針ミット


 針刺しの昆虫標本を大量に扱うと手が疲れます.新しく作った標本に量産したラベルを付けていくとか,ソーティングしながら全個体を別の箱に移動するとか,そういうのが結構つらいです.時に指は痛くなるわ,親指の根元が凝るわ.もお大変です.そこで新兵器登場!”針ミット”です.


針ミットを装着した人指し指

 ミット(mit = mitten)というと野球のキャッチャーミットを想像してしまいますが,一般には親指だけが分かれた単純な形の手袋の事です.この針ミットはもっと単純,ただの紙切れです.それを指に貼っただけ.
 写真のように,厚紙を長方形に切って折り曲げた構造です.厚紙としては昆虫標本の台紙やラベルに使う紙が利用できます.まぁそこらへんの紙片です.これを接着剤で人指し指に貼るのです.幅は5mm程,接着する部分の長さが8mm程,折り返す部分は5mm程が良いようです.接着剤はゴム質のペーパーボンドかハナクソ状のG-17みたいなのが良いです.未装着状態で針を摘んでみて,どの位置にどの角度で貼るべきか確かめてください.


つまみ方

 使い方は...という程のことはなく,ご覧のとおり針の頭をつまむときにΛ型の奥で挟むようにするだけの事です.これだけで強くつまめ,引抜きの応力,回転トルクともに格段に向上します.また,強く押し込む際の効果は絶大です.一度やったらやめられません.


ギュっと握っても指の肉が圧迫されるだけ

 そもそも,なぜこんなモノが役に立つかというと,もともと人間の指は昆虫針のような細い物体の取扱いに適してないのだろうと思います.”つまみ上げる”くらいの事はできますが”強くつまむ”,”ねじる”,”引き抜く”という事はできないのです.強くつまもうとして力を入れても,針に対する応力はほとんど増大せず,ただ指の肉を圧迫するだけです.力を入れるときはペンチやピンセットを使いたくなります.実際に世界に冠たる某博物館でも標本用のペンチを使っていてたそうです.
 硬い方が良いのであれば,指の表面だけでも硬くしてやれば解決するのではないか? というのが当社(どこが社やねん?)の発想です.指の表面を硬化するのと同じ効果が得られる,これが針ミットの効用の一つです.
 もう一つは,針を押し込む時(コルク底に刺す時,ラベルを刺す時など)に,折り返しの部分で発揮される効果で,釘を金槌で打つように,針の頭を紙で包み込んで押えつける事が効率的に行えます.