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なんと言われようと、人間、何も連想できない言葉というものはあると思う。『雨季』は私にとってその系統の言葉であるようである。 雨が降る季節。それ以上でも以下でもない。それだけを指し示す記号としての言葉。 たとえば雨季に特別の思いがある人などもいるであろう。雨季について何らかの知識を持ちあわせている人もいるであろう。そういう人たちが雨季を説明する文を書くと、私などが想像も出来ないようなものが書かれてくると思われる。 だが私にとっては何もない季節。雨季に活躍する「青い傘」は非常に好きだが、それを語っても仕方がない。私が雨季を文章で描こうとすると、どうしても創作になったり詩的になったりしてしまうのである。実際、初めに書いた文章はそのようになってしまい、お蔵入りとなった。 何にせよ、私にとっての「雨季」――日本における梅雨――は、夏に向けての地盤固めの時期としてのみある季節にすぎないのである。 もっとも、地盤固めをしたとして、夏に何をするということでもないのだが。 ともかく、雨は水不足にならない程度に降ればそれでいい。 ・・・・・・情緒も何もあったものではない。 |