もっと知りたい「並木物語」

第2回(とんなんたい機関誌「東南西北」23号からの抜粋です)
並木誕生物語〜都市デザインから見た並木〜その2

並木の都市デザイン

そして並木は誕生した
 並木誕生の背景や整備計画にあたっての基本的な考え方について、横浜市都市デザイン室の足立原氏を講師に招き、お話を伺いました。 都市デザイン室は、都市の機能や景観にまち全体の調和をつくりだすための企画・調整を担当している所。金沢区役所周辺・泥亀公園・走川プロムナードの一体的な整備による魅力ある街づくり事業や称名寺のライトアップ、昨年度行われたヨコハマ都市デザインフォーラムの開催などが身近です。
さて、並木は金沢地先埋め立て地の一部に誕生しました。この埋め立てが構想されたのは、昭和39年。すでに急激な人口が始まり、都市の骨格にも歪みが生じてきました。都市化の広がりによって市街地の中心になってしまった工場や公害等の問題のある工場などを、十分整備したよい環境に移し、跡地を都市の骨格整備のために利用しようという総合戦略を立てました。そして、横浜の六大事業の一つとして取り組むことになったのです。
埋め立て地は660ヘクタール。工場だけを主体にするのではなく、住宅地区、海の公園地区を含み、それらが一体となって一つのまちを形成できるように考えられました。それまでの埋め立て地が単なる工場用造成であったのと比べて、かなり異なる発想を持っていたようです。また、埋め立て地区内に住宅地を置くことによって、職住近接を可能にし、公的住宅等の供給を確保することもできました。住宅地の整備にあたっては、まち全体で都市デザイン付きの開発を展開することとし、そのためのデザイン・コード(右図は歩行者動線のコード)も誕生しています。

住宅地計画の基本構想は、@湾岸道路からの遮蔽のため、緩衝緑地を設ける A旧海岸線を利用した緑地・公園地区を作り出し、新旧居住者の交流の場とする B住宅地に外周道路(写真:2丁目のループ道路)を設け、居住環境の保護、居住者の安全性の確保を計る C旧漁港地区を水辺空間として積極的に活用する の4点です。
この考え方はこの次の年に行われた解体新書のページを参考にご覧ください。
また、住宅地区内部についても、@大通り・通り・小径を歩行者専用のネットワークとして構成し、ネットワーク沿いにコミュニティ施設を配置する A変化に富み調和のとれた住宅空間を作り出す B住宅設計にも環境的な配慮を行う(アーバン・デザイン付きの宅地分譲という形を取り、地購入者に協力してもらう)Cサイン、プレイロット、植樹につても、全体へのへの配慮を行う等を基本的な方針としました。
並木3丁目の住宅街の入口です。石柱が門の役割をしています。

並木3丁目の広場を兼ねた歩行者動線です。

並木2丁目の歩行者動線です。住宅から商業ゾーンへの幹線です。

並木にテラスハウス型の低層住宅が点在しています。
因みに、1丁目のアーバン・デザインは、建築家の槇文彦氏、2丁目は、神谷宏治・内井昭蔵・宮脇檀・藤本昌也の4人の建築家が担当しています。また、公共施設の建設にあたっても、脱マンネリ化を図ろうと、新しい建築家達にデザインが任されました。並木第1小学校=槇文彦、並木第2小学校=進来廉、富岡東中学校=群建築研究所、並木第1保育園=友田仁、並木第2保育園=宮脇檀、タウンセンター=大高正人などです。

ちょっと待ってね、並木 計画時の基本構想は、緑地の多さや舟溜まり・金沢緑地・長浜公園等の憩い潤い空間の充実、歩行者の安全が配慮された静かな住環境の創出、生活利便施設などの整備などに反映され、「並木のここが好き」の評価になって顕れています。
その一方で、豊かすぎる緑が作り出す夜の暗さや、職住近接の前提による駐車場不足、エレベーターが設置されていない集合住宅の高齢化対応に対する不安など、実際の生活を積み重ねることによって経て現れてきた「ちょっと気になる所」があるのも事実です。さらに、基本構想にあった旧住宅地と再開発用地とを繋ぐ役割や、工業用地・住宅用地・海の公園用地の一体化したまちづくり等、必ずしも実現されているとは言い難い状況もあります。
今後は、バリアフリー化への対応方策や、町並み景観を維持するルール化づくりが課題となってきそうです。

