秩父山地について

 

埼玉県の西方に県土の約3割を占める山地帯は,地質学上すべて秩父山地に属しています。

秩父山地の概要ですが,関東平野の西端,山梨県,長野県,埼玉県,群馬県,東京都の1都4県にまたがり,そのうち山梨県に位置する北奥千丈岳(2601m)を最高地点としています。荒川,多摩川,富士川(笛吹川)のほか日本最長の河川信濃川(千曲川),最大流量を誇る利根川の水源でもあるという,関東甲信越地方を代表する河川のゆりかごと言っても過言ではないでしょう。深田久弥氏が著して有名になった「日本百名山」では,秩父山地から6峰が選ばれています。

 私は,地元埼玉で生まれ育っていながら日高市の高麗川辺りから寄居町の荒川まで南北に緩やかに連なる山稜を“秩父の山”という感覚をもてるかというと結構抵抗があります。ちなみに高麗川沿いを秩父に向かう西武鉄道には,“奥武蔵”という呼称が案内図やパンフレットに記してあり,西武鉄道の中心ともいえる所沢市で生まれ育った私としては,小さい頃から遠足やハイキングなどで愛着がある正丸峠以南,つまり名栗川高麗川流域の山地形は,奥武蔵山地というものだと信じ切っていました。

一方,現在東武鉄道沿いの小川町に住んでみると,外秩父七峰縦走コースといったハイキングコースの案内が目に入ってきます。小川町や寄居町の自然を記した書籍,ガイドブックにも外秩父山地という呼称が使われているのです。このHPを造る際にも対象範囲をどこまで広げていいのか困りました。小川町に住んでいる以上奥武蔵の紹介ともいかず,さりとて外秩父というのも私自身のなかで折り合いがつかない。「秩父の山麓に広がる小川の街で...」これもいまいちピンとこない。

 さて困ったということで,比較的最近出版された埼玉の地質図(山地・丘陵地)解説書 埼玉県農林部林務課(1999)を見てみました。

 「秩父山地」という語は,古く山崎(1898)が使用した呼称である「秩父山塊」に由来するもので,碓氷峠以南,十石峠以北の荒船山を中心とする山地を除く関東山地のほぼ全体を指す場合が多いようである。〈中略〉

 堀口(1973)は,〈中略〉二子山南方−秩父盆地−飯能市街を連ねる凹地状の地帯を「秩父凹地帯」と呼んだ。その後堀口(1986)は,秩父凹地帯よりも南西側の秩父山地を「奥秩父山地」,北東側の山地のうち荒川以西の部分を「上武山地」,荒川以東を「外秩父山地」と再定義した。

 とあります。外秩父山地というのはどうやら比較的新しい呼称のようです。

 よくよく考えてみますと,奥武蔵というのは,山のことを指すのではなく,丁度,高麗川流域,入間川(名栗川)流域の山間集落を指すのですね。奥武蔵の定義についてはまだ読んだことはありませんが,いずれ調べてみたいと思っています。

 これらを参考にこのHPは秩父山地全域を対象として,埼玉県内の地理的区分から必要に応じて3つの呼称を使い分けていくことにしました。そして,奥秩父(山地)には,県外,すなわち多摩川源流域(東京都・山梨県)千曲川源流域(長野県),笛吹川源流域(山梨県)を含めることとします。