街はずれのとある高架橋の下、
古びた煉瓦造りの壁?を
暗黒世界に彷徨い込むようにして辿ってゆくと
ぽつんとひとつガス燈が見えました。

その下にぼんやりと浮かび上がる漆黒の扉、
そこには血文字のようにくっきりとお店の名前らしきものが・・・

男は勇気をふりしぼり重い扉を開けました。


グラスの触れ合う音と、あちこちで囁かれる声また声・・・
幽かに薫るレトロな雰囲気の中
男はカウンター席へとまっすぐに向かいました。

「マルティニをステアせずに・・」

そう男が注文すると、マスターは嗤って、

「檸檬は香り程度ですね?」

男が肩を窄めると、
マスターは思い出しでもしたかのように
こう謂ったのです・・・

「こちらのお店は・・・御存知かとは思いますが・・・、
お代はいりません、
 その代わりに、といってはなんですが
 ハイクを一枝置いていってくださいm(_"_)m」