ディオンの『泡沫』
 
 

泡沫(うたかた・うたがたとも読む)

 ・・・・・水の上に浮いている泡  転じて、はかなく消えやすいものの例え

 

 

 

まだ 小さい頃の話しだ

夢を見た 

静かな緑の森にいる夢だ

空はとても青く 晴れていて

その光に照らされて森の緑はとても鮮やかだった

なんて表現していいかわからないが

森の緑は その葉一枚一枚まで

生命の輝きで満ちていているようで とても輝いていた

あまりにも綺麗で 歩く事がためらわれた

下生えの草々を踏みしだいていかなければいけない事が

とても 罪な事に思われたから

あぁ ごめんな

そう呟いて 僕は歩いていった

森の中をゆっくりと歩く

木漏れ日は優しく 風は甘く

自然に涙のにじむ 懐かしい香りがした

信じられないくらい とても穏やかな世界だった

こういうのを 天国というだろうな と思った

夢の終りは覚えていない

夢から覚めて 僕は二度泣いた

一度目は その夢のあまりの綺麗さの残滓に

二度目は そのあまりにも綺麗な世界が「夢」でしかなかった事に・・・・

 

 

僕らは嫌でもなんでも歳を喰う、日々を重ねる

綺麗な毎日ばかりでもない

そんな毎日を幾日も潜り抜けながら

最近 ふと思った事がある

一般に 夢といえば捉えどころのない

あいまいで いつ消えてもおかしくないものと思ってた

「うたかたの夢」と表現されるように

現実というのがだいたい反対の意味で 

物質的で身近なモノに実際に手を触れられたり

物質的に壊れたりしない限り 消えも隠れもしない

 

だけど 最近 何故か反対に思える

だって、肉体的な事 物質的な事には限りがある

どんな愛しい人でもいつ「死」という概念によってわかれるのかもしれず

不意の事故や偶然の重なりによって大切なモノは失われる

だけど 夢は・・・ イメージはある意味 永遠だと思う

物質世界と 心の中の世界

現実と イメージの世界

泡沫の夢 されど うたかたの夢

 

 
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