はじめに 〜広葉樹と針葉樹〜
私共がが使う木材には大きくわけて針葉樹と広葉樹があります。
世界には約800種あると言われている針葉樹には、松のように葉が針状のものと、杉や桧(ひのき)のように葉が鱗片状のものとあります。
そして一般には常緑のものが多いですが、中にはから松のように落葉する木もあります。
広葉樹は楠(くすのき)、欅(けやき)、栃(とち)、桂(かつら)など葉が偏平なものを言います。
この中に楠や椿(つばき)のように一年中木の葉が緑色のまま付いている常緑のものと、欅や桂などのように紅葉して落ち、冬になると丸裸になる落葉のものとがあります。
ただ、常緑と言っても同じ葉がずっと付いているわけではなく、春新芽が出ると前の年の葉は落ちます。
種類は針葉樹と違い格段に数が多く、正確には分かりません。
彫刻できる針葉樹には 桧(ひのき) ヒメコ松 ひば 一位(おんこ) 松 等があります。
これら針葉樹には一般に冬目と夏目の硬さの差が激しく、また木の繊維が長くしなやかなので大変彫りにくいのです。
塗装をしないで白木で仕上げるには年輪の模様が出て綺麗に仕上がり、日本的な仏像などを大変よいと思います。
前に上げた針葉樹は比較的彫り易い材料ですがこの後にあげる広葉樹に比べると、刃の研ぎを非常に良くしないと仕上がりません。
また、ペーパーで仕上げた場合には繊維が折れずに残ってしまい、表面がパサパサになってしまうので綺麗に仕上げるのは無理でしょう。
前に上げた針葉樹を彫易い順に並べると、ヒメコ松 ヒバ 一位 桧 の順で良かろうと思います。
なお、杉、松、栂(つが)、米栂(べいつが)、樅(もみ)などは硬いのと夏目、冬目の差が激しすぎてあまり適していません。
広葉樹には逆に夏目と冬目の差があまりなく、木の硬さが一定しています。
良く使う種類は 桂(かつら) 朴(ほう) シナ 楠(くすのき) 欅(けやき) 栃(とち) 桐(きり) 黄楊(つげ) 白檀(びゃくだん)等があります。また、輸入材ではジェルトンなどがあります。
この中で一番彫り易いのは シナ 桂 朴 ジェルトン です。
ラワンなどの輸入材はケイ素の結晶を噛んでいるものが多く、刃物がすぐに切れなくなりますので御注意下さい。
年輪
左の図は木を輪切りにした断面図です。
樹木では樹皮の下に形成層という細胞の分裂を司る組織があって、内側には木材となる細胞を、外側には樹皮を毎年作り続けています。
樹皮の方は割れたり剥がれたりしてあまり厚くはなりませんが、木材の細胞組織の方は内側の方に確実に太っていきます。
この、毎年太っていくのが年輪です。
日本には四季があるため、形成層を作る細胞の形や密度が違ってきます。従って1年1年の年輪をハッキリ見る事が出来るのです。
春夏は成長が活発で、細胞膜の厚い大きな細胞をどんどん作りますが、秋になると成長が鈍くなり細胞膜の薄い小さな細胞を作ります。
冬に近付くにつれその数も減り、本格的に冬になるとその生産も止まります。この事によって年輪がハッキリ見えるようになるのです。
この形成された比較的新しい年輪の部分を『しらた(辺材)』と呼びます。
この部分は水分を非常に多く含み、本来その木の持つ樹脂分をほとんど持っていないので、乾燥すると大きく収縮支たり割れたりします。また木によっては乾燥の段階でシミが入ったりします。
それに対して、古い年輪で『しらた』より色の濃い部分を『あかみ、あかだ(心材)』と呼びます。
この部分が木、本来の性質を持ってる部分です。
一般に『しらた』の部分は、乾燥すると硬くパサつき彫りにくいです。
また、収縮率が大きいので割れたり反ったりしますから注意が必要です。
芯を中心に年輪の巾の広い方が日当たりの良い南側で、この部分は細胞組織が太く大きいので比較的硬く割れたりくるったりする事が多いです。
それに比べ、日当たりが悪い北側の年輪の狭い方は細胞組織が細かく小さいので、軟らかく割れなども少ないです。
それと、若い木は性質が一定しないので硬く、くるったりする事が多いです。
できるだけ樹齢の多い(百年以上)木を選ぶ事が理想です。
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