昨日の採集で他に見つけたものを紹介します。一つは地面からちょうど顔を出してきた芽。先端が紫色を帯びた指サイズの芽が、太くゴツゴツした根からまっすぐ上に伸びています。この鮮やかな色は、ハシリドコロの若芽のものです。この植物は毒草としても有名なのですが、それを思うと、いかにも毒々しい色と言えますね。色だけでなく、大きく立派な根も気になるのですが、最初はその根の方が気になって、一部を折り取って香りを嗅いだりしてみました。ゴボウと非常に良く似た香りがして驚いたのですが、よく考えると、ゴボウも「土の香り」‥‥似ていて当然なのでしょうか? もう一つは倒木の樹皮をめくったところに発見した虫です。幹にしっかりと張り付いたまま、動こうとしません。どうやらここで長い冬を過ごしていたのでしょう。調べてみると、この甲虫はゴミムシダマシの仲間で、幼虫の時代は朽ち木を食べて生活しているようです。ちなみに、ゴミムシダマシの仲間には、小鳥の餌で「ミールワーム」として売られている幼虫も含まれているので、ご存じの方もいるかもしれませんね。 山奥でも、間近に迫った春を待つ姿を垣間見ることができました。
今日は午後、後輩の研究材料の採集を手伝うため、近くの沢に行ってきました。雪が所々に残っている日陰の斜面を歩き、手頃な大きさの石を見つけてはその下を調べ、昆虫を探しました。斜面の大部分は腰くらいの高さのササが覆っていました。ササが繁茂している場所は採集に適していないので、沢の底、川のせせらぎが聞こえてくるところまで下りてきました。そこまで来ると、ササ以外のいろいろな植物が見られるようになりました。 ところどころにフシ(節)があり、細長く伸びる植物。長さは50センチくらいで、フシの間隔は5センチほどです。目立った「葉」のような構造はなく、棒状の体の表面は、縦にスジが入っていて、ザラザラとしています。ちょっと変わったこの植物、「トクサ」と言います。‥‥ところで、このフシの入りかた、何かに似ていませんか?春の訪れを感じさせてくれる代表的な植物、ツクシですね。探してみると、先端にツクシのような穂がついているものが、わずかながらありました。調べてみると、ツクシ(スギナ)はトクサとかなり近い仲間なのだそうです。 ちょっと変わった姿をしているこのトクサですが、生け花で使われるなど、意外と身近な植物なのだそうです。昔、よく遊んだ近所の家の庭にこのトクサが植えられていて、フシをもぎ取ってはストローのようにくわえて遊んでいた思い出があります(さらに、その中にドクダミの葉をもんで詰めて、「体に効く」と言って吸って遊んでいたこともありましたっけ‥‥)。山奥の沢沿いで、懐かしい植物に出会えました。
おととい、長野市に行ってきました。花の写真展を見に行ったのですが、そのついでに、春の雰囲気に包まれた市内を歩きました。駐車場の近くに、大きなコブシの木が白い花をたくさん咲かせていました。近くで見上げると、澄みきった青空に映える白い花が、爽やかな風に揺れていました。 花は腰の高さくらいの低い枝でも咲いていました。手のひらより一回りくらい小さなその花には、六枚(写真では五枚に見えるのですが)の白い大きな花びらがあり、中央には緑色に突き出た雌しべと、その周囲に寄せ集まって生えている雄しべが見られました。ここまで近づくと、甘みの強い香りが漂ってきました‥‥味に例えると、「甘みが舌に残るような」とでも言える、そんな香りです。そんな風に考えると、この花のどこかボテッとした雰囲気も、上白糖をふんだんに使ったデザートのように思えてなりません。 最近は草花を見つけると、一通り眺めた後に、鼻を近づけるのがクセになってしまいました。花咲き乱れる春だからこそ、ぜひ香りも楽しみたいものですね。
今日は桜を見てきました。今回は二つの桜の写真を紹介します。まずは桜で有名な公園で撮影した左の写真です。桜といえば、まさにこのような感じですよね。既に花吹雪が見られ、葉もところどころで見え始め、満開を少し通り過ぎてしまった感がありますが、見上げた視界一面を覆う淡いピンク色の花々は、とても迫力がありました。また、花の明るい白と幹や枝の黒さの対比も、非常に美しいと思います。 もう一つは公園ではなく、通りすがりの公民館の庭に一本だけ植えられていた小さな桜の木、そこに咲いていた花です。種類が違うのでしょうか?先ほどの桜よりもピンク色が濃く、花びらもやや大きいです。朝から良く晴れいている青空をバックに、透き通るような花びらのピンク色が、大変上品な美しさを醸しています。 桜咲き乱れる公園の中の花と、一本だけで咲いている花。確かに、背が低く細い一本の木では花見に適してはいないでしょうが、こうして近づいて見た時には、それぞれの美しさを発見することができます。見る範囲を「切り取って」、美しさを引き出す‥‥カメラならではの桜の見方かもしれませんね。
