朝日新聞切り抜き

     米教育改革のポイント     教育砦の防人は教育者  國分康孝
     ほめるとやる気に     チャイルドライン
     自分の素顔を見つめる(孤独のレッスン26)     脱毛症、選択かん黙症、境界性人格障害
     不登校・引きこもりシンポ     元同級生の孤独な最後(生活保障)    
     「統合失調症」決定へ     地域で子育て 保育も教育も      
     校内暴力、4.2%減3万件     不登校最多13万余人
     厚労省の主な少子化対策予算     「新型特養」に賛否
     臨教審からの改革路線 中曽根元首相に聞く     地域の子育て支援重点
     「無職」は偏見を助長する     体験学習 不条理を前に言葉なく
     落ち込んでいる人の励まし方     自殺者 内実を移す統計はどこに
     そろばん達人 視覚で勝負     保育所 待機児童横ばい
     出自知る権利どこまで     食のゆがみは社会のゆがみ
     保護への偏見、心に重く     ティーンズメール(佐和野愛)
     人権法案国連が問題視     仕事と介護
     優良企業40社     特養入所基準「必要度」順に
     歌舞伎町に心の止まり木     心を病むってこんなこと
     心神喪失者法 再犯予測、できはしない     心のリハビリ施設発足
     「預かり保育」     子どもの虐待死
     少子化対策議論を開始     私立高校の統一テスト
     子どもたちにも過敏性腸症候群     「国際都市」授業も英語で
     『6・3制』超えジワリ     学校崩壊 守るべきは教育か教員か
     小学生の息子に土下座させ、暴れて支給迫る     児童虐待3万5000件
    生殖医療 いのちを作る技術      児童福祉士、ストレス限界  




  自分と出会う  教育砦の防人は教育者である   02/10/07

       國分康孝
(カウンセリング心理学者)(東京成徳大学教授、日本教育カウンセラー協会会長)

 私はいま、不登校、いじめ、学級崩壊などの予防を目指す「育てるカウンセリング」を教育者の世界に普及させる運動の先頭に立っている。教育者が教育砦の防人でなければならないと檄を飛ばしている。

 私のこのパッションは、次の教育または人物との出会いに由来している。
 まず第一に、14歳のときに受けた陸軍幼年学校の教育である。どのクラスも25歳から35歳くらいの大尉または少佐が担当していたが、私は今もこの方々は教育者の鑑であると思っている。時勢に迎合して天皇のために死ねとか敵を殺せと教える人は一人もいなかった。

 例えば、ルーズベルト大統領がなくなったというニュースに拍手が起こったとき、生徒監(学級担任)はすぐに生徒を全員集め「人が亡くなって拍手をするとは何事か
。追悼の意を表すのが武士である」とたしなめた。

 また、行軍中も出納の水を飲ませない躾をした。「この水は戦闘に巻き込まれて倒れた敵の一般市民が求めたときの水だ。敵の一般市民というのは、君たちの家族と同じなんだ。」と説いた。

 私が幼年学校で教わったのは、もののふのやさしさであった。すべての教育者が日常でこのような指導をすれば、教育の荒廃は起こらないと私は思っている。

 私のパッションを支える第二の出会いは、米国留学時代の指導教官ウィリアム・ファーカーである。「カウンセラーは組織の長に進言してクライエントを守らねばならない」と語る彼に「そんなことをすればカウンセラーは闘争委員長のようになり、首になるのではないでしょうか」と問うたときである。

 「自分の首が怖いようなことでカウンセラーが務まると思っているのか!」とファカーは一喝した。この一喝は、現今の治療的カウンセリングへの偏向を抑制し、予防的カウンセリングを提唱する私の勇気の元となっている。われ石になっても叫ばんとする気概はは、恩師ファカーによるところ大である。

 私のパッションの第3の出所は、霜田静志・元多摩美大教授(故人)にある。私は下だからイギリスの教育者A・S・ニイルの自由主義教育思想を教わった。霜田もニイルも精神分析を心理「療法」としてではなく、人間「教育」の方法として提唱した。教育とは心のふれあいを通して自他発見と人生理解することであると。その実例がニイルの「サマーヒル学園」であり、霜田の弟子、堀真一郎(元大阪私立大学長)の設立した「きのくに子どもの村学園」(和歌山)である。
 これらの学校にはスクールカウンセラーはいない。なぜならばすべてのスタッフが日常の教育活動の中で、育てるカウンセリングをしているからである。
 アメリカの学校にはスクールカウンセラーがいるが、彼らは心理学者でなく教育者である。ニイル、霜田、日米の実例が私のパッションを支える大さんの原動力である。これらの出会いが私の生きる勇気の源泉となっている。



                            −転機の教育−  02/10/08 8

 日本よりも教育の規制が緩やかな米国では、学校選択の自由が進み、学校間の競争は激しい。公設民営型のチャータースクールや、税金で私立校にも通えるバーちゃー制度を導入する州も増えてきた。転機を迎えた日本の教育との接点を、米国の最前線から探った。

          米教育改革のポイント

               @公立学校が、すべての子の学力保証(アカウンタビリティ)
               A州ごとにカリキュラム基準(スタンダード)
               B成績の伸び、定期的に査定(テスティング)
               C行きたい学校、子どもが調べる(チョイス)

 米の事例から学べることある   上智大学教授 中野良顯

 カリフォルニア州やオハイオ州で昨年10月から1年間、チャータースクールやバウチャー制度などを調査してきた中の教授に、米国の現状と日本との比較などについて聞いた。

 米国では人種間の学力格差が激しい。−略−
低所得層が多く住む都市部の学校と白人が住む校外の学校とで、有資格教師の割合や治安が異なるため、教育の質に差が出るのが一因だ。

 今年1月、貧困層の救済を大きな目的とする連邦法「おちこぼれを作らないための「初等中等教育法」が成立した。↑屋のポイント

 プッシュ大統領は法案段階で、「チョイス」に、税金を使って私立校に入学できる学校バウチャー制度を含める意向だったが、民主党が容認せず、断念した。−略−

 社会的背景が異なることを考慮したうえで、少子化の中、教育の規制緩和が進む日本が、米国の事例から学べることを考えよう。

 例えばアカウンタビリティ。米国では、5年たっても学校が教育責任を果たせなければ、教育委員会が学校長や教員を一新したり、廃校にしたりする「荒療治」がある。日本では東京都が不適格教員を3年間で退職させることを検討し始めたのが、発想としては近い。

 米国で増え続けるチャータースクールの実績を評価するのはまだ早いが、行政からの「縛り」は学力を落とさないというだけだ。カリキュラムの作成も教員の採用も自由にできる。

 日本でも関心が高まり、コミュニティスクールという名で中央教育審議会の答申が出ているが、がんじがらめの「縛り」が本当に免除されるのか疑問のようだ。米国のように、大学など行政以外にも許認可権を与えるか否かが普及の鍵を握る。

 バウチャー制度を日本でも拡大できるとすれば、奨学金の義務教育への拡大か。現状では日本の奨学金制度は返還する必要のあるものが大半なので、収入が低い家庭は借りにくい。制度は世界の中でも貧弱だ。

 日本で保護者の選択肢を拡大するには、地方の教育委員会が改革を主導し、国が財政的バックアップを十分できるかどうかにかかっている。またその改革に保護者や子どもが満足しているか、学識経験者などの外部の目を交えて調査していくことが大切だと考える。

 ■学校バウチャー制度
 公立校の劣悪な教育を改善することを目的に、90年にウィスコンシン州ミルウォーキー市で始めて導入され、96年にはオハイオ州クリーブランド市、99年にはフロリダ州にも広がった。
 一定所得以下の家庭などが対象で、支給額は一人当たり最高で年額約5500ドル〜3500ドル。
 昨年度の利用者はそれぞれ、約19000、4500、400人。
−略−

 文部科学省によると、日本ではバウチャー制度の導入を提案する自治体はまだない。だが、生徒現象などに悩む香川県の私立中学校連合会が設けた研究機関が制度の導入を件に提案するなど、少子化の時代を迎える私立校を中心に関心を集めている。

 政府の綜合既成改革会議では、教育の規制緩和をめぐり、公私立を問わず個人を直接補助するバウチャー制度を導入すべきだという意見もあった。

 ■チャータースクール
 92年、ミネソタで誕生した。地域の父母や教師が学校を自主運営する特別認可(チャーター)を学校区(日本でい
う教育委員会)などに申請する。認められれば、生徒一人に年間約6000ドルの予算がつく。

 −略−

 日本でもチャータースクールを下敷きにした試みが始まった。文部科学省は今年、全国のモデル校で「コミュニティスクール」の研究に乗り出した。地域住民や保護者が学校運営に加わる公立校だ。
 自治体で名乗りを上げるところもでてきた。

 神奈川県横須賀市は、米軍基地や携帯電話の研究所などが集まる地域の特性を生かして、公設民営の小中高一貫教育工をつくることを検討している。

 兵庫県教委も昨年、高校教育改革の一環でチャータースクールの調査を始めた。

 チャータースクールの調査を4年続けてきたベネッセコーポレーション副社長室の水谷昌弘主席は、制度よりカリキュラムを、日本の実情に合わせて改良し、既存の学校で応用すれば、かなり需要があるのではないか」と話す。


         チャイルドライン

 「チャイルドライン武蔵野」 (新井理子代表 0422・52・5100)



       小学生9割 ほめると「やる気に」

 親や先生がほめると、子どもの勉強する意欲が高まる。逆に親が「勉強しなさい」と強要したり、人と比較したりすると、やる気をなくす。こんな結果が国立教育政策研究所の意識調査ででた。

 文部科学省の委託を受けて昨年5〜7月、小学5年、中学2年、高校2年生のあわせて約1400人にアンケートした。どういう場合に意欲が出るかを、
「とてもやる気になる」「やる気になる」「やる気がなくなる」「とてもやる気がなくなる」の4段階できいた。
−略−
           ■先生や親の行動と子どもの意欲■
     【やる気が出る】
      *先生にほめられる(小94%、中84%、高77%)
      *母親にほめられる(小92%、中77%、高70%)
      *父親が勉強の大切さを真剣に話す(小73%、中52%、高43%)

     【やる気がなくなる】
      *父親に叱られる(小62%、中61%、高59%)
      *母親に「勉強しなさい」といわれる(小52%、中73%、高78%)
      *家人に友達と比べられる(小52%、中69%、高70%)

その他、やる気が出る場合では、各学年とも「授業がよくわかる」「授業が面白い」が90%を超えた。高校生では、「将来尽きたい職業に関心を持つ」(89%)、「将来いきたい学校が決まる」(88%)も目立った。




      その子らしさはぐくみ見守って 脱毛症、選択かん黙症、境界性人格障害

 Q;多発性の円形脱毛症との診断。免疫に異常はなく、原因はストレスといわれました。どうすれば。
   (東京都、2歳児の母)

