対象種の分類と同定

  
 他の生き物にも言えることですが、魚類も同じ種でありながら、個体ごとのバリエーションや成長過程での変化が大きい場合があります。
 色や模様だけでなく、形と大きさ、口の位置、行動パターンなどに注意して観察することが必要です。

 尚、幼魚は、基本的にカウントしなくて良い事になっていますが、調査チームによっては、形状や色・模様が成魚と変わらない幼魚の場合はカウントに含めたり、すべての調査対象種の幼魚をカウントに含める場合もあります。
 
 

チョウチョウウオ
 チョウチョウウオ科の仲間は全部カウントします。
 種を区別する必要はありません。

 識別ポイントは、体形とサイズ・模様・目のところの黒い線・生息場所などで、多くは、『白』『黒』『黄色』のいずれかの組み合わせによる体色をしています。
 種名しての『チョウチョウウオ』が基本形で、殆どのチョウチョウウオの仲間は、これと同じシルエットをしています。
 目のところの黒い線(泳いでいるときの方向では縦線、生物学上は横縞)がポイントとなる種も多いです。
 生息場所としては、殆どがサンゴのすぐ上で、二匹ペアで泳いでいることが多いです。
 

*基本形と異なるチョウチョウウオの仲間
(調査対象)

 「チョウチョウウオ」と体形が大きく異なるものに、フエヤッコダイの仲間、ハタタテダイの仲間、ゲンロクダイの仲間、ヤリカタギ、ミカドチョウチョウウオ等があります。
 模様で注意する必要があるものには、セグロチョウチョウウオ、ハクテンカタギ、トンプソンチョウチョウウオ(黒一色)などがあります。
 

*チョウチョウウオの仲間と間違えやすい魚種
(調査対象外)

・ヤッコ類【キンチャクダイ類】
生物学上は、鰓蓋のところに棘状の突起があれば、キンチャクダイ類で、体形やサイズが似ているものがあります。
 チョウチョウウオの仲間は、口が尖っているものが多いのに対し、キンチャクダイの仲間は、口があまり尖っていません。

・ツノダシ
対象魚であるハタタテダイとよく似ているツノダシは、尾ひれの色の違いで識別します。

・ヒフキアイゴ
チョウチョウウオの仲間と比べて、その大きさと形が異なっています。

・フタスジタマガシラ
セグロチョウチョウウオと間違われる事があります。
体型が異なります。


 
 
 
イサキ【コショウダイ類】
 イサキ科全部が対象で、コロダイ等も対象として含めます。

 口の位置が下についているのが特徴で、“たらこくちびる”をしています。
 穴の中や亀裂などに居る事が多く、体長は30〜50cmのものが多いです。

 成魚では、背中側に斑点もしくは縞模様をもつものが多いです。


 
 
 
フエダイ
 フエダイ科の仲間はすべてカウントします。
 フエダイはおおよそ中層を泳ぎ、流線型よりちょっとだけ太った感じで、目から口までが短く(すなわち比較的、顔の部分が小さく見える)口は尖っていません。
  注:ヒメフエダイの成魚は多少口がでています。

*フエダイの仲間と間違えやすい魚種
(調査対象外)

 フエフキダイの仲間に、フエダイの仲間とよく似たものがあるので注意が必要です。
 フエフキダイは目と口の間が長く、口が尖る方向に曲がっています。
 体色は白ベースの配色となっています。(フエダイは黄色)

 またウメイロモドキ・ユメウメイロ等はタカサゴ科に属しますので対象外です。
 注:ウメイロはフエダイ科なので対象魚です。


 
 
 
 
サラサハタ
 ハタ科の仲間の内、稀有な存在としてサラサハタだけを他と区別してカウントする。

 
 
 
ハタ類
 サラサハタ以外のハタ科の仲間は、30cm以上のものをカウントします。(サイズも記録します)
 丸みを帯びた形をしていて、顎があり、目が上の方にあるのが特徴で、口は体の中心よりもわずか下に位置しています。
 肉食で、通常は岩の上などに静止している事が多いようです。

 
 
 
メガネモチノウオ
 別称:ナポレオンフィッシュ。

 ナポレオンフィッシュは、サンゴ礁に定住しているというよりもサンゴ礁周辺を回遊している為、調査測線外で魚類担当者以外が見た場合にも記録します。


 
 
 
カンムリブダイ
 濃い緑色(単一色)をしており、頭の出っ張りが特徴です。

 計測範囲外にいる場合や魚類担当者以外が見た場合にも記録します。


 
 
 
ブダイ
 カンムリブダイ以外のブダイ科の仲間は、体長20cm以上のものをカウントします。

 イロブダイの形や色が代表的で、サンゴも砕く頑丈そうな唇が特徴です。


 
 
