040904 カモシカに出会いました。しかも、数カ所でシャッターチャンスにも恵まれることができました。今日はそんな興奮をお伝えしたいと思います。
 カメラを持って近くの林に秋の始まりを見にゆこうと思い立ち、歩き始めて間もなく、昨年ハチに刺されて痛い思いをしたヤマボウシの木の脇を通り過ぎたところ、突然「ガサッ」と大きな物音がしました。見ると、右手の方約10メートル先にカモシカが、振り向くようにしてジッとこちらを見て立っています。先ほどの音で驚いて高鳴る鼓動を押さえ、カモシカから視線をそらさずに一枚、また一枚とシャッターを押しました。三枚目を撮った直後、カモシカはおもむろに去ってゆきました。
 あまりの蚊の多さに林を出て、林縁に沿って草原を歩いていると、再びガサッという音とともに、荒い鼻息がすぐ近くで二回ほど聞こえました。五分もしないうちに再会です。今度は正面にまわってシャッターを押しました。
 その後も、僕が普段から草原を歩くコースに並走するように、カモシカは林内を歩き、さらには林を隔てる細い道路を横断し、少し離れたところで木の葉をつまみ食いして、林の奥に去っていきました。後半の方では遠すぎてカメラではその様子が分からなくなってしまいましたが、ほんの15分ほどの時間をカモシカと一緒に過ごせたことが、とても嬉しく感じました。
 雑記での哺乳類の紹介は、昨年のタヌキの子供以来になります。哺乳類との遭遇はめったにないことなので、今回も撮影時はとても緊張しました。


040905 地面からニョキッと生えたキノコ。カサの部分がツヤツヤしていて、とても綺麗です。周囲の植物たちはというと、おもに短く刈り取られた芝とコケから構成されています。ありふれた植物からなる背景の中にあって、ひと際目立つキノコの姿を見ていると、幻想的なミクロの世界を探検しているような気持ちになります。建物の北側の、比較的ジメジメした芝生で撮影したのですが、そんな暗いイメージが少しも感じられないのが不思議です。
 このキノコ、色や形がまるでナメコみたいですね。大きさもややこちらの方が大きいくらいで、本当によく似ているなぁとしばらく眺めていました。しかし、どうやらナメコとはずいぶん違う種類のようです(ナメコは木材に菌糸を伸ばして腐朽・分解をする菌なので、芝生から直接生えることはないそうです)。
 キノコは地味な色をしているものが多く、その美しさになかなか気づかないことがあるのですが、今回は植物との対比によって、本来の美しさがさらに際立ったように感じられました。キノコと植物、昆虫と植物‥‥いろいろな自然の組み合わせを楽しんでみたいものです。


040906 ここ最近、週末に頻繁に通る道沿いに、ひと際目をひく植物を見かけていました。その鮮やかな色、さらにその大きさ‥‥とても気になっていました。そしてついに一昨日、近くに車を止めた際にカメラを持って見に行ってきました。 道路脇に立つと、黄金色の穂をつけ始めた稲がゆれている水田までの三メートルほどの間にまばらに雑草や巨大な赤ジソやウドが生えているスペースがあります。その植物はその道路よりに数本並んでいました。
 高さ二メートルはあるかと思います。道路と地面との間の数十センチの段差に立ってなお見上げる高さです。そして、遠くからでも圧倒的に目立つ色は、どうやら先端部付近の葉が、赤色や黄色に変色していることに由来するようです。赤色も黄色も近くでみるととても綺麗なのですが、この大きさをともなうと、逆に威圧感を放っているように思えます。「お化け○○」なんて名前で呼んでみたくなります。
 さらに接近し、葉をかき分けて茎を見てみました。葉の付け根のすぐ上、ちょうど「葉腋(ようえき)」と呼ばれる部分に、短い突起がかたまって生えて球形になっていました。この構造を見て、心当たりがありました。それは、ケイトウ(鶏頭)という園芸植物です。昔、庭先に生えていたその植物にも、同じような構造があったような気がしたのでした。
 帰ってから図鑑を調べると、この植物は「ハゲイトウ(葉鶏頭)」だということが分かりました。たしかに、ケイトウの特徴であるニワトリの「とさか」のような花をつけていません。ハゲイトウではどうやら葉の方で自己主張をしているようです。ちなみに、先ほどの葉腋に見られた構造は、小花の集まりなのだそうです。ケイトウでは茎の先端にも途中にも花をつけていることになりますが、ハゲイトウはこっそりと、隠すようにその花を咲かせているようです。
 道端の巨大植物から、二十年くらい昔の、建て替える前の実家の庭先の風景がよみがえってきました。身の回りの生き物を感じながら生きてゆくことは、いつか人生を振り返った時に、それを豊かに彩るような気がします。今回はそんな実感を得た機会だったようです。