            感じやすさ大切にして

 脱毛症は毛髪の根元の部分を異物と認識し、攻撃する自己免疫疾患という考えが有力だ。ストレスと免疫とは関連し、誘引となることもあるようだ。
 心の問題と過大にとらえすぎず、だが、ストレスのサインである可能性も考えておこう。ストレスをすっかりのぞくとか、ストレスに負けないように鍛えるとかいった極端なことを考えず、感じやすい子どものよさを大切にしていきたい。

 紛らわしいものに、自分で毛を抜いてしまう抜毛症もある。子どもは「癖」が定着したものが多い。家族に余裕がないなどが原因で起こる不安や不満が影響している場合もある。自分を適切に表現することを促し、認めてあげよう。家族の対立や学校でのいじめなど緊張を高めている問題があれば、改善したい。

 癖には指しゃぶりや爪かみもある。それ自体を辞めさせようとするのでなく、もっと楽しめることを見つけてあげたい。

                *********************

Q;体が弱く、入院を繰り返し、友達がいません。学校で口をきかず、そのためクラスでからかわれます。家でも声を出さないように笑い、心配です。

        焦らず好きなことから

 その子なりに自分を表現できるように援助することが大切だ。話せなくても頑張って登校していることを暮らす全体が暖かく見守りたい。学校や家庭以外で自分を出して自信を回復するきっかけがあればと思う。
 ずっと話せなかったが、現在は元気になって大学に通っていたり、高校でチアリーダーをやっていたりなどのお手紙もあった。学校外の行事で偶然、同じアイドルが隙などの共通の関心を持つ友達ができたことがきっかけになったりしたという。
 焦りは禁物。まず自分の好きなこと、自信を持てることを見つけるくらいのつもりでいたい。個性を尊重し、特に活発やおしゃべりにならなくても良いとすることも大切だ。

                     **************

Q;高校に入ってから無気力となり、不眠、うつ状態、衝動的、自傷行為が出てきました。統合失調症、境界性人格障害など医師によって診断がばらばら。家族はどうとらえ、どう接すれば。

      共感しつつ毅然と対応

 思春期は自我の確立に向け、不安や対人過敏、強迫性、衝動性が高まる。こうした症状は一過性の場合もあれば、人格障害を含めた精神障害の始まりの可能性もあり、経過を見て始めて診断がつくこともある。できる範囲で安定して成長できるよう対応したい。

 人格障害は考え方、感じ方、行動などが平均より著しく偏り、生活に支障をきたしているもので、青年期の終わりオ路までに明確になる。

 境界人格障害はもともとは神経症と統合失調症の境界と考えられていた。見捨てられることへの不安が強く、それを避けようと躍起になったり、100%理想的として受け入れるか、全く受け入れないかの間で揺れ動いたり、あるいは自傷行為を含めたさまざまな衝動的な行動をとったり、といった特徴がある。周囲を風呂まわすことで愛されていると確認せずにはいられないとも言える。

 厳密な診断はともかく、本人の訴えを聞き、気持ちに共感するとともに、指図がましくならず、できないことはできないと、毅然と示すことも大切だ。動揺せずに見守り続けることが、本人の安定と成長の可能性を広げる。

  以上、北里大助教授 金生由紀子解説

   身近な相談者の不在を痛感 連載を終えて−北里大助教授 金生由紀子

 小児・思春期、特に低年齢で心配されるさまざまな症状を取り上げた。
 ある時期を過ぎれば軽くなったり消えたりするものも、長期間続くものもある。症状に応じてお便りの深刻さは異なるが、軽症で一過性と思われるものでも、かなり悩んでいる例もあった。育児について身近に相談する人が少なく、自身を持ちにくい母親が少なくないと思われた。
 祖母からのお便りもあり、核家族化・少子化が進み、離れた孫を心配する姿がうかがわれた。気軽に相談できる人が身近にいることが強く望まれた。
 現状では、相談を受ける医師や保健師は忙しく、子どもの発達の違いにきめ細かい対応ができず、「そのうちよくなる」「お母さんが心配しすぎ」とだけいいがちなのかもしれないと反省させられた。専門化の教育や検収の整備も含めた対策が必要と感じた。

             02/08/23 23 家庭  こころ元気ですか 子ども編




     孤独のレッスン−26-  自分の素顔を見つめる 

 −略−
 神奈川県鎌倉市の清泉女学院中学高校で倫理を教える土屋至教諭は、高校2年向けに「自分が好きになるために」という連続授業をしている。まず、全員に3,4枚づつカードを配って、「どんなときに自分がいやになるか」を書かせ、回収して読み上げる。「試験勉強中、一休みのつもりでベッドに横になり、気がついたら朝だった」といった話に爆笑も起こるが、中には「いつも」とか、「こんな自分はいない方がいい。抹殺したい」といった告白もでてくる。

 後半の授業では、「自分が好きになるとき」をカードに書かせて読み上げる。その後、「好き」『嫌い」すべてを載せた一覧表を配って感想を述べさせ、「何故ありのままの自分が受け入れられないのか」と問いかけていく。

 今回の「宗教倫理教育担当ワークショップ」では、こうした積み重ねを前提にした模擬授業が行なわれた。土屋さんは最初に、生徒役の先生たちに「自分の顔を3分、鏡で見つめていられますか」と尋ねた。「おお、気持ち悪い」といった声が出るのを待って、「ありのままの自分を直視するのは結構つらいことなのです。だから、整形手術もこれほどはやる」と続けた。
 次に、漫画や市を載せたプリントを配る。アントニー・デ・メロ著の短編集『小鳥の歌』(谷口正子訳、女子パウロ会)にある「たんぽぽ」というこんな小説もあった。
 《家の芝生に誇りを持っていた人が、たくさんのタンポポを発見しました。彼は知っているだけの方法を用いて抜こうとしました。それでもなおタンポポは彼を悩ませ続けました。ついに農林省に手紙を書きました。試みた方法を列挙し次の文章で締めくくりました。「私は今何をしたらいいでしょう」ほどなく返事が来ました。「タンポポを愛そうとしたらどうですか」、、、、》

 このタンポポの意味を問うたあとで、土屋教諭は授業の背景をこう解説した。
 「今の中学生や高校生にとって、自己受容は大きな課題です。自分が好きになれない生徒がとても多いのです。他人の目を気にするし、また、自分に対する要求と現実との差が大きすぎることもある。自分が好きになれないことはとても不幸ですよ。嫌いな人とと生涯暮らさなければならないのだから。」(菅原伸郎)

              02/09/02  8



  生活保障
              同級生の孤独な最後  「何故救えなかった」町議の問い

 北陸にある山間の町の町議(56)からメールが届きました。今年1月、餓死状態で見つかった元同級生のことでした。本人から相談を受け、町の福祉課に「生活保護を受けさせて」と頼みに行きましたが、かなわぬままだったといいます。「破綻状態の人をどう支えるのか、ともに考えるべきではないでしょうか」。町議は問いかけています。
(石井綾子)

 【−略−町の福祉課は『申請がないのに、行政が手続きを進めるのは、T本人の基本的人権を侵す』といいます。電気も切られ、食料もなく、自分ではどうしたらいいのかわからない人に、手を差し伸べることが何故基本的人権を侵すことになるのか、私には理解できません】

 要旨−知人の会社で働くTは、3年前に父親がなくなった前後から無断欠勤をするようになり辞めさせられた。失業給付が切れた後は母の年金で暮らす。母も2年前になくなり一人暮らし。貯金がそこをつき、半年前には電気が切られた。水は山水。片足が不自由。たまにするアルバイトは、近所の人に頼まれた植木の手入れなど。しかし、「稼いでも酒に使ってしまう。」と眉をひそめる人が少なくなかった。

 町議は、大学で福祉の谷間にあり、放置しておいたら危ないよ」と忠告され、再び福祉課で保護開始の手続きを頼んだ。やり取りの末、なんとかなりそyだ、と感じた町議はその夜、「もう少しだからな」と伝えた。−昨年10月末
言葉を交わしたのはこれが最後だった。

 Tが亡くなっているのが発見されたのは今年1月下旬。Tは1ヶ月前に亡くなっていたらしい。

 民生委員はTを見かけると声をかけ、湿布やおにぎりを上げていた。彼がTが亡くなっているのを発見した。

 町議は3月例会で質問した。町長は「残念ながら本人に窓口に来ていただけなかった」と答えた。だが町議は、申請には本人が出向くことが原則とは認識していなかった。

 福祉課は、Tについて民生委員や県に相談したが、本人に直接話を聞くことはなかった。福祉課長は「寝たきりの高齢者であれば出向くが・・・・」助けるすべはなかった」と振り返る。」そして「近所づきあいがあれば、周りが放ってて置かなかったはず。福祉以前の助け合いができていなかった」と指摘している。

   =投稿=

 <私は福祉事務所に勤めています。現状を知るほど精度への疑問が涌いてきます。  安定的な収入を得ているときに年金保険料や税金を納めず、働けなくなって生活保護を受給している人が、国民年金の満額より多い保護費を受け取っているのを、どれほどの人が知っているでしょうか。  年金生活で倹約を重ねて暮らすお年寄りがいる一方で、保護費で飲み歩く被保護者がいるのも事実です。いったん現金で保護費を渡してしまうと、使い道の指導にも限界があります。  年齢にもよりますが、3人の子どもがいる母子家庭が、母子加算や住宅費も含め、月30万円以上の保護費を得ているケースもあります。働いて手取り30万円を得るのは容易なことではありません。  このように自立を助ける目的で定められた最低生活費が逆に自立を妨げていると思われる場合も少なくありません。受給者を個人攻撃するのではありません。が、制度は見直しが必要であると思われてなりません。>(東京都 41歳)

 <夫はアルコール依存症です。40歳から入退院を繰り返し、仕事らしい仕事についたことがありません。3人の子を抱え、せめて入院費だけでも生活保護でと、この10数年、何回も役場や民生委員に相談してきました。  しかし看護士だった私の給料や、夫の生命保険があることで、「需給は無理でしょう」といわれ続けて今に至っています。子どもたちの進学時期が一番苦しかったのですが、親類や友人の支えで何とか乗り切ってきました。  本人は自業自得かもしれませんが、一番の被害者は妻や子どもです。そうした家族の生活を、わずかでも生活保護で支えてほしい。
「離婚して母子家庭と、男一人の単身所帯になった方が、むしろ保護を受けやすい」と助言されたこともあります。別れないで頑張ろうと思っている妻は、おもにをせおっていくしかないのでしょうか。>

            02/09/04 17 くらし




                   不登校・引きこもりシンポ

                            日本子どもソーシャルワーク

 3年前から不登校や引きこもりの子どもや親の相談にのってきた日本子どもソーシャルワーク協会が6日、東京都内でシンポジュームを開く。寺出寿美子理事長は、「本人が一番、自分を責めている。家でこもる時期を穏やかに過ごせるよう見守っていくことが必要だと伝えたい」と話す。
 −略−
 シンポでは、協会スタッフと精神科医がどのような対応が望ましいか考えていく。

