8/25 sat. 千葉マリン
全席指定で、別に練習があるわけでもないのに、開場と同時に入場するなんてと、連れを置いて、一人海にいた。スタジアムからいつも眺めていた幕張の海だ。クラゲが打ち上げられていた、イソメを捕っているおぢさんがいた。スニーカーの底を濡らして、僕はそっと海に触れた。遠くから見たら詩人のようにも見えただろう。あら、あの人ヘミングウェイみたいって。
とにかく、年に一度は 「海水」 に触っておかないと年も明けない、埼玉県民の悲しくも楽しい確認作業だった。

いつ、誰のコンサートに行っても自分の居場所がみつからない。アーティストが出てきただけでワーキャー言うほどの事はないし、「お元気ですかー!」と聞かれても、「お元気ー!」などと返事をするわけにもいかない。まして、ゆっさゆっさ腕を左右に振るなんて、はずかしくって出来やしない。仕方なく腕組みしながら見てしまうわけだが、2時間以上も立ちっぱなしで曲を聴き続けるのは不可能だ。「抱きしめたい」の頃にはすっかりあきて、幕張プリンスを見ながらしみじみビールを飲んでいた。曲はちゃんと聞こえる、BGMだが、ちゃんとライブになっている。悪くない。「深海」でふらふら戻ろうとしたら、外野席に誰もいない一角を発見した。思わず横になったら、不覚にも寝てしまった。でも気持ちがよかった。


マリンの色がなくなっていた。マリンのスタンドは朱色とブルー。それが見事に人間に埋め尽くされ消えていた。もうどこだか分からないほど。いつもの野球とは比べられないほどのお客を飲み込んだのに、照明には灯が入れられなかった。それは不憫な事だった。見下ろす数万の観衆を照らすのは、流れ者のくるくる回る色とりどりの歌舞伎野郎。沈黙を守るマリンの照明に同情した。mr.childrenはちょっと理屈っぽくなったような気がした。

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