『廃墟にうごめいているものとは・・・(1)』





  この話は僕が学生の時、セブンイレブンの深夜アルバイトを始めて

  10ヶ月くらいの頃の話である。

  バイトにもだいぶ慣れて、ほかのバイトの子たちともよく遊びにいくようになった頃

  遊び仲間のSから『心霊スポットツアーをやろうよ』という話が持ち上がった。

  Sは相当強い霊感らしいものを持っているのだ。

  霊感が強いのにそんな所に好んで行くとは変な奴である。



  この話が持ち上がってすぐの金曜日の夜に

  小樽にある展望閣という廃墟に向かうことになった。

  その場所は海にそそり立つ断崖絶壁に建つ建物であるようだ。

  自殺の名所であるという。近くの海岸には死体が上がったこともあるそうだ。

  また、暴走族が乱闘騒ぎを起こす場所でもある。

  実際僕も新聞で読んだことがある。



  バイト先に集合し、8人が車3台に分乗して向かうこととなった。

  目的地にたどり着いたのは、夜の12時頃かそこらであろう。

  そこに降り立った人間全員が言った。。。「やけに寒い・・・」

  海が近いせいか真夏の割には風が冷たい。

  周りは真っ暗である。車のライトを消すと歩くことさえできない。

  車のライトで廃墟の方向を照らすことになった。

  よく見ると、車を止めたところから30〜40m先に確かに廃墟がある。

  そこにうつし出された建物は、コンクリ2階建てで、窓はなく、ドアもない・・・

  何年もの間、雨ざらしにされてたといった感じだ。

  確かになんか居そうな雰囲気である。



  さきに車を降り立っていた4人が吸い込まれるように廃墟に向かっていった。

  自分は、恥ずかしながら小さい頃からむちゃくちゃ臆病でこういうのは弱い。

  足が動こうとしない。

  近くではSが立ちすくんでいた。

  ゴボー「何か居る?見える?」

  S「まぁね・・・」

  A「まぁねじゃねーべ。びびらすな」

  Sの表情は硬い。



  自分とSを含んだ残り4人も廃墟へ向かった。

  気がついた時には4人がっしりと腕組みをし横一列に並んで歩いていた。

  「カステラ1番電話は2番3時のおやつは文明堂・・・」

  恐怖を打ち消そうと4人で歌ったが

  Sがぽつりと言った。

  「すごいよ・・・あそこに・・・」

  その言葉を打ち消すかのように廃墟の2階から声がした。

  「うわぁ〜。きれ〜だよ。みんなおいでよ」

  僕たち4人が半分くらい歩いた頃には、2階へ上がってる奴も居た。

  2階からの景色(夜景)はとても良いらしい。





  僕たちがようやく薄暗い入り口まで来たその時・・・





  隣で歩いていたSが膝から崩れるように倒れ込んだ。

  腕を組んでいたため、僕ともう1人も倒れそうになった。

  僕は驚かされたと思ったが、それは違っていた。

  「こけんなよ・・・おい・・・おい!だいじょうぶか?」

  Sに反応が見られない。動こうとしない。



  意識を失ってることを直感的に感じた。
つづく

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