                     2002年9月4日  21



      地域で子育て 保育も教育も

                     広がる幼保一体化 上

 国の異なる制度のもとで運営されている幼稚園と保育園を、自治体レベルで一本化する動きが全国的に広がっている。少子化や財政難による公立幼稚園の統廃合や、保育園の待機児童解消といった狙いはあるものの、就学前の子どもを、地域で一貫して育てようという試みでもある。先進的な取り組み例と課題について、2回に分けて探る。
                                                           (森川敬子)

    独自に同一の条例   東京都千代田区

 東京の都心、JR秋葉原駅近くにある東京都千代田区立「いずみ子ども園}。
 幼稚園だと夏休みで庭園に人影はないはずなのに、個々には子どもたちの歓声が響く。

 4月、幼稚園と保育園が一緒になり開園した。国の認可上、0〜2歳の乳児部は保育園、3〜5歳の幼児部は幼稚園だが、一体的運営をするため、区が独自に同一の条例と育成方針を作った。

 午前7時半〜午後7時半まで開園し、保育時間は保育者の都合で選べる。保育料は所得と保育時間に応じて決められ、3〜5歳児を午後6時半まで預ける場合の最高額は月1万8千円だ。

 すでに88年から、同じ場所に保育園と幼稚園が併設されていたが、園長も職員も別々で、園児や職員の交流が進まないなどの問題があった。

 新園開設で、ひとりの園長のもと保育氏と幼稚園教諭が一緒に子どもたちの育成にかかわることになった。21人の保育ソ、教諭のうち、9人が両方の資格を持つ。

 −略−

 幼児部70人中、早く帰宅する子は21人で、保育園的に利用する働く親が多い。だが矢内敏江園長は、保育園の狙いは養護、幼稚園は教育と二元化されているのが現状だが、就学前の子どもにはどちらも必要との考えで、「だからこそ一体化する意味がある」という。

 9月から、英語と体操の課外クラブを始める。4,5歳児の希望者を対象に、それぞれ週1回の教室を開き、費用は月千円だ。

 また認可保育園である0〜2歳児は、両親が働いているなど「保育にかける」条件を満たさないと入園できないが、区が独自予算を組み、共働き家庭でなくても受け入れる7人分の枠がある。


        町ぐるみで一貫教育  福井県松岡町

 −略−        幼児園(0〜5歳)=幼稚園(3〜5歳)=サービス一緒

 町子育て室「制度や建物は法に基づき二元化しているが、内容を一体化した。子どもたちを地域のみんなで育てていこう、というのが町の方針」という。

 具体的には、午後、地域の人を指導者に、遊びの中で学べるクラブ活動をしている。塾講師による英語、聴覚障害者による手話、看板さんやによる絵画、警察の音楽隊員による音楽などがある。


            国が指針、5年で急増    実質的な一体化まだ少数

 今年5月現在、幼稚園と保育園が一つの建物を共有している公立の施設は47、仕切りがあるが同じ建物内にあるのが21あり、ここ5年間で急増している。

 一体化する試みは、70年代に大阪府交野市や徳島県藍住町などではじまった。90年代に入り、少子化や地方分権の流れの中で、幼保一体化に再び関心が集まり、厚生労働省と文部科学省は98年、幼稚園と保育園の施設の共用化に関する指針を出した。両者とも、地域の実情に応じて幼保の連携を深めていく方針は一致している。

 だが実際は、建物を共有しているだけだったり、教育内容が同じでも保育料は保育園児と幼稚園児で違うなど、実質的な一本化を実現しているケースはまだ少ない。

 保育園は厚労省が、幼稚園は文部科学省がそれぞれ管轄しており、補助金に差があることや、入園条件、設備や職員配置の基準など制度上の違いが多いことが背景にあるようだ。

                              02/8/23 くらし 21



        精神障害者「10年で7万人復帰」

                 厚生省が目標示す  受け皿整備も推進

 厚生労働省は23日、精神障害者の医療・福祉を充実させる綜合計画を検討している社会保障審議会に、「今後10年間で精神病院に入院している約7万人の退院・社会復帰を目指す」などとした報告書骨子案を示した。厚労省が、地域に受け皿が整備されれば退院可能とされる「社会的入院患者」の社会復帰の具体的な目標を示したのは初めて。

 目標の約7万人は、厚労省の99年の患者調査を基に推計され、うち65歳以上は約2万3千人とされている。

 この目標について、どう審議会の分会メンバーで精神障害の当事者である弘田和子委員は「長期入院している高齢者の多くは死亡してしまう」と批判。民間精神病院で作る日本精神科病院協会副会長の津久江一郎委員は、同協会の調査結果から約3万人を目標にするよう主張した。

 骨子案にはこのほか、地域の社会復帰施設への体験入所などによる退院促進策▽地域の精神科病院の輪番制による初期救急の整備、などを来年度から進める方針が盛り込まれている。国が精神病院の立ち入り検査をした場合、その結果を原則公表する考えも示した。

                                02/8/24 34



                        「統合失調症」決定へ

 世界から約8千人の精神医療関係者が参加する世界精神医学界横浜大会が24日から29日まで、横浜市西区のパシフィコ横浜(横浜国際平和会議場)で開かれる。アジアでの大会は初めて。主催者の一つ、日本精神神経学会は大会期間中の26日に総会を開き、精神分裂病の名称を統合失調症に変えることを正式に決めた。

                                02/8/24 34



    校内暴力、4.2%減3万3100件    不登校最多13万8千人  小中高校01年度調査

 −略−文部科学省が発表した。校外での暴力も約510件で11.7%減った。

 いずれも現象は調査方法が変わった97年以降で初めて。文部省はスクールカウンセラー配置の効果だと説明している。一方不登校の小中学生は過去最多で、歯止めがかかっていない。

 −略−
 内訳では、生徒間の暴力が1万5646件(7%減)、教師に対する暴力が5385件(7.2%減)と減少。ただ、建物や備品、動物を傷つける器物破損は1万1969件(1%増)と増えていた。

 小、中、高校に特殊教育諸学校も加えた、いじめの発生件数は2万5076件。前年度に比べ18.9%減で、6年連続の減少。高校の中途退学は10万4904人で、年度当初の生徒数に占める割合は2.6%と前年並みだった。

                      02/8/24 34



  個室でゆったり だが 負担はずっしり 「新型特養」に賛否

          個別対応のケアが基本  

   
建設費は従来のT・3倍    補助金減り部屋代徴収

              新型を優先 国の方針に
                                      02/8/21 21(くらし)



   少子化対策 厚労省要求  地域の子育て支援重点 育給奨励金も創設

 厚生労働省が来年度予算に請求する少子化対策の全容が明らかになった。総額約一兆円で、子育てを地域で支援する仕組みの導入や、育児休業の取得に積極的な職場作りを促す奨励金創設など男女で子育てをする環境を整える施策に重点を置いた。小泉首相は中長期的な施策を含め、各省庁にまたがる総合的な少子化対策を9月中にまとめるよう厚労省に指示しており、同省は今回の要求項目も盛り込む。

 同省は、地域社会での子育て支援の諸施策として役2230億円をかける方針。一時保育など多様な子育てを支援する情報を一元的に把握し、利用者に提供する子育て支援綜合コーディネーター(仮称)を各市町村に配置したり、小学校区ごとに子育て支援委員会を設けたりする事業を始める。

 年長の子どもが赤ちゃんと交流することで、将来の育児不安や虐待を予防する事業にも乗り出す。子育てサークルの支援や育児相談を行なう「地域子育て支援センター」を300ヶ所増やし、2700ヶ所に拡大する。

 子育て生活に配慮した働き方の改革を促す諸施策には計やく80億円を計上。男性を含めた育児休業の取得に積極的に取り組む企業に対して、育児休業取得促進奨励金(仮称)を支払う制度の導入などに約5億円かける。ワークシェアリング(仕事の分かち合い)のモデルを開発。国と業界団体、企業が連携し、全国20〜25箇所のモデル企業を選び、短期間正社員制度などの開発・導入を進める。予算額は約3億円で、少子化対策と合わせてパート労働者の処遇改善にもつなげる考えだ。

                *****************************************

                     ■厚生労働省の主な少子化対策予算■

*地域による子育て支援 約230億円
 (地域の子育て情報を提供するコーディネーターの配置・年長児童と赤ちゃんの交流事業の創設
 シルバー人材センターによる子育て事業の創設)

*保育サービスの拡充 約50000億円
 (週三日程度や午前のみなど柔軟に利用できる特定保育事業の創設)

*子育てに配慮した働き方の改革 約80億円
 (企業に対する育児休業取得促進奨励金の創設・多様就業型ワークシェアリングの業種モデル開発)

*母子の健康・医療体制の充実 約280億円
 (子どもの栄養改善と食生活教育・国立生育医療センターへの女性外来設置)

*子どもや家庭の安心・安全確保 約90億円
(児童相談所の児童虐待相談記録のデータベース化、児童福祉司の専門的判定を支持するシステム開発)

*母子家庭などの自立支援 約2700億円
 (早期自立の母子家庭向け小規模生活支援施設の創設・職業能力開発講座の受講費用、受講期間の生活費を補助する自立支援給付金の創設)

         02/8/22 1



        臨教審からの改革路線 中曽根元首相に聞く

                  「心の教育」強調    問われる教員の力

 学習内容の3割減などを柱とする新学習指導要領をめぐって批判が相次ぐ。かつて自ら臨時教育審議会を設け、現在の改革路線の基礎を築いた中曽根康弘元首相は現状をどう見ているのか。

−「学力低下論」が高まっています。

 確かにおちている。−略−今の大学生や高校生は字を知らない。文章がかけない。理科や数学にも弱い。突然キレて人を刺す少年犯罪も増えているので、学力だけがすべてではないが、企業経営者の多くも「新入社員の基礎学力が足りない」と嘆いている。

−週5日制や学習内容の3割減など「ゆとり教育」路線が、学力低下を招いた、と批判する声も高まっています。

 はじめたばかりだから、結果を語るのは早いが、「総合的な学習の時間」をどう指導したらいいのかわからないめんもあり、試行錯誤の段階だろうと思う。ゆとり教育の真の狙いである「心の教育」を行なうには、教員が人間的に豊かで、力がないとできない。

−週休二日制にも不安が強いようです。

 地域などでの受け入れ体制が十分にできていないところもあるからだ。文部省は受け入れプログラムも整っているというが、テレビやテレビゲームに向かっている子どもも多く、PRがへただ。毎度曜日が休みになって、こどもを「お荷物扱い」にしている家庭も問題だ。

