◇◇◇湾外埋立事業に係わる利害関係者の意見書2通◇◇◇
大宜味を愛さする会



2003年3月31日、「大宜味を愛(かな)さする会」より、沖縄県知事宛てに提出され た「大宜味村地先(塩屋湾外海)公有水面埋立事業に係わる利害関係人の意見書」の 一部をご紹介します


◆意見書1◆

マクブという魚をご存じですか。和名をシロクラベラといい、非常においしい魚で す。沖縄のイノーで捕れる魚の中で、最も人気がある高級魚です。そのマクブが大宜 味で一番捕れる場所こそ、埋め立ての予定地です。また、その場所は、タコが最も捕 れる礁湖(イノー)であることも、タコを捕る村人なら誰でも知っています。

 私は、大宜味村で漁業を営んで十五年になります。村が埋め立てを計画している安 根(塩屋湾外海)の海においても、年間を通じて潜り漁をしています。その海で、イ ラブチャー、チヌマン、ミーバイ、エーグヮ、オジサン、マクブなどの食用の魚と、 コマ貝、クモ貝、タカセ貝、サザエ、シャコ貝などの貝類、最近は少なくなってしま いましたが、ナチョーラ、クビレオゴノリ、モズクなどの藻類、さらにはタコなど漁 の対象として暮らしており、豊かな海に感謝しています。
冬場など特に北東の風が強い日には、安根から塩屋にかけての埋め立てが予定され ている海域でしか漁ができないので、私にとって貴重な漁場になっています。その豊 かな海がたいした海ではなく、まるで死んでいるかのような説明を村はしており、価 値がないので埋め立てても支障がないかのように言っています。
サンゴの成育も過小評価されていますが、埋め立て予定地の少し沖の海は、大宜味 の中でも一番サンゴが発達している場所で、埋め立てられれば影響を最も受け、死滅 するでしょう。影響がでること自体は海域を調査したコンサル会社も認めているの に、なぜ埋め立てが強行されるのでしょうか。
この豊饒なる海には、豊かな山や森からの養分が川をつたい、イノーに届き、そこ に植物プランクトンが湧き、動物プランクトンが湧きます。それを、海藻やサンゴの 中に棲む小魚や貝類が食べ、順次、大型の魚が食べます。この食物連鎖の頂点にいた のが、かつての普通の大宜味の人々で、それが長寿の村としての大宜味を支えてきた と思います。一年を通して海と関わり、これらの海の幸で非常に健康的な生活をして きた村人の歴史も、埋め立てによって完全に断ち切られてしまうでしょう。

海藻が豊かに生い茂った、かつてのイノーに回復すべき時期であるのに、なぜ今逆 の、埋め立てという行為に走るのでしょうか。環境影響評価書を読みましたが、イ ノーの豊かさ、大切さを全く理解していません。
大宜味村には陸域に、村有地、字有地、遊休地が多く存在します。それらを有効に 利用することを視野に入れず、土地が必要だから海を埋めると直結する考えには賛成 できません。

ウミンチュにとってイノーは畑であり、その生活の場が一方的に奪われようとして います。海の生き物を死滅させ、ウミンチュをも追放させる暴挙であると考え、この 埋め立て計画に反対します。


◆意見書2◆

埋め立て予定地横の国道を日常的に利用し、広大な海原の景観に心を癒されてきま した。時にはその海に入り、素潜りで水中を眺めたり、貝をとらせてもらいました。 ペインティングの素材として、石ころを拾わせてもらいました。干潮のときは、水辺 の散策を楽しみました。ウミガメの卵が孵化するとき、塩屋の浜で立ち合うことが出 来ました。親しんできたその海と浜が、奇妙な理由と説明によって埋め立て られようとしています。村民からの疑問や意見の数々は、ほとんどが曖昧にされたま ま簡単に打ち切られ、合意形成だけが一方的に叫ばれています。目的があって埋め立 てるのではなく、埋め立て自体が目的になっています。村民の疑問に行政は正面から 答えてくれません。実質的に埋め立てに関して村民と意見を交わすこともなく、願書 が出されてしまいました。

申請された埋め立て計画は32.7ha=327,000u。東京ドームのグランド面積 13,000uの25個分に相当します。諸々の施設が大宜味村には絶対必要ということで持 ち上がったはずの埋め立て計画ですが、中学校体育館1138uを敷き詰めれば287個分 も取れる広大な面積になります。本当にそれだけの広さが村にとって、どうしても必 要とは考えられません。

