同窓会で茨城に行ってきました。帰りがけ、近くの公園を散歩しました。東京では一部で開花が報告されているだけあって、ここでも花見のシーズンに備えて、提灯や屋台の準備が始まっていました。穏やかに晴れた空の下、桜の木の下を目指しました。見上げた枝には、ピンク色のつぼみが大きく膨らんでいました。もう来週には咲いてしまいそうな、そんな雰囲気が感じられます。毎年、桜が開花してから公園などに出向いて花を見ていたので、こうしてつぼみをゆっくりと見たのは、実は初めてかも知れません。 関東で桜が咲いたら、次は自分の住んでいる長野にも桜前線がやってくるはずです。今シーズンは身の回りでもよく観察してみようかと思います。
木の幹にオレンジ色の点を見つけました。直径は大きいものでも五ミリ程度の丸い点です。よく見ると、これらの点が分布している領域の背景は、うっすらと黄色みを帯びています。これは何なのでしょうか‥‥カビ?地衣?それとも変形菌?野外で見ただけではどうも良く分からなかったので、一部を樹皮ごとはぎ取ってよく観察してみました。 顕微鏡で見ると、オレンジ色の点はちょうどボタンのような形をしているのが分かります。また、周囲の部分を同倍率に拡大したものによると、薄い黄緑色をしている背景部分からオレンジ色の突起が出ています。これら二枚の拡大写真から考えられるのは、「黄緑色の部分からオレンジ色の突起が出てきて、ボタン型に発達する」ということです。 菌類に詳しい後輩から教えてもらった「キノコ類の観察方法」を参考に、先ほどのオレンジ色のボタンを縦に薄切りにして、顕微鏡を覗いてみました。それが右の写真です。断面写真の上方の縁が茶色に見えます。ここにオレンジ色の色素があります。そのすぐ下の層には(橙矢印)、縦にいくつもの筋が見えるのですが、ここには胞子と思われる丸い粒が含まれているのが分かりました。さらに下の層(黄矢印)には緑色の色素が見られ、葉緑素の存在を思わせます。このようなことから、この生物は菌類と藻類の共生体である地衣類ではないかと考えられます。果たして図鑑を見ると、地衣類の一種「ダイダイゴケ」であることが分かりました。 実は、最初の写真は二週間前の散歩の時に撮影したものだったのですが、どうしてもその正体を知りたくて、詳しく調べるために紹介が遅くなってしまいました。また、話は変わりますが、野外で見るだけでなく、顕微鏡で見る世界というのもなかなか面白いものですよね。今後もたまに、このような観察方法を取り入れてゆこうと思っております。
今日は昨日の木登り体験以外に撮影した写真を紹介します。写真をご覧になって分かるように、今回は「マツボックリづくし」ですね。まずは、木のウロにピッタリはまり込んでいたマツボックリ。どうやら、アカマツのマツボックリのようです。よく見ると、外に出ている部分の「カサ」が開いてめくれ上がっています。どうやら、この部分は中の種子が取り出されているようです。ということは、これはどうやら食事の跡なのかもしれません。リスなどはカサごと食いちぎってしまうので、この場合は鳥がついばんだのではないか、と考えることができます。それでは、この穴にマツボックリをねじ込んだのも鳥の仕業なのか?という疑問も湧くのですが、このあたりの正確なことはよく分かりません。 もう一つは林内を散策中に見つけた、マツボックリのたくさんついた枝です。枝に五つ、ちょうど環状についているので、まるで星形です。既にお気づきかもしれませんが、これらのカサはみな、リスなどによってかじり取られていますね。このマツボックリ、これまで紹介してきたアカマツのものよりも、一回り以上も大きく、枝へのつき方(アカマツはだいたい一個ずつでしたね)も違っています。これはリギダマツのマツボックリのようです。少し前(031120)にその落ち葉を紹介したのですが、この松は葉が三つに分かれている「三葉松(アカマツは二葉松)」でしたね。ちなみに、リギダマツは日本土着のものではなく、この場所でも植栽されたものなのだそうです。
先日ご紹介しました、ズミの木に寄生したヤドリギ。その二週間後に再び木を訪れてみました。前回はヤドリギをカメラのズ−ムで撮影したのですが、今回は木に登り、より近くでの観察を試みました。まずは木の全体をご紹介します。右の写真のズミの木の中央やや上、矢印の位置にある塊がヤドリギです。ちょうど僕の身長の二倍くらいの高さにあり、この植物の様子に迫るには、どうしても木登りが必要なのでした。 木登りなんて、よく考えたら小学校以来かもしれません。休み時間、校庭の大きなイチョウの木に登ったのを思い出します(一番下の枝から落ちた痛い思い出もよみがえってしまいました!)。 久しぶりの木登り体験。しかし、今回の木は下の方に足がかりになる枝がなく、難易度が高かったと思います。電柱ほどの太さのある、向かって右側の幹にしがみつき、ゆっくりよじ登りました。ヤドリギまで1メートルほどの位置まで来て、やっとつかめる枝に右手を伸ばし、左手に持ったカメラをいっぱいに近づけて撮影をしました。 その結果が右の写真です。プロペラみたいな葉の付き方、わかるでしょうか?「この前の写真よりきれいだ!」なんて言ってもらえたら、とても嬉しいのですが。撮影後は思いきって木からジャンプしました。溶けかけて固くなってはいましたが、それでも厚く積もった雪の上は着地には最適でした。 腕についた無数の擦り傷は、童心に返った木登り体験の「勲章」なのかもしれません‥‥が、各所の筋肉痛は、もはや子供時代との違いを突きつけられたような気持ちです(笑)。