−ゆとり教育はしっぱいでしたか。

 こういう教育方法を目指した真意はよくわかる。私が臨教審を作った84年当時、受験地獄、詰め込み教育、偏差値重視など、いろいろな弊害が出ていた。さらに青少年の犯罪も多発していた。そこで「ゆとりを持った教育にしないと、心豊かな人間をはぐくめない」となった。こうした方向性が、今回の新学習指導要領に反映している。
 今の子どもは私が子どもだった頃と比べようもないくらい負荷をおっている。インターネットなどによって情報はあふれ、ITや環境教育、英会話など、彼らが学ぶべき課題は昔に比べ、格段に増えている。
 そんな子どもたちに「心のゆとり」を与えようと考えるのは基本的に正しいことだ。

       基本法、大事な問題欠落

−「ゆとり教育」を含め今の教育政策の源は、中曽根さんが作った臨教審に行き着きます。

 臨教審の現場対応策そのものはかなりいいものがある。順次実行され、展開されている。功績は認めてもいいと思う。
 しかし一番大切な、基本的な問題が欠落していた。精神的なバックボーンがない。教育基本法に、ただ従っているだけだ。教育基本法は個人や自由が強調され、国家や公に対する観念や、日本固有の文化や伝統を尊重しようという大切なものが入っていない。

 何もナショナリズムでいうのではない。人間として生きるには、精神的な支柱がいる。今の教育体系を見ると、思想とか、哲学を真面目に自分で考える時間がない。

−むしろ、知識面の学習を再強化すべきだという指摘がありますが。

 学力には、国語、算数、理科だけでなく、道徳や体育も入る。学校には道徳や体育の時間もあるわけだから。だが、いま、その面が非常に弱い。

−教育改革国民会議でも教育基本法改正などより、教育現場の問題を先に解決すべきだという声がありました。

 小渕君が国民会議を作るときに話したが、教育基本法については私と同じ考えだった。しかし、国民会議では教育基本法改正には及び腰のようなところがあった。

−ブレア英主湯王や首相やブッシュ大統領は演説で教育の重要性を強調していますが、小泉首相はあまり触れませんね。

 彼は「米百表」を言ったら、あとはすっかり忘れてしまった。仕事が済んだと思っている。

−なぜでしょう

 個性かな。性格かな。特殊法人や郵政省問題でも忙しいんだろうけれども。熱意が見当たらないね。

     ******************************

 「戦後教育の総決算」を掲げた中曽根首相(当時)は84年、首相直属の臨時教育審議会を発足させた。「ゆとり教育」に代表される今の教育施策・改革の源流をたどると必ず臨教審に行き着く。
 そのことを意識した中曽根氏も、インタビューで「ゆとり教育」の正しさを強調した。学力低下など問題の原因は教師の「質」や運営方法などに求めている。
 だが、中曽根氏は臨教審を「失敗だった」と総括する。同氏が目指した教育基本法改正に踏み込めなかったからだ。当時、中曽根政権は国鉄や電電公社の民営化に取り組んでおり、野党との対立を避けるため、基本法見直しに触れないことを約束する必要があった。

 いま、学校や親などの間で論議になるのは「ゆとり教育」の是非だ。中曽根氏は「教育基本法をガチンと直すという政治的行動」を強く求めている。その主張は教育現場に携わる人たちに、どれぐらいの広がりを持つだろうか。



         孤独のレッスン−23− 体験学習 不条理を前に言葉なく

 京都府宮津市にあるカトリック系の暁星女子高は96年から、長崎への修学旅行に代えて、福祉施設での「校外体験学習」を続けている。3年生全員が5泊6日で、知的障害者や痴呆性老人の世話をする。
 −略−ほとんどの生徒が出発前は、《行きたくない》《障害者は怖い》《よその学校では海外旅行にも行くのに、何で私たちだけが》などと思っていた。

 半年かけて事前学習をしてきたはずだ。しかし班毎に分かれて知的障害者施設についてみると、《ウーウーと叫ぶ人やよだれを垂らしている人もいて、どう接すればいいのか戸惑う。老人施設では、全くふつうに見えたお年寄りが何度も何度も同じ話を繰り返すことに、ひるんでしまう。そうした人たちに話しかけることもできない自分が情けなくなり、泣き出す生徒も出てくる。米田ミチル校長は彼女たちの気持ちの奥底をこう想像している。
 「たまたま私たちは健常者に生まれたが、それを『ラッキーだった』として済ませられるのか。以前はふつうだった人が何故、こんな老いを迎えるのか。みんな、そんな不条理の前に立ちすくんでしまう。人間存在の悲しさや深さに突き落とされ、絶望し、途方にくれるのでしょう」

 しかし、ともに軽作業をしたり、車椅子を押したりするうちに、少しづつ立ち直ってくる。まず、《手をつないで見たら、とても優しい人たちでした》と反省し、《食べられなかった昼食も、一緒に楽しく食べられるように》もなった。《私たちはおとなになるにつれて表裏を作って自分の心を見せなくなるが、ここの人たちはすべてを表に出すので、とても純粋》と観察できるようになる。

 日程が終わる頃になると大多数が《障害のある人への思いがすっかり変わった》と感じていた。お別れ会では、感動から泣き出す生徒も多かった。

 カトリック聖母訪問会の修道女でもある米田校長は、指導の願いをこう話した。
 「私たちは場所も時代も能力も選択できないまま、この世に生まれてくる。その事実は、こうした現場で立ちすくんだときに実感するでしょう。その体験をした上で、また学校や社会を見てほしいのです。いわゆる上からの視線ではなく、自らの視線を低くしてみてこそ、人間は豊かになるのではありませんか。ただ放っておいてすばらしいのではないと思います。

             02/8/5 5

 ※私の母校。6月に同窓会があり米田校長のお話を聞く機会がありましたが、ほんとうに元気な方でした。
  来年から男女共学になり、京都暁星高等学校に名称変更されます。
  ぜひ、不登校の子どもたちをも全国から受け入れることのできる学校になってほしいと思います。
  (修学旅行の代替でなくてもいいとは思いましたが、、、)



               「無職」は偏見を助長する   ◆肩書き

                              ロジャー・パルバース 作家・劇作家・東工大教授(67年来日)

 −略−
 かつては、失業すると失業した人自身が非難されるほど、働いていていないことを不名誉とする風潮が強かった。
−略−

 こうした状況からきたと思われるメディア用語で、時代遅れというか、むしろ危険にさえ思えるものがある。こんな用語はいい加減に廃止されないものだろうか。それは「無職」という言葉だ。

 日本では、どの新聞にも次のような記事が頻出する。
 「昨夜午後11時39分頃、男性が多摩川に落ち、某病院に運ばれた。男性は・・・の無職・・・」

 日本では仕事のない人の名前に、この言葉をつける。投書の末尾には、男性の名前と年齢、そしてこの「無職」がつく。
 わざわざ「男性の名前」と書いたのは、日本の女性は、仕事がなくても「無職」の肩書きがつかないことがよくあるからだ。女性の失業は「無職」と断るほど重要な問題とされてこなかったからかもしれない。だとすれば、それは女性への二重の侮辱といえる。

 −略−

 はっきりいえる事は、理由なく「無職」の肩書きをつけることは、ある種の偏見を助長する、ということだ。しかも、こうした偏見は、日本人、特に若い日本人の間ではなくなりつつあるというのに。

 欧米では失業を不名誉と思う風潮は、あまりない。多くの人々はその時間を、自分の再教育や充電のための旅行に利用し、若返り、活力を取り戻して職場に戻る。私たちはしばしば、失業期間のことを英語で「仕事と仕事の合間between jobs」と呼ぶ。これは中立的な言葉だ。しかし「無職」はそうではないように思える。特に、使う必要がない状況で使われるときは、かなり偏見に満ちたものになる。

 報道機関がこの言葉を使うことは、報道が一般庶民をリードするどころか、庶民よりはるかに遅れていることを示しているといえるだろう。

      02/8/3 13 私の視点  ウイークエンド



                    殺者 内実を移す統計はどこに

                                 なだ いなだ 作家・精神科医

 この4年間、毎年の自殺者総数は、連続で3万の大台を保ったままだ。7月24日にまとめられた警察庁の資料によれば、60歳以上が全体の35.1%(1万891人)50歳代25.4%(7883人)40歳代15.0%(4643人)の順となっている。自動車事故による死亡者が1万を大幅に割っている現在、放置しておいて良い問題とは思えない。だがいじめを理由に中学生がひとり自殺すると過剰なばかりに反応する社会もマスコミも政治家も、60歳以上の老人が年々1万人以上自殺していても別に大騒ぎしない。

 大多数の日本人が、自殺は個人の問題と考えるからだろう。「自殺は卑怯な逃避である」だとか「もう少しいのちを大切に」だとか、お説教くさい識者なるもののコメントをいくつか並べて終わりにしてしまう。だが、自殺は個人の問題であるとともに社会の問題である。そのことは、不況とともに自殺者が増大してきたことからも簡単に推測できる。

 注目すべきは、自殺者のうちの「経済・生活苦」が理由と見られるケースの多さである。その数6845人は統計を取り始めた78年以降で最も多くなっている。どうしてこれが社会問題にならないのだろう。

 つい数日前も自民党の首脳の一人が、来年度の予算に絡んで、《公共工事の予算は削減すべきでなく、削るべきは社会福祉と教育予算だ。》と講演していた。だが、最近は老人の福祉関係の自己負担は介護保険も加わって大幅に増えている。にもかかわらず老人の負担を増やし、公共投資でダムや道路を、というのか。このような政治家のもとでは、60歳以上の自殺者は笛こそすれ、減ることはあるまい。


 他方、自殺統計の不備にも問題はある。その他の統計が厚生省に任されてきたのとは対象的に、自殺統計だけは戦後ずっと警察に任されてきた。だが自殺理由の統計的研究をするには項目が不備で、不十分で、大まか過ぎる。生活苦と書いてあっても、その内容は詳しくはわからない。リストラにあい、ローンが払えなくなったのか。借金を返済せよと毎日のようにサラ金から取り立てられていたのか。そうした細かいことは、統計にはでてこない。

 だがもしサラ金の高利の金に手を出して、返済できなくなって自殺を選んだ例がわかれば、問題は変わってくる。公的資金を注入した銀行がサラ金業界に融資し、それがめぐりめぐって、生活苦からの自殺につながった、というようなことが統計的に実証されれば、世の中の視線も、もう少しこの問題に注がれるのではないか。

 老人の自殺の中には、老人が老人を介護し、その介護に疲れたという場合もある。それが孤立した一例だったのか、それとも年々増え続ける傾向にあるのか、統計的にわかれば扱い方も変わる。

 マスコミも、警察発表の数字ばかりに頼っていないで、この種のデータには強い関心を抱いている生命保険会社の協力の下で、自殺研究チームを発足させ、詳しい統計をとってみたらどうだろう。