 
ウツボ
 ウツボ科全種をカウントします。

 
 
 
 
オトヒメエビ
 赤と白の模様がキレイで、3番目の脚が長いのが特徴です。

 魚をクリーニングしてたリします。


 
 
 
ガンガゼ科ガンガゼ属
 ガンガゼとアオスジガンガゼが調査対象です。
 30cm程度に達する事もある黒くて長い棘が特徴で、覗きこむと肛門がオレンジ色に輝いて見える(水中ライトをあてる)のがガンガゼ、肛門が青紫色で体に青い模様(V字模様が5つある)が入っているのがアオスジガンガゼです。
 穴の中や岩の裂け目・割れ目などに入り込み、長い棘を出しています。
 棘が動いているのが良く観察されます。

 ガンガゼの棘は、先が【↑】状になっており、刺さると簡単には抜けないので、注意が必要です。

  タワシウニ(パイプウニの仲間)と似ているので間違えてしまうことが多いです。


 
 
 
パイプウニ
 ウニというと、栗のように尖った針が全体に突き出しているのを思い浮かべるかもしれません。
 しかしパイプウニは赤みがかったかなり太い棘が特徴で、それほど密集していません。
 また棘の断面が三角形になっているのも特徴のひとつです。

 サンゴ礁にできた穴や岩の裂け目に潜り込んでいることが多く、調査には水中ライトが必需品となる生物のひとつです。

 時々、バラバラになった太い棘の残骸だけが見つかったりします。
 飾り物の材料に使われることがあるみたいです。
 


 
 
 
ナマコ
 世界的に共通な食用種として、『バイカナマコ』と『シカクナマコ』の二種のみが調査対象種です。
 
 バイカナマコはナマコの中でも最大種で、体長1mにまでなるものがいるそうです。

 
 
 
オニヒトデ
 サンゴに食害を与える生物です。
 全身に生えた赤っぽい毒々しい棘が特徴。
 猛毒を持っていますので、決して触れてはいけません。
 サンゴの上に、体を広げて乗っかっていたり、張付いていたりしています。
 昼間はサンゴの裏や奥に隠れています。

 貪欲でほおっておくと、際限無くサンゴを食い散らし、すさまじい勢いで増殖していきます。

 サンゴが豊かな海であっても、彼らが大量発生すると、通った後には瓦礫と化したサンゴの死骸だけが残るそうです。


 
 
 
シャコガイ科シャコガイ属
 サンゴ礁の裂け目に入りこんだり、サンゴにくっついたり、砂の上にゴロンとしているものもあります。
 二枚貝で、口を水面に向けています。
 口の間の柄が、赤・青・紫…などの模様で綺麗ですが、この模様の違いで対象種を区別する事は出来ません。
 こちらが近づこうとすると口を閉じてしまいます。

 発見に水中ライトは必要としませんが、一見サンゴ礁の岩盤と同化しているようなときがあるので、注意深く、そしてくまなく礁斜面を見渡すことが必要です。
 
 殻長が30cmを超えるものはサイズと種類も明記します。
 
 殻のかみ合っているところが曲線ではなく、ギザギザになっているシャコガキを間違えてしまうことがあるようですが、それは対象外です。


 
 
 
ホラガイ
 同じ属に、ボウシュウボラがいますが、これは対象外です。

 ホラガイはオニヒトデを食べる生物で、オニヒトデにとって診れば『天敵』というわけです。

 ホラガイとボウシュウボラの区別は、殻の表面に結節(こぶ)があるかないかで判断します。
 でこぼこと小さな結節がたくあんあるのがボウシュウボラであるのに対し、ホラガイは殻の表面がやや丸っこく滑らかになっています。
 しかし、貝の表面には付着物がついていることが多いので、なかなか判別しにくいかもしれません。
 はっきりした違いは、貝の殻口にある内唇(軸唇)にあります。
 ストレスを与えないように貝をそっとひっくり返して、内唇にたくさんの白黒のひだがあればホラガイです。(ボウシュウボラには無いです)


 
イセエビ科イセエビ属
 イセエビ属のすべてが調査対象になっていますが、セミエビ科の仲間は対象外です。

 イセエビは夜行性であるため、透明度が高く明るい海では、なかなか観測されないことが多いようです。
 すなわち、昼間は暗がりに潜んでいることが多いので、日光が差し込まない岩の裂け目などにいることが多いようです。

 特徴は、長いひげです。
 岩の裂け目などに近づくと、ヒゲの先端が出てる場合があります。
 サンゴ礁は彼らが身を隠すには絶好の場所なので、発見するには水中ライトが必須です。