名張市八幡・夏秋地区のギフチョウが市の天然記念物になりました
2009年2月4日、名張市教育委員会は、名張川東岸の名張市八幡・夏秋地区のギフチョウを天然記念物に指定しました。
ギフチョウは、日本だけに棲息し、桜の咲く頃に飛び出し、わずか2週間ほどでそのはかない命を終えます。「春の女神」と呼ばれ、春を待ち望む多くの人々に愛され、マスコミに取り上げられることが最も多いチョウです。
ギフチョウは里山の生きものです。その里山は、工場や住宅団地等の開発で破壊され、さらに離農や農業生産、生活様式の変化などにより荒廃しています。その上、狭くなり孤立した産地で過度に採集されると、みるみる減少していきます。
近年、太平洋側産地の多くは軒並み急速に減少しています。三重県では伊賀地方だけにかろうじて生き残っています。八幡は太平洋側産地の最も南側に位置しています。
八幡地域は住宅地と生息地が隣接し、人と最も近い位置にギフチョウが棲息している全国でも珍しいところです。住宅地の庭にも飛来し、花の蜜を吸う姿を見ることが出来ます。
ギフチョウは伊賀の自然の豊かさを証明する貴重な自然遺産であり、他都市に誇れる自然の宝物です。市民や子どもたちに、自然に親しみ、自然を大切にすることを啓発する絶好の教育資源です。その上、先祖代々連綿として続けられてきた営農の生きた証であり、名張市が誇りを持って未来に継承出来る自然遺産です。
伊賀ふるさとギフチョウネットワークは、1999年1月発足以来、ギフチョウの保護活動を行ってきました。伊賀市(旧上野市)や名張市に繰り返し保護を訴えてまいりました。また、観察会や展覧会、講演会、啓発看板の設置、パンフレット作成などを通じて普及啓発活動を行い、さらに、産地の草刈り活動、生息状況調査活動、花垣小学校や薦原小学校での課外授業を行ってきました。
名張市の天然記念物指定は、10年に渡る活動がようやく認められるようになったものと思います。
しかしそれはギフチョウ保護の一里塚にすぎません。開発規制がされたわけではありません。それに、八幡では、一時的には衰退の流れを止めることができるとしても、大局的に見ると、里山の環境悪化の推移は止めることが出来ません。また、伊賀市の産地にはまだ保護の手が及んでいません。伊賀市の一部の産地は昨年激減し、産卵すら見られない状況に陥っています。この10年の経過を見ても、回復させることは極めて困難です。
まだまだ道は遠く、これからが本当の頑張りどころです。皆様方のご協力ご支援をお願いいたします。