4/18 fri. 近所 [ なぁにしてんの、あんたわ]
「なあにしてるんですかぁ、あんたわぁ〜」
突然、僕と壁との間に、自転車に乗ったおじいちゃんが立ちふさがった***僕はほぼ毎日マラソンをしている・・・つもりが、ここんとこは新年度のあわただしさで週に2回がせいいっぱいだった。無理矢理時間を作って、なんとか今日で3日連続の走り込みを実現させているが、どうしても上体にキレが戻らない。第一回転、つまり脊柱軸のスピンスピードが・・・話がそれた。マラソンをするときは、近所の壁にボールを数十球ほど投げ込んで、体を温めてから走り出す。汗ばむぐらいまでボールを壁に叩きつけていたその時だった。視界の右側から、自転車にまたがったおじいちゃんがふらふら現れると、そのおじいちゃんは、僕と壁の間でブレーキを利かせしばし沈黙。そして僕の方に顔を向け・・・
「なあにしてるんですかあ、あんたわあ〜」
よっぱらいなのか、ちょっと壊れているのか、口調がタコ八郎にそっくりだった。僕は、そのおじいちゃんを視界に入れないように意識しながら、ただ立ち去ってくれるのをひたすら待った。しばらくすると、おじいちゃんは何かごにょごにょ言いながら、そのまま左方向に立ち去っていった***立ち去ると、「何だあのじじい」
という気持ちが明確になり始め、 僕はまるで
「嫌悪」 を振り払うかのように、力一杯ボールを壁に叩きつけてしまった。 「キィ・・」 左の方からブレーキの音・・・。「なは、なは、な、なあにしてるんですかぁ〜あなたあわはあ〜」
さっきよりも語気が強い。どうやら怒っているようだ。めんどくさいのはごめんだし、もう体も温まったし、僕はおじいちゃんのほうに視線を移さずそのまま走り出した。タッタッタッタ・・・イヤな気配に振り向くと、なんとおじいちゃんが自転車で追いかけてくるではないか。一体僕が何をしたと言うんだ。しかし、このままダッシュで振り切るのもバカバカしいなと思えたので、僕はきびすを返し、おじいちゃんの方へと向かっていった。好戦的な態度でも、威嚇でもなんでもない、少し戻れば、自転車の入ってこれない細い道があるのを知っているからだ。「な、なはあにしてるんですうかはあ〜」
僕の態度にあわてながらも、おじいいちゃんはまだ言っている。そのままおじいちゃんとすれ違い、細い道に入り、木の陰に留まって身を潜めた。息を殺すのもまもなく、視界の隙間を、おじいちゃんの自転車がしゃかしゃかと走り去っていった***高齢化社会への警鐘となるエピソードである。しかし、何してる?と聞かれて、「壁あて」
としか答えようのない僕にも、カンカン鐘が鳴るだろう。 |