040908 林縁の木々の間を伝うようにして伸びたツルから、たくさんの実がついた房がぶら下がっていました。ヤマブドウです。直径一センチ弱の果実は、大半が青黒く熟していますが、同じ房の中にはまだ赤っぽいもの、さらには緑色のままのものが混じっていたりします。普段果物として食べているブドウに比べると、実の数はそんなに変わらないのに、ずいぶん閑散とした房だという印象を受けます。
 とりわけ熟していそうな色のものを一粒、つまんでみました。普段口にするブドウをイメージしていたので、酸味だけでほとんど甘みがないことに驚かされました。甘さを追求するために、もっと熟しきって腐りかけているくらいの実にチャレンジすべきか迷ったのですが、今回は見送ることにしました。
 「実りの秋」ですね。さまざまなキノコや果実があちこちで見られるようになりました。「見る」と「味わう」の二つを両立して自然に向き合っていきたいと思います。


040912 林縁に生える木を見上げると、枝先の葉が白くなっていました。若い葉の表面を細かい毛が産毛のように覆っています。それを見ながら通り過ぎようと思った時、ふとある植物のことを思い出し、そして気づき、一年以上もモヤモヤとしていたことがスッキリと解決したような気持ちになりました。
 まずは昨年撮影した写真をご覧いただきたいのですが、それは「雑記」で紹介するにあたって何度となく植物図鑑を調べてみたものの、結局分からなかった植物です。高さ60-70センチ、頂部付近の葉の表面が白くなっているさまは、まるで「エーデルワイス」と呼ばれるウスユキソウに似ていますが、葉の形などが明らかに異なっていました。
 そして今回の写真の木は、まさに前述の謎の植物の生えていた場所の近くに位置し、そこから見上げた位置に枝を伸ばしていました。‥‥どうやら、若木の状態にあるこの木を、草原に生える草と勘違いしていたらしいのです。よく見回すと、あちこちに同様の若木が見られました。昨年七月のものとやや印象が異なるのは、先端の葉まで発達したせいではないかと思われます。
 植物に詳しい方にお聞きしたところ、この木は「ギンドロ」という、中国原産のポプラの一種であることが分かりました。さすがに植物図鑑にも膝丈くらいの幼樹は載っていないので、分からなかったのも仕方がなかったのかも知れません。やはり、観察においては、そのものだけでなく周囲や上を見渡すことが大事であることを学びました。
 しかし、今回はそれだけでは終わりませんでした。ギンドロが掲載されているページの近くに、日本に見られる他のポプラの仲間であるが紹介されていました。その一つ、ヤマナラシという木の写真を見て驚きました。木の幹に刻まれたひし形の模様‥‥この前の冬に林の中で見つけた「不思議な模様の幹」を持つ木、まさにそのものだったのでした。ギンドロはこのヤマナラシに近い仲間です。右のギンドロの幹の写真では、やや不明瞭ではあるものの、同様の模様が見られるかと思われます。
 ちょっとの散歩のつもりが、これまで疑問に思っていたことを晴らす、またとない機会となりました。疑問を常に心のどこかに置いておくと、ちょっとした発見との意外な結びつきによって、解決の糸口が見つかるかも知れませんね。


040914 閑散としたアカマツ林内の、落ち葉だらけで下草の乏しい地面から顔を出した、少し赤みがかった茶色いキノコ。カサの直径は二センチくらい。てっぺんが少しくぼんでいて、カサの周囲がゆるやかなヒダを作っています。背の高いテーブルに厚手のクロスを掛けたような雰囲気です。周囲に生えている植物の葉柄が、ちょうどキノコの根元あたりに差しかかっていて、この写真をパッと見た時に、まるで地面から葉と茎を伸ばして先端に「キノコの花を咲かせた」植物であるかのような印象を受けました。
 図鑑を見ると、キツネタケの仲間であることが分かりました。この仲間はどれも無毒で、中には美味しいものもあるそうです。‥‥とは言え、やはり自分で採ったモノを食べる勇気は、まだありません。


040918 二ヶ月振りに例の山に登ってきました。すでに高原では秋が感じられるようになってきており、山ではずいぶん冷え込むことを心配したのですが、快晴で風もほとんどなく、程良く汗をかきながら登ってこれました。
 山の中腹を過ぎたあたりから、登山道の両脇に青黒い実をつけた植物を見つけることができました。「クロマメノキ」‥‥ブルーベリーの仲間です。一センチに満たない実は、表面に白い粉を吹き、端にわずかなひだがあって、近くで見るとかわいらしい印象を受けます。
 もちろん食用にもなる実なのですが、じつはこの植物、絶滅が危惧されているミヤマモンキチョウの食草なのだそうです。食用にされることから乱獲の危機に瀕しているこの植物を守ることは、それを唯一の食料にしているチョウを守ることにつながる。それらは結局、地球上で人類と共生しているすべての生き物の多様性を尊重することにつながるわけですね。身近な自然から地球や生き物すべてに思いを巡らせることは、とても大切だと思います。


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