今日の発見!
最後に、参加者のみなさんから、今日の「発見」 を寄せてもらいましたので、ご紹介します。
初めて知ったあれこれ

  • 巨大な事業費で生まれた町を知り、ここに今暮らすのを幸せに思います。
  • 2丁目にすんでいますが、ショッピングもあり緑が多く、我が家が一番いいのかなぁと感じました。
  • 並木の町の緑の多い理由がわかりました.緑=自然に囲まれて快適。
  • 各丁の開発目標の違いが分かって興味深かった。
  • 計画的につくられた街であることがよく分かり、とても興味深かった。
  • 街全体がきれいで、特に都心から車で帰ってくると、1丁目の道路に入ったとたん別世界のようです.安らぎを感じます.路上駐車が減ってよかった。
  • 1丁目の駐車スペースが少ないのは、当初計画時(30%)の方針であることが分かった。
  • 工業団地建設との関連が分かっておもしろかった。
  • 工業団地の就業者のためにつくられた団地とは初めて知りました。
  • 舟溜まりの海を残して本当によかったですね。
  • 6大事業の一つであることを知りました。
  • 何気なく見ている建物やヅトリートファニチャーが独創的なデザインだったり、統一されていたことは初耳でした。
  • 3段構造になっているので緑の深みがでるというデザインの方法や低層住宅の屋根など、なるほどと思いました。
  • 並木の誕生物語を初めて知り有意義だった。
  • 並木が当時としては斬新なコンセプトで作られている街であった。
  • 都市計画がこんなに重要としりました。
  • ふだんの生活の中であまり意識していなかった「人と車 との分離」や「緑地の配置」「建物づくりと配置」などが非常に綿密に計算されたうえに成り立っていることが分かりました。
  • 1〜3丁目の街の様子が分かったよかった。
  • 並木が埋め立てられる前の地形を初めて見られた事がよかった。
  • 並木地区も地域によっていろいろ違うことがスライドでわかった。
  • 並木は柴漁港や富岡八幡など地域の歴史を取り込んでつくられていていいと思った。
  • 都市デザインも時代により長所短所が一変してしまうことを知りました.見直しが可能なシーサイドライン沿いで考えて欲しいと思います。
高齢化社会を前に思うことも何かと多い

  • 並木に限らず団地は自然発生的に生まれた町ではないので、年齢層が偏っている.今後高齢化など大きな問題を抱えている。
  • 働き盛りの人が暮らしやすい町でも、高齢者にとっては 必ずしもそうではない。
  • 設計者や役所の(当然持っているべき)長期展望のなさ が分かった(エレベーター・駐車場問題)。
  • 金沢シーサイドタウンは新しい視点からつくられた事は理解できましたが、20年前には新しかったことが今では古い!  建て替えはどうなるのか?
  • 各住宅の高齢化対策を早急に。
  • 車椅子対応で1階だけでも階段をスロープにできないか.その時市などの財政的支援を得られないか。
  • 並木に住んで20年近くになってしまいました。今や室内の改装がかなり盛んです.建物本体の建て替えの時まで健在でしょうか。
  • 質問にも出ていたがエレベーター階でも又階段を使う事高齢になってからが心配。
  • 高齢化に伴う住み替えの問題を容易な方法で考えて欲し い.例えば金額面など。
  • 1970年代には今の高齢化社会の到来は予測しづらかったのでしょうか。今後ハードのバリアフリー化について、みなさんの英知を集めていただきたいところです。
何とかしなくては並木

  • 「まち」の活気はやはり子供の存在と商店街の存在だと思います.センター商店街への積極的な店舗の誘致を望みます。
  • 舟溜まりの近くに住むものとして夏の騒音など、またゴミの散乱など気になる問題です。
  • 緑の多さ←→夜の暗さ
  • 道路パターンの複雑さとまちの分かり難さ。
  • サブセンター機能不足。
  • 開発入居後の地目変更問題. 2種住専が商業地に。
  • 市と事業者(公団)との用地の変更問題について。
後一歩足りない所・もう一工夫欲しい所

  • 小さな集会場も意味があるがもう少し広い会館が欲しい。
  • 子供にとっては遊具の揃った遊び場よりも自由な創意を発揮できる空間が必要なのにそれが不足。
  • 色々と計画を考えられているが、住んでみてまだ足りない所がある。
  • 通りの照明が木に遮られて暗いのは木のせいではなく木−照明−道路の位置関係が悪いためのケースが多い。改造してもらえないか。
  • ユリの木の通りが好きだが最近木が大きくなったとして高さを制限して剪定されている.特に冬の枯れ木立などすてきな風景が台無しとなった剪定をせずに済ませられないのか。
  • 並木のできた由来や並木の名前の由来など20年も経つと知らない人たちが増えてきています.一般の人に分かるような案内があれば。
  • 舟溜まりに来る野鳥も定着してきました.一層親しみを深めるために野鳥観察図鑑の設置が欲しい.できたら波除橋とセンター前の2カ所。
  • 歩行者専用橋は使用されているのか。(不要と思われる)
本日の感想など

  • マップを用いる手法のワークショップ面白い。
  • 並木1〜3丁目までの都市計画をもう少し詳しく記された資料が欲しかった例えば設計者名や事業者名とか.早くて書き取れなかったので.後まちづくりのデザインコードという資料が何丁目のどこをイメージすればよいか分かりませんでした。→[都市住宅8110 特集横浜シーサイドタウンの実験−アーバンデザイン的手法と共同設計の試み](昭和56年発行) に比較的詳しいことが記載されています。よろしければご参照ください。
  • 今後の都市計画は人間の長い一生を見据えたものであって欲しい。
  • デザイン室の方のお話はなぜか抽象的こちらが専門外のせいか受け止めにくい箇所もあり、話を絞って欲しい。
  • 少し心配な地震のことについて聞きたかった。
  • よい資料が配付されたので、まず自ら並木を歩いて勉強してみたい。
  • 新たな視点でゆっくりとこの町を歩いてみたくなりました。
  • 横浜の市民を巻き込んだ街づくりをこれからも進めてもらいたい。
  • 横浜市内に他に「とんなんたい」と同じ様な活動しているグループはあるのか? →約300ほどあるそうです。

  本日の締めは、こちらのご意見で。
「並木の街の限界に失望せず、住み続けられる街 づくりに住民がチャレンジしましょう!」



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