モートンイトトンボ Mortonagrion selenion (Ris)

♂ 未熟♀(成熟は体色が緑色)
広島県山県郡芸北町八幡湿原 2000年6月24日
| 成虫の時期 | 4〜9月 |
| 生息地 | 平地や丘陵地の湿地,水田 |
| 分布 | 北海道(南部),本州,四国,九州 |
| 広島県の分布 | 湿地に限って分布 |
| 大きさ | 25〜28o |
| 特徴 | 成熟すると雄は緑とオレンジ色,雌は全身が緑色 |
| 越冬形態 | 幼虫 |
| 産卵形態 | 単独で,水面付近の植物の組織内に産卵する |
湿地に生息するイトトンボで,他のイトトンボ科の種と比較すると図抜けて小型であるため,一度覚えてしまうと,一見しただけですぐ本種と分かるようになる。また雄は成熟しても腹部が赤く,これも同定のいい目印になる。なお,本種とよく似たヒメイトトンボとコフキヒメイトトンボは広島県には分布しない。
一般に湿地や水田など,水量の少ない水環境に生息するが,どの場所でも個体数は少なく,また湿地があっても生息していない場所がほとんどである。基本的に本種は,湿地内にあまり植物が繁茂していない,明るい湿地を好むようである。世羅台地にヒョウモンモドキを調査に行った際,ときどき湿地で本種を見ることがあることから,ヒョウモンモドキと同じような環境を好むようだ。なお,芸北町の八幡湿原(尾崎沼に隣接する湿地)では本種が多産するため,時間があれば一度ここで本種を観察して覚えるといい。中国山地や世羅台地,備北高原などに生息地が多く,逆に沿岸部では記録がほとんどないため,沿岸部や島嶼部で発見した場合は報告する価値がある。
成虫は湿地から移動するようなことはあまりないが,結構敏感で,近づいて写真が撮りにくい種である。発生期は4〜9月とされているが,盛夏になるとほとんど姿を見ることはなくなる。