032

■ペリカン類とその仲間 (PELICANS AND THEIR ALLIES)(ペリカン目)は、大型で水棲。魚を食い、4本の足指全てに水掻がある。殆どが大きなコロニ−で営巣し、繁殖地以外では声をださない。6つの科から構成される。ネッタイチョウ類(ネッタイチョウ科)、ペリカン類(ペリカン科)、グンカンドリ類(グンカンドリ科)、カツオドリ類(カツオドリ科)、ウ類(ウ科)、およびヘビウ類(ヘビウ科)。ネッタイチョウ類とグンカンドリ類とカツオドリ類は、卵を1個産む。他の科の鳥は、3〜5個産む。

アカハシネッタイチョウ  RED-BILLED TROPICBIRD
秋、南カリフォルニア沖を定期的に訪れるが、稀。北大西洋には偶然現われることがある。海岸ちかくで見られることはめったにない。成鳥は、ふつう、流れるような長い尾があり、嘴が赤い。幼鳥の嘴は黄色。アジサシのように海に飛び込んで漁をする。飛翔は、ハトのようで、羽撃は力強い。

シラオネッタイチョウ           WHITE-TAILED TROPICBIRD
嵐のあと、南東海岸の沖合に偶然現われることがある。類似するアカハシネッタイチョウと比較すると、小さく、翼には黒い筋模様でなく太い黒帯があり、過眼線が短い。幼鳥には流れるような尾はなく、上面には黒い線がある。

カッショクペリカン   BROWN PELICAN
太平洋岸、大西洋岸ともに局地的に繁殖し、普通。淡水域で見られることは稀。成鳥は体が灰茶色で、頭は淡色。幼鳥は上面が一様にくすんだ茶色で、下面は明色。飛ぶのがとてもうまく、力強い羽撃と短い滑空を交互に繰り返す。このような飛翔によって、水面から僅か数インチ上を飛ぶことが多い。頭を肩の方まで後ろに引いて飛び、上空を滑空することはめったにない。小さい群れをつくり長い列をなして飛ぶ。30フィ−トの高さから小魚を求めて水に飛び込む。人をさほど恐れず、しばしば桟橋の上で人に餌をねだる。

アメリカシロペリカン          AMERICAN WHITE PELICAN
西海岸や湖で、数百番からなるコロニ−で局地的に繁殖し、普通。初列風切の全てと次列風切の半分が黒い。繁殖期のみ、嘴の上に丸みのある扁平な板がみられる。飛翔は、羽撃と滑空を交互に繰り返す。渡りのときは、長い列やV字に並ぶ。しばしば、はるか上空を滑空する。浅瀬を泳いだり歩いたりしながら漁をし、大きな嘴ですくいあげる。飛び込まない。繁殖しない個体の一部が越冬地で夏を過ごす。

034

アメリカグンカンドリ    MAGNIFICENT FRIGATEBIRD
夏場、フロリダ半島先端の島々で普通。秋あるいは嵐のとき、南東部海岸や湾岸や西海岸に時々現われる。幅の狭い翼の曲りが目立ち、尾が長くほっそりしていることに注目。雄は求愛動作の際、咽にある袋を膨らませる。飛びながらカモメやアジサシから餌を奪い取る。水面から小魚やゴミを採ることもあるが水面に降りることはない。滑空がとてもうまく、翼を動かさずに空高く舞い上がる。

シロカツオドリ  NORTHERN GANNET
夏場、繁殖地の島々のちかくで普通。洋上で越冬する。特に東風の時に海岸からしばしば見られる。尾が2本あるように見えるシルエットに注目。成鳥は、体が白く翼の先が黒いことで識別される。大きなコロニ−で営巣する。50フィ−トかそれ以上から海に飛び込み、餌を採る。渡りのときは水面のすぐ上を飛び、列をなすことが多い。ぎこちない羽撃と滑空を交互に繰り返す。

アオツラカツオドリ          MASKED BOOBY
夏場、フロリダ州、ドライト−チュラスにきまってやってくる。本土では極めて稀。風切羽全体と顔が黒い。嘴のちかくの皮膚が濃青灰色。幼鳥は上面が暗色で、首の回りに淡色の帯がある。熱帯のカツオドリで、カツオドリやアオアシカツオドリより大きく、シロカツオドリより小さい。習性はシロカツオドリに似る。

アカアシカツオドリ               RED-FOOTED BOOBY
カリブ海や西海岸にやってくるが、極めて稀。白色型と暗色型がいる。白色型は、次列風切が黒い小型のシロカツオドリのように見える。暗色型は茶色。中間は尾が白い。

カツオドリ                  BROWN BOOBY
湾岸にきまってやってくるが、カリフォルニアでは稀。上面が一様に暗色。成鳥は、下面の白と茶色が極めて対照的だが、幼鳥はこれを欠く。習性はシロカツオドリに似る。

アオアシカツオドリ                BLUE-FOOTED BOOBY
カリフォルニア州、ソルトン湖やコロラド川低域に偶然現われることがある。上から見ると、背面上部に白い部分があり、(成鳥では)腰が白いことに注目。翼下面は暗色。年令にかかわらず足は青い。成鳥の青っぽい嘴が識別点。習性はシロカツオドリに似る。

