7/12 fri, 朝霞台 [ 武蔵野線は使えません ]
財布のチャックを開ける指が硬直し、同時に笑えた。
「新・旧500円 使用できません」
武蔵野線は使えない。500円玉でくくられた、すべてのコインが使えないのだ。偽造ウォンや新型500円への対応にめんどくさくなった武蔵野線が逆ギレしたようなおかしさに僕は笑った。旧型500円玉が抜け落ちる空虚な音を聞かないで済むのだから、まったく僕も武蔵野線に賛成だ。どっちかが使えないなら、どっちも使えない方がましだ。500円玉など金じゃねぇ。
お金としての存在を、長野県知事のように全否定された500円玉の使い道ーーー***かつて1度だけ、500円玉貯金というのをしたことがある。おつりなどで財布に入った500円玉を全部貯金していくというアレだ。これがけっこう溜まるもんで、500円玉の集合体は、すぐに数万という莫大な金額に到達した。そして僕は、その500円玉の集合体で、あこがれの
「携帯電話」 を手に入れた。もう8年くらい前のことだろうか。しかし僕の元にやってきた、東京デジタルホンのヘビーウェイトな携帯電話は、いつだってエブリタイム圏外だった。本体の値段は忘れたが、充電器やバッテリーなどの付属品は、別売りで1万円。新規加入料が37800円だったのは覚えている。埼玉県内では、どこへ行っても圏外なデジタルホンに、僕は苦情の電話を入れた。「4月から開通します」
という言葉を信じた。クルマの運転中に 「かけてる振り」
だけをして、悲しい優越感を味わった。そして4月・・・2行しか表示できない液晶画面から、圏外マークが消えることはなかった。
「せめて電卓にでもなればいいのにね」
同僚からの笑えない一言だった。月々の使用料を払う電卓なんて・・・。
「この先かなり揺れます」 というアナウンスを聞きながら、あのころの電脳ライフを懐かしく思い出した。
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