オツネントンボ Sympecma paedisca (Brauer)

広島県呉市郷原町藤沖池 2001年3月16日
| 成虫の時期 | ほぼ周年 |
| 生息地 | 平地や低山地の水生植物が多い沼や池 |
| 分布 | 北海道,本州,四国,九州(北部) |
| 広島県の分布 | 全域に広く分布するが生息地は局地的 |
| 大きさ | 35〜38o |
| 特徴 | 春になっても青く色づかないが,目は青みを帯びる |
| 越冬形態 | 幼虫 |
| 産卵形態 | 単独で,水面近くに生えている植物や 枯れ茎,朽ち木の組織内に産卵 |
ホソミオツネントンボとは胸部の斑紋が全然違うため,一見して本種と同定することができる。本種は枝にピッタリとひっつくように,平行にとまることも大きな特徴である。この習性を気をつけて観察していると,外見上はよく似ている越冬前のホソミイトトンボとの同定も容易である。越冬後は他の2種が青く色づくのに対して,本種は複眼がやや青みを帯びる程度で,体色はほとんど変化しないため,春には簡単に種の識別ができる。
平地から丘陵地にある水生植物の多い溜め池に好んで生息するが,新しく造られた溜め池に多数が発生することもあり,比較的多様な環境に適応した種と思われる。越冬時には小屋などの隙間に数十頭が集まって越冬しているといわれているが,広島では今のところそうした集団越冬は観察されていない。3月でも中旬にもなると,暖かい日を選んで溜め池に,繁殖のために集まってくる。
かつて北方系の種であるため,広島県では比較的稀な種と考えられてきた。県内に広く分布するものの,生息している溜め池は限られている。しかし筆者がここ数年,賀茂台地で調べた限りでは,個体数の多少はあったとしても,多くの溜め池で本種の生息を確認することができた。あまり調査が行われていない時期に姿を見せる種であるため,これまで分布地が稀といわれてきた原因は,単なる調査不足なのかもしれない。