 統計は政策決定の基礎だ。敗戦後最初の冬、当時の外相吉田茂は、大量の餓死者が出るといってアメリカから余剰農産物の提供を引き出した。だが実際には餓死者ゼロだった。米軍司令部は日本の統計は最低だと非難した。それに対し彼は「もし日本の統計がもう少し正確だったら、日本は戦争に負けていなかっただろう」と言い返した。

   □編集部から
 
 何らかの理由で自らいのちを立った人が、警視庁の統計によると、4年続けて3万人を超え、そこに不況が色濃く影を落としている。なくなた方々の苦悩や絶望、そして残された人たちの悲しみを思うと、なんとも、重い数字です。
 なだいなださんの指摘のように、自殺は個人の問題であると同時に社会問題。昨年11月3日付「私の視点」でも、あしなが学生募金事務局長の藤井雅規さんが「私たちの社会には、自殺について口を閉ざす風潮がある」として、社会全体で自殺に向き合って「人を自殺に追いやる社会から、ともに生きる社会へ」と変えていくように提案していました。

 この間、私たちは果たして前に進んだのでしょうか。3万人という数字を前にあらためて考え込んでしまいます。
 (修)

      02/8/3 13 私の視点  ウイークエンド




         お作法無作法   落ち込んでいる人の励まし方

               言葉ではなく人間関係        救世主になれぬ自覚も

 失恋した後輩を食事に連れ出した。慰めるつもりだったのに、ついフラれた理由をあれこれ追及していた私。自分のデリカシーのなさを深く反省した。落ち込んでいる人がいれば、元気付けたい。でも不用意な言葉は傷口を広げかねないし、おせっかいと受け取られるのもいやだ。「上手な励まし方」ってあるのだろうか?(高橋美佐子)

 神奈川県の主婦(33)は6児の育児に終われる毎日。どこへ行くにも乳児と2歳児を伴わねばならず「自分の時間がないと思ったとたん、どっぷり沈んでしまった」。
 他人に相談するのは苦手だし、子どもの前で暗い顔もできない。鬱々とした日々を抜け出せたのは、PTA仲間からの音楽サークルへの誘いだった。「参加は無理でしたが、子育て中心の日々に参っている私へのさりげない傷きづかいがわかった。うれしかった」。

 落ち込む理由はいろいろだが、肉親の死や離婚などで深刻なダメージを受けた人にどんな励まし方があるのか。

 <つらい気持ちを決して忘れず“生きている自分”のことをちゃんと考えなあかんのとちゃうかな・・・>−メール−
 人づてに不幸を知り、とりあえず一言だけ伝えたかった。「私なら同情されたくはないし、『時間がたてば忘れる』なんて気休めも聞きたくないと思った」。「少しきつい言い方かも」と心配したが、送信後、友人から「ありがとう」と返信されてきた。「顔を見たら、感情が噴き出して何もいえなかったと思う。メールでよかった。

        **********

 「ポイントは、かける言葉の内容よりも人間関係です」。阪神大震災でわが子をなくした母親の相談にも応じてきた英知大学文学部(心理学)の高木慶子教授は言う。
 例えば落ち込んでいる人に『頑張れ』は「禁物」とよくいわれるが、「ケース・バイ・ケースで考えるべきだ。『今までよく頑張ってきましたね』と言い回しを変えるのも手です。」。

 励ます側の心得としては「まず相手の話を全面的に受け入れる。うなずきながら耳を傾け、一緒に涙を流し、ときには背中をさすってあげるのもいいでしょう」。ただし@自分が救世主でないことを自覚するA絶対に相手と同じ気持ちにはなれないのを忘れない、の2点が大切だという。

 「自分を理解する」は、開設30年を迎えた「東京いのちの電話」の相談員研修でも、最も力を注ぐことだ。2年の養成期間を通して、自分の生い立ちをたどりながら、考え方の癖を見つけていく。「あらゆる苦悩の訴えに何を感じ、どう答えるか。自分を知る作業から、その感受性が磨かれます。」と事務局の三崎由美子さんは話す。

       **********

 誰かを慰めたり励ましたりすることが、何故こんなに難しくなったんだろう。
 高木さんは人間関係が複雑化したことを上げる。昔は家族や近隣を核とした狭くて深いものだったが、最近は広くて浅い関係になり、相手の心が読みにくくなった。一方、「うつ」や「トラウマ」などの専門用語が一般化し、「心の傷を理由に、周囲に甘える人が多くなった。」逆に、周囲から「暗い」と嫌われるのを恐れて、落ち込んでいることを隠したがる人もいる。

 「励まし方が下手な人が増えているの伊は、他者との距離のとり方が下手な人が増えてるせいかもしれない。」

 私の場合は
 3年半前に乳がんになったとき、たくさんの方に「頑張って」と励まされた。ありがたかった反面、心の中では「こんなに頑張っているよ」と叫んでいた。−水戸市主婦 大平道子44歳

 状況にもよるが、基本的に「頑張れ」という。かつて自分が落ち込んだとき「私はもう『頑張れ』といわれる資格もないのか」と考えてしまった。あれは痛かった。−大阪府 大学生21歳

 お酒やおいしいものを口にしながら、面白いテレビ番組や映画を一緒に見て爆笑する。励ましの言葉より忘れさせてあげたい。−愛知県主婦39歳



                     そろばん達人 視覚で勝負

                           
数字暗記素人と違う部位

 桁の多い数字を覚えるのに、そろばんの達人と素人では使う脳の部位が違っていることを上智大などのグループが断層撮影装置を使って確かめた。素人が言語処理の部位を使うのに対し、達人は視覚認識の部位が活発に働き、数字を視覚的に覚えていることがうかがわれた。−略−

 調査対象はそろばんの達人10人(平均珠算段位8段)とそろばん暦がほとんどない13人で、ともに20歳前後。覚えられる限界の桁数をそれぞれ調べ、2桁少ない数字を使った。

 達人には10〜15桁、素人には6〜9桁の数字を3秒間見せ、15秒後に同じ数字か微妙に違う数字を見せて、同じかどうかをたずねた。これを30回繰り返し、数字を暗記しているときの脳の状態を提供大医学部の機能的磁気共鳴断層装置(fMRI)で分析した。

 達人は右脳と左脳の上前頭溝や上頭頂小葉という視覚情報の処理にかかわるとされる領域が、素人は主に左脳のブローカー野という言語処理にかかわるとされる領域が活発に働いていた。

 「そろばん熟練者は頭の中にそろばんを浮かべて暗算をするといわれる。数字を覚えるときも同じで、ふつうの人と違う方式だった」と前常置大学院生で岡崎国立共同研究機構生理学研究所の田中悟志さん。

 達人の中には、携帯電話の番号を覚えるときにもそろばんを思い浮かべるという人も。「数字を聞くとそろばんが思い浮かび、かえって不便」と嘆く達人もいたという。

                            02/7/06 14



             保育所 待機児童横ばい

                 4月厚労省調査 入所は1万4000人増

 保育所の入所児童数は大幅に増えているのに、入所できずに待機している児童はほとんど減っていないことが厚生労働省の調査でわかった。01年4月に待機児童が100人を超えた全国の市区から聞き取り調査をした。小泉マイ閣は「待機児童ゼロ作戦」を進めているが、道のりは遠いようだ。

 調査によると、49市区の入所自動は02年4月は35万6294人で、前年比同月比で約1万4千人増えたが、待機児童は1万4047人で、156人増とほぼ横ばいだった。同省は「入所を希望する親が増えているため」と説明する。

 入所児童の増加は定員の弾力化や99年度から設けた特例交付金の効果に加え、制限を撤廃してNPO(非営利組織)や株式会社も設置できるようになり、新たな保育所が増えたためと見ている。

 厚労省によると、01年4月時点の全国の待機児童は約2万1千人。最も多いのは大阪市の1364人。東大阪市1076人。横浜市1040人が続いている。01年4月の集計から待機児童の定義を改定し、近くで入所可能な保育所があるのに第1希望に入るため待機する児童らは除外されている。以前の定義なら約3万5千人となる。


                             02/7/06 14



               記者は考える 食のゆがみは社会のゆがみ

 何を食べるか、どれだけ食べるか、どのように食べるか。日本の食卓は戦後、わずか30〜40年間で大きく様変わりした。世界的に見ても、これほどまでに食のスタイルが変化した例は少ない。
 日本の食卓は今、どうなっているのか。そして将来は−。先月末から、食をテーマにした長期シリーズ「満腹日本」の連載を始めた。

 第1部の連載を通じて見えてきたのは、「おなかはいつも満腹。だけど心は満ち足りない。」こんな日本の姿だった。いろいろな食べ物を楽しめるようになった裏側で、進む味の平準化。飽食とあふれるストレスが生み出した大食いブームやファスティング(断食)。食事作りさえ十分にできない日常。質の面での貧しさが浮き彫りになった。

      *****
 
 2年前、文部、厚生(いずれも当時)、農水の3省が国民の食生活の改善を促そうと、「食生活指針」を定めた。あまり浸透していないのだが、「食事を楽しみましょう」「主食、主菜、副菜を基本に食事のバランスを」「食文化や地域の産物を生かし、ときには新しい料理を」など10の目標を掲げている。当たり前のことばかり並んでいるが、実はこの「当たり前を実践するのは、きわめて難しい。

 食生活が病んでいるのは社会が病んでいるのだ。食の見直しは、社会のあり方を見直すことにつながる。例えば、「家族だんらんを大切に」と国は言う。でも家族一緒に夕食を囲める所帯がどれだけあるのだろうか。働き方のシステムを変えないと、だんらんは望めない。

     *******

 連載への意見や感想が多く寄せられた。「夕食が味噌汁と麻婆豆腐という組み合わせもしょっちゅう。こんなことで子どもの味覚や嗜好が偏らないかきになる。というのは愛知県の主婦。名古屋市の男性は、「サラリーマンは定時に変えるのは無理。子どもは塾で、食事時間は不安定。充実した食卓を囲むには、かなり強い意志を持たないとできない。」と嘆く。みんな「わかっちゃいるけど、変えられない」と感じている。

 昨年の牛海綿状脳症(BSE)の国内発生以降、食の安全・安心を揺さぶる問題が次々と起きている。「安全」はもちろん大切なテーマだが、食をめぐる問題はこれだけにとどまらない。乱れた食生活が健康に及ぼす影響、「デパ地下」などで出来合いのものを買って済ます「中食」市場の拡大にみっれる食卓メーカー任せだけでは問題は解決しない。の外部化、消える食文化、輸入頼みの食料・・・・・。課題は多い。
 でも、行政やメーカー任せだけでは問題は解決しない。おなかも心も満ち足りた食生活を実現するには、私たち消費者が「食べることにもっとこだわるしかない。