ふと窓の外をみると、林縁近くに足跡が点々と続いていました。今日はとても天気が良いので、昼食後にこの足跡を見に行きました。足跡は一直線に並んでいました。一つが長さ五センチくらいで、一つの足跡のから次の足跡までのつま先同士の間隔は、だいたい10センチくらい。足跡の形は直線にV字を組み合わせたような、明らかにほ乳類とは思えないデザインです。この形は鳥のものしかないな、と思いました。しかも、この大きさからして、かなり大型の鳥‥‥とくると、これはキジではないだろうかと判断しました。 実際、この辺りの草原では年間を通してよくキジを見ます。夏、背丈ほどもあるススキをかき分けて歩いていた時、近くを突然走り出したキジに驚かされたことがあります。また、昨年末は、一階の窓のすぐ下まで降り積もった雪の上に立っていたところを、ガラス越しに間近に目撃しました。 キジの足跡をじっくり見てみると、一歩一歩、しっかり踏みしていることが分かります。あの大きな体をしっかり足で支えているのでしょうね。また、真ん中の指先を前方に引きずっているのが分かりますが、何かの拍子につまずいてしまわないかと心配になってしまいます。こんな推測がいろいろできるのも、きっと足跡ならではの楽しみなのでしょうね。
葉一枚無い枝を大きく広げたズミの木。でも、そんな枝々の中にあってひと際目立つ緑色を見つけました。先日の散策レポート第三弾は、この緑色の「茂み」です。それは、見上げた木の真ん中あたりにあり、直径30〜50センチくらいの大きさです。このズミの木をはじめ、周囲の草木はいまだ冬の様相を呈しているにも関わらず、ここだけは青々とした葉を茂らせています。でもこの葉、ズミの葉とは似ても似つかないことは一目瞭然ですね。向かい合わせに付いた二枚の葉が、まるでプロペラのような形をしています。 どう見てもズミの太い枝から生えているのにズミではない‥‥その答えは「寄生」です。 「ヤドリギ」という植物をご存知でしょうか?他の植物に寄生して生育する、文字通り「宿り木」なのです。今回のモノには実がついていなかったのですが、大豆くらいの大きさの黄色や赤の丸い実をつけます。その実を食べた鳥が、枝から枝に種を運ぶのだそうです。昔、この実を口にしたことがあるのですが、粘着力の強いガムのような中身が舌にまとわりつき、とても驚きました。まさにこれが、鳥の排泄物において、種子を枝にしっかりと固定するのに役立っているそうです。 ズミ以外にも、様々な木に寄生するそうなので、気をつけて見るといろいろな場所で見つかるかもしれません。ただし、この植物を見つけるのは冬が適していると思われます‥‥木々が葉を茂らせてしまうと、きっと分かりにくくなってしまいますよね。
雪原に咲く白い花。サクラよりもひと回りくらい小さく、茶色がかった柔らかな色をした三枚の弁の集まる基部は深い赤色をしていて、繊細な突起を何本も突き出しています。‥‥形、そして色の取り合わせに、何とも言えぬ魅力を感じてしまうのですが、これは花ではありません。この花びらのように見えるもの、種子を包んでいた果実の部分なのです。よく見ると、花々の右方に、落下せずに残っていた赤い種子があるのがわかります。「種子を包む果実が花弁状に裂ける」といったことを、おとといのマユミの紹介でも書きましたよね。これはマユミと同じ仲間のツルウメモドキなのです。秋(031017)に熟した実を紹介したのですが、果実は黄色かったはずですよね。これもどうやら、時間の経過や厳しい寒さの中で、マユミ同様、色褪せてしまったのだと思われます。 この時期、この辺りでは当然、花などまず見られないのですが、思いがけず印象的な「花」に出会うことができました。枯れてもなお、魅力ある新たな美しさを創り出していることに、思わず感心してしまいます。
今日も昨日の続きを‥‥と思ったのですが、朝起きて外に出て、思わぬ美しい光景に出会ったため、急きょ変更してしまいました。周囲の木々が見渡す限り、真っ白く変わっています。単に雪が降り積もったのなら、今年の冬もすっかり見慣れてしまった光景なのですが、まっすぐ伸びているレンゲツツジの枝を見て、ハッとしました。どの枝にも、同じ方向から、雪が「積もって」いるように見えるのです。思い返すと、昨夜はとても冷え込み、うっすらと霧がたちこめていました。そこで初めて、これが「霧氷(むひょう)」なのではないかと考えました。 霧氷とは、多量の水分を含んだ空気が、低温時に「結露」を通り越して「結氷」してしまう現象であると聞いたことがあります。一方向から吹き付ける風により、風上(写真左方向)側に霧氷ができています。木の風下側に吹き溜まった雪が形作る「樹氷(じゅひょう)」とは、作られ方が全然違うことが分かって頂けると思います。 他にも探してみると、アカマツの葉にビッシリとついているのを見つけました。どうやら、細い枝や葉の方が多くの霧氷をつけているようです。アカマツの葉に積もった雪は、以前(040109)紹介しましたが、その写真と比べると、降雪と霧氷の違いが‥‥ちょっと分かりづらいですね。 思いがけぬ発見で一日飛ばしてしまいましたが、明日以降は昨日の発見の続きを紹介するつもりです。 |