今朝、散歩をしたら、春の訪れを感じさせてくれるものを見つけました。日当たりの良い林縁の落ち葉の中から、フキノトウがいくつか顔を出していました。まだ周辺に緑が少ないなかで、とても目立つ存在でした。地面から出てきたばかりなのに、もう小さな花々が開き始めています。それらを薄い黄緑色の葉のようなものが覆っていて、近づいてみると、朝の光が柔らかく透けていました。 フキノトウはフキの花ですよね。また、フキの葉は、ご存知かと思われますが、あの丸くて柄の長いヤツで、フキノトウとは地下でつながっているのだそうですが、地上では離れて生えているように見えます。‥‥では、前述のフキノトウの花を包んでいる薄黄緑色の葉のようなものは、一体何なのでしょうか?これを葉と言ってしまうと、「フキの葉はたいそう形の異なる二種類の葉を持つ」ということになってしまいます。 調べてみると、問題の葉のようなものは「包葉(ほうよう)」というものであることが分かりました。もとは葉だったものが、花を包むために変化した器官と言えます。フキノトウでは、地面から顔を出すまでの間、先端の花の集合(花序)を覆うという役割を果たしているものだそうです。色も厚さも薄く、葉としてはどこか頼りなく見えるのは、そのせいだったのですね。 さらに調べると、フキノトウには雄株・雌株の別があることを知り、驚きました。今後はその違いにも注意しながら、観察してゆこうと思います。
今日は久しぶりに実家で目を覚まし、庭の植物を観察しました。長野県北部の山沿いの平野部にある実家では、僕が普段生活をしている高原よりも、ずっと早く春を迎えていました。小雨の降る中、梅の木は花をいっぱいに咲かせていて、しっとりとした薄ピンク色の花びらが、とても美しく見えました。でも、今日ご紹介するのは、残念ながら梅ではありません。僕にとっての今朝一番の驚きは、梅の花の美しさではなく、「白菜の花」だったのでした。 庭の家庭菜園スペースで、育ちっぱなしになっていた白菜が、見事に広がってしまった葉に囲まれた中央から茎を伸ばし、ついに黄色い花を咲かせています。‥‥最初は、これが白菜なのかどうか疑ってしまったほどです。 でも、茎と花をこうして見ていると、「ああ、白菜はアブラナの仲間なのだなぁ」と、実感させられます。調べてみると、白菜はアブラナと同種であり、「種(しゅ)」より一つ下の「変種」のレベルで区別されているようです。そんな知識も、こうして花を見ると、とても良く納得できるのではないでしょうか? 春の味、アブラナの花のおひたし‥‥ですが、「白菜の花のおひたし」はどんな味がするのでしょうかね。
長かった冬でしたが、この辺りもかなり雪が解け、いよいよ花が見られるようになりました。その先駆けとなったのが、この花です。フクジュソウ(福寿草)ですね。この花が咲く場所は、この辺りでは草原の端に位置する日当たりの良い林の道脇で、毎年雪が溶けたと思ったらすぐに咲き出すので、その開花を見逃した年も少なくありませんでした。「今年は何としても咲きたてを撮りたい」と思い、まだ雪が厚く残っていた先月中旬から、毎週この場所を見に来ていました。そして、ついに今日、咲きたての美しい黄色い花を見ることができました。‥‥先週はまだ雪が覆っていたはずなのに、早ワザですね。 地面から三センチほど茎を伸ばし、タンポポ(※小さい花の集まりなのですが)くらいの大きさの、黄色くて光沢のある花を咲かせています。花のすぐ下、茎の上半部には、この後に伸びて茂るであろう葉が、赤茶色の芽の状態で見られます。 春を先取るように咲いていたフクジュソウ。ひょっとしたらすでに、開花間近の先週あたりには、雪の下で着々と準備を進めていたのかもしれませんね。いつか、雪を掘り起こして、春を探してみてみたいものです。 |