北京環境ボランティアネットワーク
2001年勉強会
第9回 環境講話
講演者 地球緑化クラブ 代表 原鋭次郎氏
(以下の文章は、この会の勉強会に参加した有志による報告です)
原さんの講話をお聞きして
今回講師としてお招きした原鋭次郎さんは、地球緑化クラブの代表として、内モン
ゴルフフホトおよびバオトウ市郊外で、沙漠化防止活動に取り組んでいらっしゃる方
です。現在では内モンゴルだけでも日本の10団体以上が植林活動を行っているよう
ですが、原さん自身がこのような活動に積極的にかかわるようになったのは1994
年からだそうです。最初は内モンゴル自治区イクジョー盟(現・鄂爾多斯市)ダラド
旗の恩格貝というところで砂漠緑化活動を行っている「日本沙漠緑化実践協会」の活
動に参加しました。そこで厳しい指導を受けながら4年間をお過ごしになった原さん
は1997に、「実践協会」から独立して、ご自身で新しい植林地を見つけ活動を続
けることになりました。このような原さんの考えに大きな転換が起こった理由は、
現地の人との交流の中にあったそうです。砂漠緑化とは何か――日本にいるころから
原さんが考えていたことは、とにかく木を植えればいいということだったそうです。
しかし実際に長く現地に入っていると、最初のころは手入れなどに積極的だった現地
の人たちも、せっかく植えた木を折りとったり、そこに牛を放牧したりするようにな
るという現実に直面しました。そこで知ったのは、明日の生活にもこまっている貧し
い地元の人たちの生活でした。木を植えて大地を緑にするよりも、その日の暖を取る
ための燃料がほしい、というこの生活を変えていくことなしに、沙漠の緑化はありえ
ない、ということを深く感じた瞬間でした。
一方、日本から植林に来る団体側の要求は、80パーセント以上の活着するところ
に植えてほしいという条件であったりします。そうすると協会としては水源があり、
手入れのできる平地を選んで植林をすることになるのです。でも、そういう土地はま
た地元の人たちが農地として利用できる場所でもあります。彼らの生活はもっと貧し
くなります。そんな矛盾に目覚めた原さんは、自分でアルバイトしてお金をため自分
のやりたいように動かしていける活動をしたい、また、恩格貝で勉強したことを生か
してきた緑化の新しい技術を試したいという思いが募り、ついに独立を決意しまし
た。そのころ同じように独立していた増田さんという方と一緒に、フフホト市ホリン
ゲル県に活動の場所を移し、平地ではなく砂丘に草方格という方法を用いて緑化する
ことを始めました。
草方格というのは麦わらを碁盤の目のように砂に刺して砂の移動を止めるととも
に、その中にマメ科の牧草の種を入れ土壌改良をして砂丘を緑化する技術です。原さ
んは絵を使って、その詳細を説明してくださいました。その方法を使ったおかげで今
年までにホリンゲル県白二爺の2000畝(ムー)ほどの砂丘はすっかり緑になりまし
た。
そこで来年からは原さんは増田さんからも離れ、さらに緑化地点をダラド旗のクブ
チ沙漠に移して現地の小学校と提携、「生活を第一に考え、豊かにできる緑化活動」
を目指して現在準備中とのことです。日本での募金を募り、そのお金で小学生ととも
にポプラの苗を作る。そして、それを販売したお金で小学校にいけない人たちに奨学
金を出したり、草方格を利用した緑化の資金を得る。原さんのこの新しい構想は、木
を植えただけで終わる従来の緑化協力や、現地にただお金を落とすだけの援助とは一
味もふた味も違った新しい構想です。
また、原さんはもうひとつのプロジェクトとして草原観光地の退草を食い止める活
動も開始なさいます。これは中国国際旅行社内モンゴル支部との協力の下で行われる
もので、日本人の観光客限定で観光客1人に150gの牧草の種をプレゼント、それ
を指定した場所にまいて帰ってもらうというものです。その後の管理は、現場で環境
客を受け入れる人たちで冬場の仕事のない人や、夏場は馬飼いなど比較的時間の自由
になる人にお願いする。かれらも飼料を確保するのに役立つので決して誰も損をしな
いのではないかということです。
原さんの情熱的なお話を聞いていると、いろいろな団体との提携や協力を図りなが
ら、地元の生活のなかに入っていこうとする孤軍奮闘ぶりに、私たちも心を動かされ
るようでした。古巣の実践協会の代表である遠山先生も今では原さんの活動を認めて
くれているとのことです。団体職員から、独立しての緑化活動を経、いままさにさら
に新たな段階に発展しようとしている原さんの活動に心からのエールを贈るととも
に、ますますの成功を期待したいと思います。
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報告終わり。
参考:
地球緑化クラブトップページ
http://crclub.hoops.ne.jp/