                                         02/7/09 11



                           出自知る権利どこまで

                          生殖補助医療進むルール作り

 第三者から卵子や精子、受精卵の提供を受ける生殖補助医療をめぐり、厚生労働省の審議会でルールづくりの議論が進んでいる。その主要な論点のひとつが、生まれてきた子に「出自を知る権利」をどこまで認めるかだ。日本では、精子提供を受ける非配偶者間の人工授精(AID)の歴史が50年以上あるが、提供者(ドナー)は完全匿名でおこなわれてきた。百八十度の方向転換は十分機能するのか。課題を探った。(暮らし編集部・岡崎明子)

  告知する態勢これから
 AIDは現在、国内26施設で実施することができ、これまでに1万人以上が生まれている。だが、遺伝上の父親がいる事実を親が子どもに告知する例はほとんどない。−略−
 85年に世界で初めて、AIDで生まれた子どもに出自を知る権利を認めたスウェーデンでも、告知は最大の課題となっている。−略−

 「告知してからが本当の意味で親子になれると思う。遺伝上の親元に行ってしまうのではと心配する人が多いが、育てている自分に自信を持ってほしい。告知は世間に向けておこなうものではなく、子どものためにおこなうものです。」(「つぎきの家族の会」−養子縁組里親の会−代表 野口勝治さん)

  子には衝撃、ケア不可欠
 「これまでのカウンセリングでは、生まれた子どもの幸せという視点が欠けていた。子どもの心を守る態勢を整えなければ、出自を知る権利を認めるかどうかの議論は成り立たない。」東京女子医大 小児科 斉藤加代子教授
(チームを作り、支えることを提案)

  ドナーも自覚必要
 精子や卵子のドナーが、「自分の行為が新たな生命を生み出す」という自覚を持つことも求められる。
 AIDでは、医学部学生がドナーとなるケースが多い。関係者は「ドナーとなる理由は、手助けしたいという気持ちと、学内のつながりが多い。出自を知る権利が認められたら、おそらくドナーはいなくなるだろう。」−略−

 ただ、提供者がいなくなるからこの権利を認めないというのは本末転倒だ。厚労省の生殖補助医療部会で、委員の一人は「ドナーとなる人は遺伝上の親となることに喜びを感じ、子どもの人生に巻き込まれるという覚悟が必要だ」と指摘した。
 子どもは、自分が選んで生殖医療によって生まれてきたのではない。彼等が遺伝上の親を知りたいと思ったとき、その思いに答える態勢を準備しておくことが、この医療の未来につながる。



                      「保護」への偏見、心に重く

                   シリーズに反響「もっと知って」受給者の声

      「どうやって食べてるの?」聞かれるのが怖い

      母子4人。持病もあり自立できず腹立たしい

 <メモ>厚労省の今年3月の速報値によると、現在生活保護を受けているのは約83万4千所帯、約119万2千人。人口当たりの率は0.94%で、ここ数年急増しているものの、欧米と比べるといたって低い。
 保護水準以下の生活をしていても、受けない人や受けられない人が多数いるためだ。家族関係や資産などの厳しい審査の他に、受けようとする人の抵抗感が背景にある。受給者に対する周りの見方が、その抵抗感を作り出し、助長すると指摘されている。

 <「生活保障」取材班>生活保護制度を巡る福祉職員の悩みや、読者の批判的な見方を紹介した6月12日付の記事に、多数のご意見が寄せられました。「受給者への偏見を助長する企画だ」「保護を受ける側の思いをもっと知ってほしい」などの内容です。誰もが貧困に陥る可能性がある時代、必要な人が抵抗なく権利として生活保護制度を利用できるようにするために、より広い視野で考えて生きたいと思います。
 生活の苦しさや社会的な支えのあり方について、連絡先を明記したうえ、体験や意見をお寄せください。

                    02/7/16 16

<投稿>「相手の尊厳認めて」「温かな視線を」「憲法身近に感じた」「ほしかった人権の言葉」
    


  ティーンズメール  周りの目気にしてしまう  もっと気持ちと仲良くなろうよ

 私は周りの目を人一倍気にします悪口とか言われたくないので、自分の本心を抑えて、できるだけ相手に合わせるようにしています。−略−ストレスがたまって、家では兄弟に当たったり、、、、、、髪がたくさん抜けたり、、頭痛、、、
 このままでいいとは思いません。結局は自分が弱いんだと思うけど、どうすることもできないでいます。(女、13歳)

 あなたの中にはあなたのことをいつも監視して評価して批判している「いじめっ子」が棲んでいるんだね。−略−
ふくらんで爆発する前に取り出せたらいいね。金魚すくいみたいにそーっと、心の奥にあるものをすくいとって手のひらに浮かべて眺めてみない?
 名前をつけて呼んであげてね。悲しさ、不安、怒り、さびしさ・・・・・誰か安心できる人に話せたらいいね。ペットと話したり、手紙や日記に書く人もいるよ。
 するとだんだん「いじめっ子」の声が小さくなって、あなたは周りの目よりも、自分を信じて、自分と仲良くなれるはず。一番身近な友達は自分の気持ち。つき合いかたが変わると楽になれると思うよ。
                      (佐和野愛−思春期相談室ティーンズポスト スタッフ)

 10@ed.asahi.com                      02/7/02 24



        仕事と介護 40社アンケート  無給避け「在宅」「有給」

           パソコン駆使し管理職も      家族の最期みとる

           特別休暇・年休積み立ても    長期化には対応難しく
                                                          02/7/02 23



            人権法案国連が問題視  高等弁務官、首相に親書

 国連筋は1日、国連人権高等弁務官が、小泉首相あてに、日本の人権擁護法案に懸念を表明する親書を送ったことを明らかにした。人権委員会を法務省の外局に置くなどの内容が、人権機関の独立性を求める国連原則に合わない点などを問題視していると見られる。

 親書は数ヶ月前と最近の複数回出されたとの情報がある。同筋は、「弁務官の仕事は、人権委員会を国連の定めた原則や国際的な基準に沿ったものにしてもらうように手助けすることだ」と述べた。

 「国連の定めた原則」とは、93年に採択された「国内人権機関の地位に関する原則」(通称、パリ原則)を指す。パリ原則は、政府からの人権委員会の独立性を重視、自前の職員、土地、建物をもてるような財源措置が必要としている。
 だが日本の法案では、人権委員会を「法務省の外局に置く」とし、事務局職員についても、主に法務省の役人が就任することが想定されている。

 98年には国連規約人権委員会の対日勧告が、「警官、入国管理職員の虐待」を例にあげ、公権力による人権侵害への苦情申し立てを扱う独立した人権救済機関の設立を日本政府に求めた経緯がある。その結果作られたはずの法案が、公権力による人権侵害への対処ではなく、報道による人権侵害を主要な規制対象とするなど、「国際基準」から離れた内容となっていることも「懸念」表明につながったとみられる。
                                                 02/7/02 総合



                   特養入所基準「必要度」順に 厚労省

 厚生労働省は1日、現在は申し込み順になっている特別養護老人ホームの入所について、申し込みが多く待機者がいる場合に、一人暮らしかどうかなどの生活状況や介護の必要度を考慮して、必要性の高い人が優先的に入所できるように施設運営基準を改める見直し案を社会保障審議会介護給付費分科会に諮問し、原案通り答申を受けた。7〜8月中に省令を改正し実施する。
                              02/7/02 13



                 優良企業40社(ファミリー・フレンド企業)

 厚生労働省は、仕事と育児・介護を両立しやすい制度を整えている会社を、ファミリー・フレンド企業として表彰している。介護休業制度が全事業所に義務化された99年度から始めた。99年度は38社、00年度は46社、01年度は40社が選ばれた。
                                            02/6/25  25





                          心を病むってこんなこと

                         地域で語り始めた精神障害者たち

 精神障害者は約200万人。60人にひとりで身近な存在のはずだが、交流の機会は少ない。心を病む人がどんなことで困り、悩んでいるかを知ってもらおうと、市民講座やホームヘルパーの研修会などで、当事者が講師になる場面が増えてきた。思いを語る人、受けとめる人。新たな出会いが各地で生まれている。

                       ヘルパー導入を機に発信

 「薬で病状安定」−略

                                       02/6/25 27




                 歌舞伎町に心の止まり木
                       
                       救済拠点を開設  NPO運営1ヶ月で300件

 新宿の・歌舞伎町交番前の雑居ビルの一室。不夜城の町に、1ヶ月前、民間の相談・救済センターができた。夫の暴力に悩む女性、いじめで苦しむ学生・・・・。すでに300件以上の電話や訪問があった。「シェルターに隠れたい」。日本最大の繁華街の一角に、傷ついた人が次々と集まる。

 「新宿救護センター」(歌舞伎町2丁目)。NPO法人・日本ソーシャル・マイノリティ協会(玄秀盛代表)が運営する。学生や主婦のボランティアのスタッフ15人が24時間体制で相談に応じる。「弱者救済」が目的。虐待や暴力を受けて、相談相手のいない人、行き場を失った人に利用してもらう。

 −略−

 センターはかけ込み寺として施設(シェルター)ももっていて、緊急避難的に相談者を保護する体制もとっている。1〜2日間、保護し、その間に解決策を話し合うという。相談内容によっては、警察や行政機関に通報する。

 相談料は40分2千円。類似の公的施設はない。−略−

 自らも母親に虐待を受け、家出を繰り返したという玄代表(46)は、神戸市の自宅を担保に入れてセンターを開いた。2年前、急性白血病の原因となるウイルスが体内から発見され、「何か社会にできることを」と決意した。

 「家出人は歌舞伎町に潜伏する人が多い。彼等がいつでも駆け込めるように歌舞伎町を選んだ。相談の多さにびっくりしている。ストレスの多い社会が、家庭内の人間関係に影響している部分がある」と話す。

 相談窓口 03-5391-5720
                      02/6/22 15




                          心のリハビリ施設発足

 マインドコントロールや家庭内暴力などで傷ついた心を癒し、社会復帰を助ける滞在型リハビリテーション施設が、長野県小諸市にできた。相談に応じてきた牧師や心理学者、弁護士等が開設した。自然に恵まれた静寂な環境の下でゆっくり過ごしてもらいながらカウンセリングを続け、自立してもらうのが狙いだ。(由衛辰寿)

 JR長野新幹線の佐久駅から車で10分。農家が点在する田園地帯の中に、特定非営利活動法人「小諸いずみ会」が運営する「いのちの家」がある。−略−

 対象者としては、ひきこもり、配偶者の暴力、組織的なマインドコントロールなどで、社会へ適応できなくなったり、親子関係が崩れたりした人たちを考えている。−略−

 所長を務めるのは日本基督教団隠退牧師の川崎経子さん(72)。都留市の協会で働いていた頃、・・・・相談を受けていた。

 精神的不安から自宅に帰れない人や家族から離れて心の整理をしたい人を牧師館に泊めた。
 一緒に食事を作るなど、心身をリラックスしてもらうことから始めたが、多くの人が悩みを持つ仲間との出会いを通して互いに励ましと慰めを受け、心の落ち着きを取り戻して言った。

