2003/3/8 sat.
W海と山賊ネコ@
b a n d i t s c a t 

おかしいのをこらえきれなくて、僕は顔を窓ガラスに向けた。

まだまだ夜がほとんどを支配している黒いガラスに、僕の顔と、蝋人形のような乗客の顔がくっきりと映っている。

顔を腫らして横になったまま動かないサラリーマン。灰色のダウンジャケットに鼻まで埋まって寝ている男。白いだけの化粧に表情を亡くした女性。

その誰もが、生きるのを諦めているかのようにさえ見えた。

まるで、不幸を詰め込んで地の果てまで捨てに行くような雰囲気の電車の中だ。


そんな場所で、文庫本を読みながら吹き出すのは気が引けたので、僕はガラスに表情を隠した。

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