ここに越してきたころは、玉川上水の土手の回りに空き地があって、春先散歩していると芽をだしたかわいい木が良く目に付いたものだ。
殺風景のベランダにただで自然が得られると、その芽を抜いて鉢に植えていた。
それが「ソロ」という名前で、赤芽と白芽があることを誰かが教えてくれた。
鉢の木はどんどん大きくなって、やがて風に葉がこすれたせいか葉先が枯れ始め紅葉のころには哀れな姿になってしまった。
実は「シデ」が本当の名前で、「アカシデ」「イヌシデ」であった。

「シデ」は四手で神前に飾る「垂」に果穂が似ているからだという。
なるほど似ていないこともない。
牧野博士は四方に手を伸ばすように枝を張るからだろうといっている。
それもそうだ。
しかし、ソロはなんだろうか。
イヌシデを「ソネノキ」という。
ソロは「コソネ」という別名があるようだ、クマシデは「石ソネ」とか「オオソネ」。
八ヶ岳の麓に「曽根」という遺跡がある。
八ヶ岳のなだらかな裾野の尾根筋である。
ソネというのは長く続く低い峰や石の多い痩せた山地を言うのだろう。
そんな場所に良く生える木々だから「ソネ」じゃないだろうか。
そんな場所もいつしかソネと呼ばなくなってシデにかわってしまった。
それにしても誰だろうか、そうやって名前を変えてしまうのは。