040801 ちょっとうつむき加減に咲く白い花。物静かな印象を与えてくれるような姿ですが、その葉や茎に注目すると、鋭いトゲが数多く付いていることに気づきます。バラと違って、葉の表面と裏面にも葉脈に沿って生えていて、触れるスキを与えてくれません。
 全身がトゲトゲしいこの花はワルナスビです。以前から名前を知っていたのですが、あらためて図鑑で調べようとしたところ、手持ちの図鑑の多くには載っていませんでした。どうやら帰化植物であることがその理由であると思われます。
 夕暮れの長野市内の公園の一角には、今年の猛暑を和らげてくれるような涼しい風が吹き渡っていました。しかし、風にそよぐワルナスビの葉や茎が、花に思い切り近づいて撮影しようと試みる僕の手や腕をチクチクと刺し、なかなか集中させてくれませんでした。白い花弁の中の黄色い雄しべがとてもかわいらしい花ですが、少し離れて見るのがおすすめかもしれません。


040804 今日は近くにあるダムの下流の渓谷を歩きました。毎年夏におこなわれる昆虫分類実習のフィールドの候補となる場所を下見しました。今年も既に実習をおこなったのですが、例年フィールドとしている場所では、今年の異常気象や猛暑もあって、あまり多様な昆虫が採れませんでした。来年のための候補地を増やすべく、下見をおこなうことになったのでした。
 下見して感じたことは、今年はどこも昆虫があまり多くないということでした。道脇の草むらを網でガサガサと払っても、成果は芳しくありませんでした。結局下見の場所は候補どまりとなり、「今年は昆虫にとって厳しい年だった」と考えることにしました。
 これは道路沿いのススキの葉上にとまっていたミカドフキバッタ(ミヤマフキバッタ)です。後ろ足の腿節(「太もも」に当たる部分)に見られる、白い「ハ」の字の模様や鮮やかな赤い縦線が目を引きます。翅(はね)が短いのですが、これで既に立派な雌成虫なのだそうです。
 今年の異常気象は、採集される昆虫の種類や数によっても強く印象づけられました。植物だけでなく、動物によっても季節が感じられることを再認識させられた気がします。


040808 長野市郊外の山の中腹にあるグラウンド。少し遠いのですが、ソフトボールをしにやってきました。屋外に出ているのが辛くなるくらいの暑さ・日差しでしたが、集合三十分前に着くやいなや、付近を散策しに車外を出ました。
 辺り一帯は果樹園が広がっています。その多くはリンゴのようで、緩やかな斜面のリンゴ畑を縦横に走る(むしろ、曲線的であちこちで分かれているため「迷走する」と言った方が適当かもしれません‥‥)細い農道を歩くと、そこはまるで背の低い林の中にいるようで、時折吹く涼しい風を感じながら、気持ちの良い散歩ができました。
 木々にはまだ色づく前の、立派な大きさのリンゴがたくさん実っていました。ところが、歩きながらふと目をやった枝に「おや?」と思うモノを見つけました。右上の写真の下方ですが、右下の拡大写真とともにご覧ください。ピンポン球よりひと回り大きい程度の「リンゴ」がまるで房のように枝の先端付近に集中しているのです。枝は違うものの、同じ一本の木に実っているリンゴなのに、一方は握りこぶしを上回る大きさ、そしてもう一方はこの小ささで密集、この違いは一体‥‥と首をかしげてしまいました。
 実家でもリンゴを栽培しており、祖母にこのことを聞いてみると、このような現象は弱った木でたまに見られるとのこと。普通は摘果(果実のより良い生育のため、若い実を適度に間引くこと)の際にまとめて落としてしまうそうなのです。
 果実の大小にかかわらず、同じように種をつけるのだとしたら、実を小さくして数を増やすのも、弱ってきた木にとって子孫を増やす戦略の一つなのかもしれませんね。もちろん、食べるということに関しては、大きくて、さらにおいしい方がいいに決まっているのですが。


