7/9 thu. 会社 [ 増水クラブ ]

今年も 「直撃」 の季節がやってきた。
「ナンバー6は雨台風ならいいな」 「やっぱり去年のアキガセの氾濫が一番見事でしたよね」 「東松山の市民プールの裏が凄いらしいよ」 「水たまりの中でハザードを出してエンコしているクルマってそそりますよね」 そんな不謹慎な会話に、増水クラブのメンバーは、肉を踊らせ血を沸かす。

床下浸水大好きっこのタカハシが何かを思いだした。
「そうそう!スギヤマ氏と唯一気が合うところがあったんですよ!」
スギヤマ氏とはメーカーの営業マンで、半月に1度ぐらいのペースでやってきて、タカハシと取引先の新規開拓訪問に同行する30代後半の関西人だ。とにかくよくしゃべる関西人で、タカハシもおとなしく相づちを打ってあげているそうだが、戦闘機とローマの水道橋の話しかしないのが苦痛らしい。運転するタカハシの助手席で寝てしまって 「はっ!すいません!今寝ちゃいました!」 と弁解しながら、寝てしまった分を取り返すように、ペースアップで話しまくるくらいなら、そのまま寝ていて欲しいというのが、タカハシがおととい短冊に書いたお願いだ。「スギヤマ氏も増水には目がないって言ってました。増水するたびに近所の川に見学に行って、そのうち流されるぞっ!ってお父さんに怒られてたって言ってました。私が増水クラブのメンバーだって話をしたら、すごく熱くなって増水との思い出を語ってましたよ(笑)」

寅さんが唯一やってこなかった県、埼玉。台風にふられ続ける穏やかな埼玉。それでも 「住みにくい県第一位」 に輝く埼玉。疎外された埼玉が生み出した不謹慎な 「増水クラブ」 は、今年最初のアタックを仕掛けてきたナンバー6に、ただならぬ期待をしている。

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