チェ−ンソー作業従事者特別教育講習会参加報告

2002.11.27-28

 

 林業・木材製造業労働災害防止協会(以下林災防)埼玉県支部主催の表題講習会が、埼玉県農林総合研究センター森林支所(寄居町)で開かれた。これに参加したので、講習の様子を紹介したい。

 全2日間13時間のこの講習は、初日に作業の安全衛生を中心としたチェ−ンソー作業の手順や伐木作業について。2日目チェ−ンソーの点検整備や操作方法について学び実際に伐木、メンテナンスを体験してみるもの。受講生は電気・通信業者や造園業者を中心に総勢49名。とにかくチェ−ンソー作業の安全に重点を置いた講習で、それだけこの便利な道具は、使用方法を誤ると危険が大きいということがわかる。

 1日目の講師は、林災防本部の松隈主任安全管理士。チェ−ンソーの刃が身体に触れただけで怪我をするということを、動作を交えて何度も何度も強調していたのが印象に残る松隈氏は、これまでの事故発生状況から40年間チェンソー作業に従事した場合、2.2日は事故に遭うという試算を紹介した。事故原因としては伐木作業中が一番多いらしく、作業経験3〜6年目の作業員が最も事故を起こす危険性があるそうだ。“慣れ”は恐ろしいということだろう。ちなみに1年目の作業員は、経験不足から起きる事故が、熟練の高齢者になると体力、判断力の過信から生じる事故が起きやすいらしい。

  また、安全な作業は段取り八分と言われていて、現場の観察や作業員配置(山割り)、伐倒方向の決定、退路の確保等はもちろんのこと、作業員同士の挨拶や自己健康管理も含めた作業前の準備が事故を防ぐ基になるという。この講習を受けるにあたりチェ−ンソーの使い方に関心が向いていたが、確かに山登りでも事故を防ぐために事前の準備、心構えが重要だ。このことを確認できただけでも講習を受けた甲斐がある。

 2日目の講師は、ヤングリーブス・ログ・ホームの高橋昭夫氏にチェ−ンソーの構造やメンテナンスについてを教わり、こだま森林組合の上林氏に寄居町内の造林地において伐木作業を実演してもらった。

 高橋氏は、カナダでログハウス造りを学んだ後寄居町の荒川沿いを拠点にログの設計、建築やログスクールをしているアグレッシブな人で、それだけに実地にあった指導をしていただいた。

 また、木を伐る作業が楽しくてしょうがないと言う上林さんには、木を倒す方向を決めるときは、地形や風を読まなければならないこと、伐らせてもらう木がこれまでたどった歴史を感じることが大切だと教わった。それらの言葉に経験の重さと、森への愛着を感じ、そして森での仕事はやはり自然を知ることから始まるということを改めて確信した。

 無事講習を終え、チェ−ンソー使用手帳を手にすることができた。表紙の裏には、“家族が見守る安全作業”とあって、その下の破線の囲みに“家族の写真を貼って下さい”と記してある。チェ−ンソーは手鋸より楽だからという理由だけで使用するにはリスクが大きすぎる道具だ。そのリスクを減らすためには、道具の性質を理解し、大切に扱うだけでなく、危険を冒すデ・メリットを知っておく必要がある。そのためにも愛する家族の微笑みは、何にもまして御利益のある御守りになっているに違いない。