040821 「運動公園」と呼ばれる長野市内の屋外スポーツ施設に行きました。駐車場に車を止め、スタジアムや陸上競技場、テニスコートが集まる施設の周囲を、カメラ片手に30分ほど散歩しました。広い大きな敷地の至る所に、多くの木が植えられているのですが、普段生活している周囲には見られない種類や、海外原産の街路樹が多く、あちこちで足を止めて眺めたりしていました。
 今日ご紹介するものはその珍しいものではありません。枝の先に付いたデコボコした塊。枝への付き方や葉と同じ色であることからして、この木の果実であろうということは容易に想像がつくかと思われます。この特徴的な果実のゴツゴツ感を「握りこぶし」に見立て、この木は名付けられたそうです。その名も「コブシ」。実は夏が来る前にこの木のを紹介しました。白く大きな、甘い香りのする花でした。
 下のもう一枚の写真を見ると、果実は一つしかコブになっていません。コブにならなかった部分と見比べると、もともと細い棒状の構造があることが分かります。この棒状の構造、の中央で緑色をしていた雌しべに相当することにお気づきでしょうか。つまり、受粉・結実した部分だけが膨らんでコブになっていることが分かります。
 カタチの対応を考えることで、花と実の見え方も変わってくるのではないでしょうか。


040822 スズランが植えられている花壇から、何本か細いツル状の植物が伸びていました。写真にはその葉です(後方にはスズランの葉が写っています)。長さ10センチほどの、特に変わったところもない葉なのですが、風が吹いて葉の裏側がチラリと見えた瞬間、視線が釘付けになりました。‥‥葉の裏側に群がるアリの姿。さらによく見ると、アリ達のお目当てが葉に付いたアブラムシ(正確には、彼らの出す「汁」)であることが分かりました。
 葉の表側には一匹もいなかったのですが、裏側ではうって変わって昆虫たちの世界が広がっていました。葉の表側は表層が発達しているらしく、写真でも表側の方に光沢があって、丈夫そうに見えます。また、葉を裏側から光に透かして見ると、表側の濃い色とは違った柔らかい緑色の地に、白い葉脈がきれいに枝分かれしている様子が分かりますね。「裏側を見る」視点は、身近なものを観察するときのコツかも知れません。
 このツルはツルウメモドキだそうです。この花壇だけでなく、林の近くの芝生からスッと立ち上がるように伸びたりしているのを見かけます。あちこちに分布を広げているようです。いずれは林に生えている木々と同じくらいの高さにまで成長して実をつけるのですが、「見上げるほどのツルが花壇から伸びる」姿は、花壇には悪いのですが、見てみたい気がします。


040830 アザミの花に蝶がとまっていました。斜めに伸びた茎から咲いている花に、どちらかと言うと「ぶら下がって」いる状態ですね。チョウは薄い黄色で、前後の翅(はね)にそれぞれ一つずつ小さな斑点があります。前翅の先が緩やかに後方に尖っています。はねの色が薄くて模様もほとんどないので、翅の表面に「翅脈」と呼ばれる放射状のスジが見えます。翼がしっかりと風を捕まえられるように、翅を補強する役割を果たしています。また、成虫に羽化する際には、この翅脈に体液を通して圧力で羽を伸ばすそうです。
 そんな翅脈の存在に気づかせてくれるこのチョウは、スジボソヤマキチョウと言います。同じ時期に草原を活発に飛び回るヒョウモンチョウの仲間に比べると、やや弱々しさを感じてしまいますが、カメラを近づけても比較的ジッとしていてくれることから、僕にとってはヒョウモンよりも好感度が高いチョウだと言えます。


040831 実家に帰ると、庭先の畑でナスを見つけました。花を咲かせている一方で、すでに実をつけているものもいます。眺めているうちに、先日のワルナスビを思い出しました。花びらが白色と紫色ということで、色は違うのですが、融合した花びらが傘のように後方にやや反り返り、黄色い雄しべなどが前方に突き出ているという点で、形が非常によく似ているからです。しかし、ナスには葉にも茎にもトゲがありません。ただ、実のついている「へた」の部分にわずかにトゲがあるは、ご存知の方も多いかと思われます。僕もこれまで何度か痛い思いをしたことがあります。しかし、それもワルナスビに比べたらささやかなものに思えてしまいます。あちらは触れるスキが全くないように思えてくるからです。
 そういえば、ワルナスビの実はどんな形なんでしょうか?トゲはどうなっているのでしょう?機会があったら再び観察して、ナスと比べてみたいものです。


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