ともやの『水無月』
 
 
 水無月とは、六月の事である。
 一般に「みなづき」と呼ばれ、漢字で書くと 水無月。
 字面からのみ考えると“水の無い月”であるのだから
想像するのは夏の猛暑。八月 ではないだろうか。
 しかし、実際は六月のこと。
 
 その真相はこうである。
 水無月の「な」が「ない」の意味と認識されて
“無”の字が当てられるが、本来は「の」の意味で
つまり、本来は “水の月”。
 “田に水を引く必要のある月”を表しているらしい。
 
 
 明治五年、すったもんだの揚げ句 日本の暦は西暦にかわった。
 旧暦と新暦とのギャップがいかほどであったか良く覚えて
いないのだが、12月2日の翌日を明治6年1月1日とした。
と言うのを考えると、その差は1ヶ月。
 一口に六月と言っても 新暦で言うと 七月 である。
 
 
 “田に水を引く必要のある月”水無月。
 最近はめっきり田圃にお目にかからなくなった。
 私がまだ小学生の頃は 家の隣には田圃があり
通学路は 田圃であり、夏場などは よく
おたまじゃくしを 取りに行ったものだ。
 ・・・・といっても それは掬って楽しむだけで
それを持ち帰って育てた と言う記憶はない。
 まぁ 無料金魚すくい と言ったところだろうか。
 
 
 田圃の水は 夜はそのかさを多くする と言う事を
しっているだろうか。
 
 例え夏といえども 日中に比べると夜はその気温が下がる。
 そして、その気温差にまだ若い苗はついていけないのだ。
 そこで用いられたのが、水は大気と比べて「暖まるまでに
時間はかかるが、さめにくい」と言う性質である。
 日が沈む前に水かさを増して 太陽の熱でそれを暖めておくと
日が沈んだあとでも、しばらく水は温かく 夜の最低温度まで
水は冷たくはならないのだ。
 これによって、日中との温度差を小さくできる。
 
 
 そして、それと似たようなことは 大気でもおこっている。
 
 昼と夜の長さをくらべると 春分と秋分の日は等しく
夏至が一番昼が長く 冬至が一番昼が短い
 しかし、私たちは 夏至が過ぎると暑くなる
と言うことを知っている。
 そして、冬至が過ぎてからが 寒くなるのだ。
 
 昼と夜の長さからのみ考えれば それは
おかしな話しではないだろうか。
 日がだんだん短くなるのなら 気温もどんどん下がるはずだし
日が長くなるにつれ 暖かくなるはずなのだ。
 春分と秋分の日を境にして・・・・・。
 
 
 それでは何故 この様な不可思議な事が起こっているのか。
 鍵になるのは「大気」である。
 
 大気もやはり 暖まりにくく さめにくい性質をもつ。
 だから 十分に暖かくなるまでには 時間がかかるのだ。
 そしてやはり、十分にさめるまでにも 時間を要する。
 
 春分の日と秋分の日では、気温差が10℃くらい有るらしい。
 
 
 一見不可思議なことも その理由を知ってしまえば
何の不思議もない。 
 世の中は そんなものなのではないだろうか。
 

 
戻る