 そんな姿を見るうち、牧師を退いてカウンセリングに専念したいと思った。−略−

 川崎さんが特に注意するのは、他人の指示や権威を求める「依存症」だ。相談者が社会復帰後、川崎さんの紹介で結婚した例があったが、「お世話になった川崎さんの紹介だから絶対に逃げられない、必ず成功させなければならないと思った」と後で聞かされ、自分が新たな心のよりどころになっていたことに驚いた。

 「絶対的なものに依存させられてきた思考のパターンがなかなか抜けきれない。脱皮しない蛇は滅びるし、古い皮袋に新しい酒を入れることはできない。自分の頭で考え、自分の足で歩けるように、捨て去るべきものを捨て去るお手伝いをしたい」と川崎さん。−略−

 滞在型リハビリ施設では米国オハイオ州にある民間施設が唯一知られており・・・・

 連絡先 0267-26-6757
                            02/6/24




                   心神喪失者法 再犯予測、できはしない

 今国会に提出されている「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律」(案)は、昨年6月8日の大阪教育大付属池田小での児童殺傷事件が1つのきっかけになっている。事件の翌日、「保安処分も視野に入れて検討する」とした小泉首相の強力な指示のもと、法案作成は法務省の強い関与によった。

 精神障害当事者、精神科医療関係者、日本精神神経学会、日本弁護士連合会などは当初から政府の動向に重大な関心を払ってきた。

 不幸にして犯罪を行なってしまった精神障害者に関する施策を考える際、必要なのは現実を踏まえた議論であり、精神科医療と司法における現状改革である。

 踏まえるべき現実の第一歩は、国家そのものの差別によってつくられてきた精神科医療の貧困である。58年の厚生事務次官通知による医療法特例はハンセン病、結核と共に精神科の医師と看護は一般科の各三分の一、三分の二でよいとした。00年の医療法改正においても精神科のみがこの特例のもとに取り残された。

 日本医師会と日本精神科病院協会はこの特例の維持を政と官に強く働きかけ、今度の法案においても政府と共同歩調をとっている。

 これは偶然の一致ではないと私は理解している。精神障害者の医療と人権の向上よりも少ないスタッフによる病院の維持が既得権益となり、政府の安上がりに多数を収容する、精神障害者差別に根ざした政府理念といっちしてきたからである。

 第二は、司法−法務省の問題である。検査官は起訴・不起訴を決定する裁量権限を持っており、不起訴とされる多数の精神障害者は措置入院という知事による行政処分入院となる。この段階で不透明かつずさんな簡易鑑定や、検査官の決定が多大な混乱を精神科医療にもたらしている。この起訴前の問題は関係各方面から批判されてきたが、なぜか、今度の法案はそれを丸ごと温存している。

 法案には、裁判官と精神科医の合議体という形で、「裁判所」が設けられることになっている。だが、そこでの審判では、弁護権の実効性は極端に奪われており、そうでなくてもある冤罪が増加する恐れがある。

 第三に、再発予測の問題がある。精神神経学会(理事会、精神医療と法に関する委員会)は5月11日、再犯予測は不可能であるとして、本法案に対する抗議声明を発した。

 法案によれば、精神科医は事件被疑者に対し再犯予測鑑定のみならず、入院・在院・退院・通院・通院の終了などを決定する際には再犯の危険性を予測し、処遇しなければならない。坂口厚労相は5月28日の国会で再犯予測は可能との見解を示し、オックスフォード精神医学教科書に言及したが、同教科書はむしろそうした予測の難しさを強調している。日本共産党も5月30日の「見解と提案」で再犯予測は可能として政府案の骨格に同調した。大多数の精神科医は予測可能と考えておらず、驚くべき判断だ。根拠なき予測で拘禁すれば、多くの病者が無実で拘禁されるだろう。

 法案は司法の不公正な人権抑圧を固定し、貧困な精神科医療をいっそう破壊する。初犯が多い精神障害者の犯罪予防にも役立たない。

      日本精神神経学会「精神医療と法に関する委員会」委員長、精神科医     
                                                     富田三樹生



            子どもの虐待死 法施行後62人に 厚労省が報告

 厚生労働省は20日に開いた全国児童相談所長会議で、00年11月の児童虐待防止法の施行後、62人の子どもが虐待で死亡したことを報告した。また全国の相談所が受けつけた児童虐待に関する相談は、2万4792件と00年度の約1.3倍に増えたことも明らかにした。

 報告によると、同省が報道や自治体からの情報で把握した死亡者のうち、3歳未満の子どもが7割以上を占めた。また、死亡者のうち15人は、児童相談所が事前に虐待の情報を知りながら、保健所や福祉施設との連絡が徹底されなかったなどの理由で虐待死に至った事例だった。
                                   02/6/21 37




                       家庭保育園 行政の穴埋める

                            母親の知恵で助け合う

 近所の子どもを自宅で預かる「家庭保育園」が神奈川県を中心に広がっている。−略−

 開設希望者向けのセミナーが・・・

 *藤本裕子さん−「月刊 お母さん業界新聞」発行の「トランタンネットワーク新聞社」の社長

                            2002年6月21日 10 ニッポンの未来は 地域で挑む




                          夕方まで幼稚園で安心

                         子育て支援で広がる「預かり保育」

 原則4時間の教育時間を延長する「預かり保育」が、幼稚園で広がっている。働き始めたい親や、少子化や核家族化で子育てに悩む親の支援策として位置づけられている。保育園の待機児童解消を狙い、積極的に進める自治体もある。国も預かり保育の望ましいあり方を研究して推進しているが、ガイドラインの必要性や、質の向上を求める声も上がっている。(森川敬子)

                       実施は全体の55% ガイドラインが必要に 

 預かり保育は00年度から「幼稚園教育要領」で幼稚園の機能の1つに位置づけられた。実施園は年々増え、昨年6月現在全体の55%で、私立では78%に及ぶ。

 文部科学省も昨年度まで68市町村を預かり保育推進地域に指定して調査研究をしてきた。全国的に核家族化、少子化のため、母親の仕事や通院、社会活動への参加、子どもの遊び場や遊び相手の確保といった点で、ニーズが高まっていることがわかった。

 実施園の約半数は週5日、約7割が午後4〜6時までで、午後6時以降まで預かる園は6%と少数派だ。

 現在私立31園で485人が利用している横浜市では、同市独自の基準を満たした保育室の併設や、園児の弟妹に限るなどで、0〜2歳児も預かる園が8園ある。同市幼児教育センターは「本格実施2年になり、今後は監督体制を整える必要がある」と話す。

 同市の委託で、預かり保育の室を調べた御茶ノ水大学の武藤隆教授は「親のニーズも満足度も高く、開始時点では概ね問題はない。だが今後広がることを考えれば、ガイドラインが必要。優秀な保育者の確保と質の向上にも課題が残る。
                                                             02年6月21日 23



                          私立高校の統一テスト

 調査書無意味/客観的で合理的    絶対評価に募る不信感 − 賛成
 
 試行錯誤やめて/実現性疑問      中学生のゆとり奪う − 反対
                                                     02年6月20日 34



                      少子化対策議論を開始 自民

 自民党は19日の厚生労働部会少子化問題小委員会で、出生率が過去最低となっている少子化対策についての議論を始めた。政府が秋までに具体策を固めるのに合わせて党案まとめ、予算編成などに反映させていく方針。

 この日の会合では「子どもの数に応じて所得税が軽減される税制がフランスなどでは効果をあげている。「母親が育児に喜びを感じられるようになるまで訪問サービスを充実させるべきだ」「男性が育児に参加してもデメリットを受けないような社会をどうつくるかだ」など活発な意見が飛び交った。
                                           2002年6月20日 4



                        「国際都市」授業も英語で

 成田空港のおひざ元、千葉県成田市で、英語以外の教科や学校行事も英語で行なうバイリンガル教育が今年度、高率の小・中学校でスタートする。高校生を対象にした国の英語教育推進授業を小・中学生にも広げ、一貫教育で実践的な英語力をつける狙い。−略−

 *県立成田高校を核に、近くの市立中学1校と、その学区の4市立小学校.
 *受験用の英語力ではない.
 *コミュニケーション能力を育てる目的.
 *9月から、音楽と体育の授業で英語を使う.
                                      2002年6月20日(木) 37



                    子どもたちにも過敏性腸症候群

                             授業中にもおなかがゴロゴロ
                                     激しい腹痛でトイレ
                                     ガスが出る
               ストレス増が背景

                           「過敏性腸症候群」
  検査をしてもはっきりとした原因が見つからないのに、下痢や便秘を伴う腹痛が繰り返す。大腸の運動が盛んになりすぎ、腸の水分吸収が十分できず、便が柔らかく、水のようになるのが「下痢型」。「便秘型」は大腸が痙攣してぜん動運動が減り、腸内に食物が長くとどまって過剰に水分が吸収され、便が固くなる。いずれも排便によって腹痛や不快感が軽くなるのが特徴で、ストレスを強く感じると症状は悪化する。

                        十分な睡眠と規則正しい生活を
                                   −山城雄一郎・順天堂大

 ・過敏性腸症候群が疑われるケースは、小学校高学年で見られ、低年齢化の傾向.
 ・欧米では虐待との関係も指摘されている.
 ・几帳面でがんばり屋の子どもに多く、心配する母親の緊張が伝わって悪化している場合もある.
 ・ひどくなると、不登校や引きこもりのきっかけとなる.
 ・腸はデリケートでストレスの影響を受けやすい.
 ・カウンセリングも有効.
                                    2002年6月20日(木) 25 家庭


 
                  学校崩壊 守るべきは教育か教員か

 −略−
 日本の学校教育は小学校から大学まで今や崩壊に瀕しているが、この問題も教員や生徒を叱咤激励したり、規則などの小手先の改善をしたりすれば解決するものでないことはあまりにも明らかである。
 私に言わせれば、現代日本の教育の崩壊の原因は意外と簡単である。それは、われわれが硬直した教育思想、固定観念に取り憑かれているからである。この簡単な原因が見えないのは、われわれが見ようとしないから、それを頭から正しいと思い込み、疑ってみようとはしないからである。現代日本の教育の崩壊を招いている固定観念とは次のようなものである。

 1.みんな潜在的には平等な能力を持っているという観念。この観念があるため、勉強のできる子もできない子も一緒くたに同じ教科を与えられ、できる子は分かりきったことを教えられて授業がアホらしくなり、できない子は怠けていると責められ、授業がいやになる。学級崩壊は不可避的結果である。

 2.誰にとっても勉強は苦痛であるが、がまんして勉強すればそのうち役に立つという観念。これも明らかに現実に反している。勉強が好きな子がいて、そういう子は禁止されれば隠れてでも勉強する。好きで勉強したことは身につく。もちろん、勉強が嫌いな子もいて、がまんして勉強しても身につかないし、もし仮に身についたとしても、後の人生において何の役にも立たないことが多い。