 「やむをえず」「最小規模で」「緊急性があり」「自然環境の保全に最大限努力」 して埋め立てをするということでした。実際に、どの施設もその姿勢で計画されてい るでしょうか?
 環境影響評価準備書に対する知事意見に基づき、村は「土地利用の必要性、緊急性 について、埋め立て面積を極力下方修正」したともありますが、それも実感できませ ん。
 なぜか、今年になって初めて計画が明らかにされたダチョウ遊園は、総面積 6855u。東京ドームグランドの半分以上の広さです。ダチョウの遊園地が、「緊急性 があり」「必要性があって」「最小規模で」「やむをえず」埋め立てる施設といえる のでしょうか? 屋内施設と合わせると、なんとぴったり10,000uとのことですが、 最小規模にしようとする努力とは逆に思えます。「サブ核として中心地区に集中」さ せなくてはいけないような施設には、とうてい思えません。
 埋め立て予定面積のほぼ半分14.8haを占めるのが交流広場と緑地です。豊かな海 が、「最小規模で」「緊急性があり」「必要性があって」「やむをえず」埋め立てら れるということですが、それらの理由に説得性はありません。
 緑の山々を崩した土で、青い海を人工緑地に変えてしまうことに必要性があるとは 思えません。「緑で縁取られた空間」「シンボル緑地を確保」というのは、大宜味の 豊かな自然の森にこそ有ります。「緊急性があり」「やむをえず」人工緑地を造ると いうことになると、理解できません。
 また、十何年に一回のイベントを想定して、人口3500人の村に500台収容の 駐車場が必要とも思えません。最小規模で緊急性ありとは考えにくいのです。埋め立 てそれ自体が目的だと考えるのが自然です。

 情報公開、質疑応答、意見聴取、討論を形式だけのものですまし、全てを打ち切っ て願書の提出がされました。村民には実質的に検討することもできないまま、手続き 上やダム側の都合だけでタイムリミットを叫ばれ、押し切られてしまいました。  「合意がない」、「そもそも、そのための意見を交わす場すらない」と主張してい る村民が多くいるのに、説明会はした、説明は終わっていると強調、それがすなわち 合意形成なんだとPRされています。私たちは、ただ計画を通知されただけです。充 分に意見を交わし、疑問を解消してこそ合意形成と言えるのではないでしょうか。そ の上で賛成多数として反対意見を押し切るのなら少しは納得も出来ます。しかし、積 極的な対話を拒んで、広報配布と説明会の冊子朗読という体裁だけで合意がなされた と見切り発車する村行政の対応には納得出来ません。

説明や広報でも、村にとって不都合な事実、不都合な意見は公表されません。素晴 らしい未来が待っているかのようなムードを大々的に広め、一方的な薔薇色情報が流 されます。理解不足と誤解を承知の上で、埋め立て賛成世論を作ろうと村行政はして います。
 「大宜味村第3次総合計画」が埋め立ての根拠として、よく引用されています。 「中心ゾーンの不在は、シンボルの欠如」とか。でも本気で、大宜味村にシンボルが 不可欠で、だから埋め立てが必要と信じている一般村民なんているんでしょうか?  そもそも、他村との合併があれば、すぐに町はずれになってしまいます。分散して、 それぞれが集落の小さな中心地区として機能している現在の大宜味村の姿こそ、生き 生きとして素敵です。海と浜を犠牲にして人為的に形成されるような中心地区はいり ません。

 過去に行われたアンケートでも、埋め立て計画には全く触れることなく調査がなさ れています。一般的に回答されたものを、強引に埋め立て同意の根拠にして、「村民 は開発も必要と考えている」と無茶苦茶な結論に持ちこんでいます。埋め立てを真正 面から問うアンケート調査や住民投票をおこない、それで住民の意識や村の姿勢を計 るべきです。

村民から何度も討論会の要求が有り、昨年12月18日、願書申請直前になって、 村が説明会を開きました。しかし、村民からの疑問や意見を集会の成果として受けと め、その検討を始めるような建設的なものではありませんでした。合意形成のPRと して、二日後には決まっていた埋め立て願書提出前の儀式として使われたにすぎな かったのです。
 反対意見や疑問を自由に述べさせる場ではなく、内容、時間とも質疑は限定されま した。そして、いつものごとく時間切れに持ち込み、何人もが、挙手しても指名され ないまま終了させられました。意見を述べたい者を尊重してくれません。村を良くし ていくための会などとは、とても思えません。一般村民の意見や疑問など、もう何も 反映されません。知事意見には「特に配慮」しても、村民意見には配慮してくれませ ん。知事意見のベースになっている村民意見書が存在するのに、「知事意見は厳し い」としか返ってきません。村民の声に耳を傾けてほしいのです。
 百年の大計などとPRされている埋め立て事業が、情報も不充分、合意に向けての 討論や検証も不充分、したがって村民の合意形成など出来ようもないまま、申請され てしまいました。行政側の拠り所となっている「大宜味村第3次総合計画」では、 「村民参加や村民意見・意向聴取にも努める」とありますが、努められた様子はあり ません。

 大保ダム計画の後から出てきた埋め立て計画です。必要性を強調していますが、無 料の土が無かったら計画されなかった程度の必要性です。村外業者に工事を持って行 かれては絶対に困る程度の必要性です。埋め立てのための工事ではなく、工事のため の埋め立てに見えてしまいます。「やむにやまれずやっている」とは思えないので す。

疑問と疑惑だらけの曖昧な根拠で、納得できない大規模な埋め立てが行われ、私 の「癒しの海」「憩いの浜」が失われていくことに反対いたします。



 以 上



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