、年平均気温が0.9℃も上昇しました。また黄沙嵐も例年よりもひどい状態です。また各種植林や緑化事業、土壌流失対策の事業を展開し、森林被覆面積は上昇傾向が続いています。
また4月から北京をも襲った新型肺炎SARSにより、逆に人々の環境問題への関心も高まってきました。たとえば痰を吐く習慣が減ったり、身の回りを清潔に保つようになったり、野生動物保護に関心が集まる動きが見られました。これと関連して医療廃棄物処理の問題、公衆トイレの清潔化、開放式列車トイレのあり方、ウイルスの水源地侵入防止なども最近現地マスコミでよく取り上げられるようになりました。SARSにより個人の生活を大切にする傾向が現れ、公共交通機関に頼りたくないことで、乗用車や自転車の需要が増加、免疫力をつけるSARS対策料理、SARSを意識した滅菌型エアコンなどが伸びてきています。
このように現在、中国の環境事情は激しいダイナミックな動きを見せており、そのニーズも刻一刻と変化してきております。日中の環境協力やビジネスを進めるに当たっては、常に最先端の環境状況を把握しておく必要があります。また中国独特のやり方があり、その違いも踏まえておかなければなりません。たとえば日本と違って中国では、廃棄物処理や汚水処理などの環境保護事業はできるだけ企業に任せ、市場メカニズムに委ねていこうという傾向があります。
しかもどの業界にも言えることですが、日本だけが中国市場に参入しているのではなく、現地企業の健闘や欧米など諸外国をも意識しておく必要があります。実際、中国環境保護市場参入ではドイツや米国などの欧米諸国、また韓国などが著しく伸びています。
中国環境産業市場への日本勢の参入をサポートすべく、現地ならではの各種情報収集、有益な情報の日本への発信などに努めていきたいと考えております。