 3.一定の正しい教育方法というものがあって、それを実施すれば、生徒の能力が伸び、個性が開発されるという観念。いくら探しても正しい教育方法のようなものはない。能力は、生徒が自分で伸ばすものであるし、個性なるものは、むしろ、画一的教育を強制する弾圧的教師とのせめぎ合いから生まれる。

 4.有害なこともあるのに学校教育は長期であるほど無条件に本人のために有益であるという観念

 5.ある学校に通学し、卒業すれば一定の能力とか教養とか技術とかが身についているという観念。特に大学などは入学しさえすればよほどのことがない限り卒業できるのであるから、この観念が現実に反していることは言うまでもない。

 まだ他にもあるが、これらの現実に反する固定観念に基づいている現代日本の教育が崩壊するのは当然である。問題の解決は理論的には至極簡単である。これらの観念を捨てさえすればよい。教育を立ち直らせるにはそうするしかない。

 わたしは義務教育は読み書きのできる小学校4年まででいいし、特に大学の卒業証書は廃止すべきであると考えている。

 しかしそうなれば、多くの学校が廃校になり、多くの教員が失職するであろう。教育を守るか、それとも学校を維持し教員の職を保証するかの二者択一の問題である。

                   −岸田秀 和光大学教授(精神分析学) 2002年6月16日



                        『6・3制』超えジワリ 文科省、研究校を指定

 小学校6年間、中学校3年間という枠組みを超えることも想定した研究開発学校を、文部科学省が指定した。戦後50年余続いてきた学制は揺れだすのだろうか。

メ モ
 6.3制の枠を超えることも想定した研究開発学校は5月、4件が指定された。期間は向こう3年間。直島町と品川区は「小中一貫」を研究する。小中一貫の指定校は初めて。残る2件は、幼稚園から中学校まで連携した教育、指導を研究する。高知県田野町では、町立の幼稚園、小学校、中学校の3校が10年間の英語教育。宮崎大教育文化学部付属の幼稚園、小学校、中学校では一貫教育のほか、異学年の学習集団編成にも取り組む。

                       小6、中学校で勉強  「5・4」にらむ

                                          2002年6月16日




                          児童福祉士、ストレス限界
                       
                           半数が保護者対応に悩み−日本子ども家庭研究所調べ

 児童相談所への虐待通報が急増するなか、児童福祉士の多くが保護者への対応などに非常に強いストレスを感じていることが、日本家庭総合研究所あ(東京都港区)の調査で明らかになった。仕事の難しさに比べ、達成感は乏しい。−この調査結果は、22,23日に大阪市立大学で開かれる日本子ども家庭福祉学会で発表される。

 調査は、今年2、3月に全国の児童福祉士1480人を対象に実施され、有効回収率は56%だった。

 仕事とストレスに関する調査結果を分析したところ、半数以上の福祉士に、仕事による心理的な疲労が著しい傾向が示された。また、子どもや親といった援助対象者に対して非人間的な対応をしたり、モノのように扱ってしまったりする感情を抱いている人も2割を超えた。一方で7割以上の福祉士は、自分の能力や仕事の実績を基にした「自己成就」感が低かった。

 具体的には、一時保護や施設入所させた子どもについて、保護者が強く引き取りを求めた場合の対応に困難を感じることが多い、とした福祉士が7割を越えた。児童相談所が親の意向に反して子どもを施設に入所させるため、家庭裁判所に申し立てるケースについても、約半数の福祉士が「保護者との関係が難しい」と答えた。

 虐待をした親などとの関係では、暴言や強迫で心理的な圧力を感じることが多い、との回答は6割近かった。また4割近くが身の危険を感じる、と答えた。

 「仕事に誇りを持っている」と答えた人は半数に近かった。しかし、「今後も福祉士を続けたいと思わない」と答えた人が36%を占め、「思う」の31%を上回った。

 調査の中心メンバーの高橋重宏・日本社会事業学校校長は「個人の問題というより、相談所のシステムの問題。福祉士の数を大幅に増やし、専門家を置くなど抜本的に変えないと解決しない。児童相談所の負担を増やしただけで、親権の問題や家裁の介入などに切り込めていない児童虐待防止法のひずみが出ている。」と話している。
 
                                              − 2002年6月16日




                              生殖医療

                                 命を作る技術 11

 生殖医療技術は飛躍的に進みましたが、そろそろ「いのちを操作できる時代」の限界を考える時期にきていると思います。
 生殖医療を考える際、78年に世界初の体外受精児「ルイーズちゃん」を誕生させた英国のロバード・エドワーズ博士のことを思い出します。−略−

 私は当時、暴走しがちな科学技術の危険性や、将来の精子、卵子、母胎の商品化の問題などを指摘しましたが、博士らの姿勢に、「秘密裏にやらない」という信頼感を抱きました。−略−

 科学者は「信念に基づく研究(治療)」と主張したとしても、「思い上がり」「傲慢さ」が見え隠れしてしまいます。
 元来、子どもは夫婦に「授けられる宝」であり、「人生の恵み」という発想が強くありました。最近は、「作るもの」「産むもの」という発想が強くなっているように感じます。

 だから、「作れない」となれば、お金をかけて最先端の技術を使って何とか作ろうということになる。しかし、人間の欲望には限りがなく、倫理的な問題を生み、子どもの尊厳を侵すような危険性も生じています。
 科学技術は、人間を、あきらめ、絶望、不安などから救い出しました。しかし、同時に不安に陥れ、悲しみを増幅する事態も引き起こしています。遺伝子診断で特定の遺伝子による病気が発生するとわかっても治療法がない、などがその一例です。

 生殖医療は医師、患者の当事者間で同意があっても、社会的合意なしで実行すれば悲劇も起こりかねません。非配偶者間人工授精で生まれた子どもが成人し、遺伝的な父親を探したい、出自を知る権利を保障してほしい、という声をあげています。
 こうした事態を関係者は想定していたでしょうか。相互の合意だけで物事を決めるという、「患者や当事者のニーズ」だけに基づく医の倫理はもう通用しないのです。
                                −木村利人・早大人間科学部教授 02年6月12日






                          児童虐待3万5000件

 全国で00年度に新たに起こった児童虐待が推計で約3万5000件にのぼることが、11日に公表された厚生労働省研究班の初の全国調査で明らかになった。各都道府県や主要都市の児童相談所福祉・保育施設学校警察医療機関など約11万機関に調査票を郵送し、00年度に新規に把握した事例を調べた。
 虐待事例は、重複を含め2万4744件。回答率などから逆算すると、実際の発生は3万5000件程度になるとみられる。報告のうち、56%が就学前の乳幼児に対する虐待で、79%が治療やケアを必要とした。
 また0歳児が全体の約8%を占め、その半分以上が4ヶ月までの乳児に集中するなど、育児不安から孤立し、子どもとの関係をうまく築けない親の姿も浮かび上がった。
 児童相談所が把握しているのは約半数にとどまり、他の機関が端緒をつかんでも、軽症と判断した場合や確信のもてない場合は児童相談所に連絡しない傾向も見られた。

                                                 2002年6月12日





                  「小学生の息子に土下座させ、暴れて支給迫る」

 誰もが陥る可能性のある現代の貧困。−略−
 貧困の現場に向かい合う福祉職員の悩みを聞き、紹介した事例に対する読者からの批判を「言いたい」にまとめました。

 「本当に困っているのか、保護を受けるためのウソなのか。判断は難しい」−首都圏の20代のケースワーカー

 「夫と別れて生活が苦しい」と涙を浮かべて訴える若い母親。翌日、その母子が夫と遊園地にいたという情報が舞い込む。偽装離婚なのか。夫の援助は本当に無理なのか。人間を見る目が揺らぐ。一方で、何年か前に起きた母子所帯の餓死事件が頭をよぎる。
 「結果的に保護しても、しなくても、寝覚めが悪いものです。」

 大学卒業後すぐ今の職場に。希望ではない。まっさらの新人が、約80所帯の相談に乗る立場になった。配偶者の暴力(DV)、子に見捨てられた要介護高齢者、路上生活者・・・・。それぞれ複雑な課題を背負っていた。
 「どう対応していいかわからなかった。精神的にう追い込まれ、食事がとれなくなり、1年で7キロやせた」と振り返る。
 今4年目。福祉制度の全体像が頭に入り、援助の道筋が見えるようになった。気がつけば、この福祉事務所で最も経験が長い職員になった。
 役所で一番不人気の職場。全員が移動希望だという。平均3〜4年で入れ替わる。
 「いやいや仕事してすぐ移動。専門職として知識や経験の蓄積がない。しかしケースワーカーが冷たい人間ということではない。力になりたいと苦闘する担当者もいることはわかってほしい」

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 (中部地方の50代のケースワーカー)
 小学生の息子を土下座させ「こんなに困っている。保護をかけろ」と声を荒げ、殴りかかってきた男性。相談者が傘を振り回して暴れ、警察を呼んだこともあった。

 「あの家は今日、刺身を食べとった」。保護を受ける一家と同じ団地の住民から、そんな電話が入ることも。保護受給者への偏見とねたみ。気持ちが暗くなった。

 事務作業に追われ、本来のケースワークの時間が十分にとれないことが悩みだ。「余裕がなくなれば、機械的な対応になりがち。悩みを丁寧に聞くことなどできません」
 多いときは138所帯を担当。休みをつぶしても追いつかない。−略ー

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 (東京都内の30代の自治体職員S)

 「ひとりのケースワーカーが平均80所帯、年間1億円以上の貴重な税金を扱っているのです」
                                    
 生活保護では、申請者の預貯金の有無を照会したり、親兄弟に扶養できるかどうかを問い合わせたりする手続きがある。
 「この資産・扶養調査が保護のハードルを高くするという批判もある。しかし納税者から見れば、きっちりした調査は絶対に必要だ」
 数十万円単位の預貯金が見つかることは珍しくなく、S三自身保護所帯の資産調査で2千万円を越す預金を発見したことがある。
 
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 (都内の40代の自治体職員)

 「私の周囲では相談者を門前払いするような職員はいません」といいきる。記事によってケースワーカーの対応が「冷たい」と思われるようになると、必要な人が窓口に来なくなってしまうと危機感を持つ
 最後のセーフティネットとして生活保護の充実は大切だが、それだけで問題は解決しないと感じることが多いという。

 病気でリストラされた中年の男性が申請に来る。最初は「体がよくなればすぐ仕事を」と熱心に訴える。しかし病気が治っても、保護を受けたことで仕事をする意欲をなくし、ハローワークにいったふりをするだけ。そんな人が増えているという。
「休職が難しい時代なのは確かだとしても、こうした人に漫然と保護を続けることが、本当にその人の自立にプラスになるのでしょうか

   −2002年6月12日 水