〜桂(かつら)〜
この木は樹脂成分が非常に少ない木なので、塗装をしっかりして仕上げるもの(鎌倉彫り等)に適しています。
柔らかい材質さえ選べは、非常に彫りやすく初心者の方でも安心して彫る事が出来ます。
日本全土に自生していてますが、北に行くほど柔らかいようです。(北海道のものは多少高価と聞いています。)
木肌の色は薄茶で少し赤みの帯びたもの、年輪の幅が均一によく詰んでいて余り色の濃くないもの、持ったときにできるだけ軽いものが柔らかいです。
余談ですが、硬いものでも削りにくい事を承知で使えば、彫り艶が出て塗装をしなくても大変よく仕上がります。
◆彫り方
樹脂成分の少ない木ですから、繊維に対して横削りをしたり、刃物のきれが悪かったりするとぼそぼそとした感じになって美しくありません。横削りはせずに、刃物もこまめに研ぐとよいでしょう。丸っこい物を彫るのにも適していまっせん。
◆仕上げ方
漆の重ねぬりには、最適です。
あとは、染み込みにくい水性の染料で染めるか、不透明の塗料で塗って仕上げるとよいでしょう。
木自体が艶を出さな上に、部分的に染み込む状態にムラも有り、長い年数が経つと黒っぽくなってきてしまいます。ですから、木肌が見えないように何度も塗り重ねた方が良く、シミムラを防ぐ為にも「染み込みにくい染料・塗料」が良いです。
〜朴(ほう)〜
この木は、適度に油脂分が有って加工性も大変よく、割れや狂いも少なく彫りやすさの点では最高です。北海道産のものが最高ですが、高度成長時代に電気コタツのメーカーが大量伐採した為に数が少なくなり、価格が高騰してしまったと聞いています。他の地域のものなら比較的安価で、手に入りやすいでしょう。
木の見分け方は、あまり濃くない緑っぽいグレイの色のもので、年輪が均一で細かく詰まったものを選んでください。年輪の粗い者や色の濃いものは、硬かったり割れや狂いのくるものが多いので避けたほうが無難です。
また、比較的木口も彫りやすいので“しらた”を除けばどのように木取っても大丈夫です。ただ年輪が波打っているような所は大変彫りにくいので避けてください。
◆彫り方
桂と違い比較的樹脂成分が多いのでどの方向から彫っても彫りやすいです。また、木口との硬さの違いもありませんので、初心者の方も安心して彫ることができます。ただ“しらた”や若木の目の粗いものなど、大変硬いものも有りますので注意してください。
万一、波のような木目のところがあった場合は、木目に対して横に彫るようにするとよいです。このときあまり一度に多く彫るとそげてしまいますので、すこしづつ彫るようにしてください。
◆仕上げ方
木の色が比較的均一なので、彩色するのが割と楽な木です。水性の染料などでも割合楽に染まります。ただ、この木は年月が経つと褐色になりますのでそのことも計算に入れて彩色してください。
染めた後はニスやラッカーなどの色止めを忘れないように。

〜しなの木〜
この木は、とても柔らかいので日本の木の中では一番彫りやすく、色も白くて彩色しやすく、また比較的安価なので、安い土産物(北海道の熊の彫物の安価な物)等によく使われています。また研ぎやすい事から、ベニヤ材として一番多く使われています。
本州の中部から北の寒いところに多く生息していて、やはり北海道のものが最高です。この木の中心部分は、緑色や茶褐色になります。本州のものは、この中心部が多く、重要な白い部分が少ないのであまり良いものとは言えません。また伐採時期が難しく、春から夏にかけての成長期に伐採すると乾燥の段階でシミがはいってしまい使い物になりません。ですから秋の彼岸過ぎてから伐採します。また暖かい地方での自然乾燥では、中にシミが入って使い物になりません。それに水に弱いのでぬらすとシミが入ったり腐ったりしますので保存がとても難しいのです。ですから、自分で木取るのは避けた方がよく、必ず人工的に強制乾燥させたものを選び、できるだけ早めに使いきりましょう。置き場所も、湿気のない風通しの良いところを選び、腐る前(2〜3年以内)に使い切りましょうましょう。
◆彫り方
この木ほど柔らかく彫りやすい木はありません。ですから坂目さえ彫らなければどのように彫っても安心です。ただ、柔らかすぎるので、つめで押しただけでも傷がつきますから、大事に扱ってください。多少の押し傷なら水で濡らせば直りますが、濡らし過ぎるとシミになったり腐ったりするので少しにしてください。
刃の厚みが有ったり、切れが悪いものを使うと、木を押しつぶしたりボロボロになるので、薄刃でよく切れる彫刻刀を使いましょう。木を押しつぶして形成したところは、時間が経って水分を含むと元に戻ったりしますから、後でいびつな形になって考えていた仕上がりと違ってしまう事が有ります。刃物はこまめに研いで、きちんと削って下さい。
◆仕上げ方
水分に大変弱いですから、必ず水を遮断するような塗膜を作って保護してください。
塗料は、ラッカーやウレタンなどの塗膜の硬いものはよくありません。木が柔らかなので何かがぶつかると木がすぐへこみ塗膜がひび割れてしまいす。ですから、ニスやカシュウなどの比較的塗膜の柔らかいものを薄く染み込ませるように塗ると良いです。


10月の豆知識はいかがでしたでしょうか?
今回は比較的日本でお目にかかる広葉樹(括葉樹)を選んで見ました。
皆様のご意見ご感想をスタッフ一同こころよりお待ちしております。
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