7/22 mon. 浦和 [ 7割のアリ ]
「働きアリといっても、実際汗水流して働いているのは群の中の3割に過ぎない。そして、その3割の働きアリを集めて巣を作らせても、やはり3割のアリしか働かない」
この話を聞いたとき、僕は妙に納得した。世の中というものは、常に一握りの人間にコントロールされていて、大衆と呼べる、ほとんどの人間は
「動かされている」 だけに過ぎず、この3割というバランスの構図は変わることがない。
その頃、僕は何かにもがいていた。自分はもっと出来る人間なんだと信じていたが、自分に何が出来るのか、自分は何をしたいのかが分からなかった。漠然と、:今すぐやらなければいけない:と思っているだけで、何もしていないのに、誰かに評価されたい、されなければならないと焦っていた。
3割の話を聞いてから、僕は、アリの行列をよく観察するようになった。実際、3割はいないかもしれない。一匹で、自分の身体の数倍はあろうかという羽虫を引きずっている働き者もいれば、「忙しい忙しい」
言っているだけで、何もせずくるくる動き回っている奴もいる。それでもアリの世界は成り立っている。
もし、それが5割なら、僕だって「動かす側の人間」になりたいと思う。しかし、3割、実際はもっと少ないかもしれない
「動かす側の人間」 は、本当に特種な才能を持った人間だけに限られるのだろう。あいにく僕にはそれがない。
アリの列を見るようになってから、生きるのが楽になった。身の程をわきまえ、自分の評価は自分でするようになった。もしかしたら逃げているだけなのかもしれないが、長い人生は、楽しく楽ちんなほうが絶対に良いので、それで世の中と自分が成り立つのなら、それも構わない。
捨てられたリンゴに集ったアリは、全員がもくもくと働いていた。「おおっ!こいつら、やるときはやるんだな!」
と、一瞬思ったが、ただ食事をしているだけだと気が付くのに、時間はかからなかった。 |