036

○ウ類とヘビウ類(CORMORANTS AND ANHINGAS)は、魚を食う。嘴を上に傾けながら泳ぐ。水面から水に潜り、水中を泳ぐ。しばしば翼を半開きにして止まり、乾燥させる。V字形をつくって静かに飛ぶ。

カワウ                        GREAT CORMORANT
北米最大のウ。喉の一部が白いのは本種のみ。ミミヒメウより嘴が黄色っぽく太い。繁殖期には成鳥の脇腹に白い部分があらわれる。幼鳥の腹は首より白っぽい。

アオノドヒメウ                    BRANDT'S CORMORANT
尾が短い太平洋岸の普通種で、冠羽がない。喉は暗色(繁殖期は青)で、後ろ端がくすんだ黄色。幼鳥 は、本種より小さいヒメウのように下面が暗色だが、胸に淡色の大きなY字模様がある。飛翔時は、首をまっすぐのばすことと、大きな頭に注目。

ミミヒメウ                      DOUBLE-CRESTED CORMORANT
分布域は広い。海岸でも内陸の湖でも川でも見られる。咽の袋はオレンジ色で、冠羽はめったに見えない。幼鳥は胸が白く、腹が暗色。飛翔時は、大きな頭を首より高く保つ。

ヒメウ                        PELAGIC CORMORANT
小型の太平洋岸の普通種で、嘴が細い。咽の袋と顔はくすんだ赤。春に2つの冠羽と脇腹の白い部分があらわれる。幼鳥は全面が暗色で、淡色のY字模様はない。飛翔時は、小さな頭がまっすぐのびた細い首に続くように見える(?)。

ナンベイヒメウ                    OLIVACEOUS CORMORANT
比較的普通。小型で嘴は細い。警戒心が少ない。棲息域の最北端は南ルイジアナと南アリゾナ。茶色い翼が、黒光りする体と対照的である。

チシマウガラス                    RED-FACED CORMORANT
アリューシャン列島に棲息する。類似するヒメウより顔が鮮やかで、咽に青い袋がある。幼鳥は、ヒメウより嘴が長いことで識別される。

アメリカヘビウ                    ANHINGA
淡水の沼地や池や湖に普通。魚を突いて採る。しばしば、首だけ水からだして泳ぐ。長くまっすぐな嘴、長い尾、白い翼に黒い羽があることで、ウ類と識別される。ふつう単独で見られるが、群れで空高く滑空することもある。

038

□北米の水鳥(WATERFOWL)(カモ目、カモ科)は、8つの族に分類できる。ハクチョウ、ガン各1族とカモ8族である。水鳥は、水棲で、前の3つの足指の間に水掻がある。首は長く、翼は、幅が狭く先が尖っていて、殆どの種類は足が短い。アビやカイツブリの仲間と異なり、嘴が扁平で、へりが歯のようになっていて濾過器として機能する。扁平な体は、ダウン羽毛でたくみに防水されている。若鳥は、ダウンで覆われて孵化し、孵化後、数時間で歩いたり泳いだりできる。

ハクチョウ類(SWANS)は、水鳥中で最大で、長い首が特徴的である。首は体より長い。アメリカの種は全て白く、空中や水中で気品がある。飛び立つとき、水面に沿ってパタパタと走る。若鳥は茶色っぽい。浅瀬で水に浮び、体を傾けて水棲植物を採る。卵は3〜10個。(40ページ)

ガン類(GEESE)は、体の大きさや田の特徴は、ハクチョウとカモの中間だが、全く別のグループをつくる。雌雄は類似。ガンはカモに比べて、重々しく、首が長い。ハクチョウ同様、年に一度、換羽する。カモやハクチョウに比べて、脚がはるか前方に位置しているものが殆どである。これは、草を食うためも適応である。卵は3〜8個。(42〜44ページ)

表面採餌ガモ類(SURFACE-FEEDING DUCKS)は、ハクチョウやガンに比べて、体が小さく、嘴が扁平で、脚が短い。池、湖、流れのゆるい河川に居り、水棲植物を食う。力強く飛び、突然に上に跳躍するようにして飛び立つ。飛翔時は、次列風切の鮮やかな部分、いわゆる翼鏡、が顕れる。地上に営巣する(アメリカオシを除く)。卵は5〜12個。(46〜52ページ)

039

フエフキガモ類(WHISTLING-DUCKS)は、カモと更に大きな水鳥の中間に位置する。脚と首が長いカモである。ややガンのような感じで飛ぶ。湖や池に棲み、水に浮び体を傾けて水棲植物を食う。ガンのように草を食むこともあり、場合によっては農作物に被害を与える。10〜15個の卵を産む。(52ページ)

入江ガモ(BAY DUCKS)は、一つの族であり、全種、後ろ足指のそれぞれに水掻がある。泳ぎが達者で、脚ははるか後方についている。北方の湖で繁殖し、殆どは大きな群れをつくって、海水混じりの河口域や、氷結しない海岸域で越冬する。主に水棲植物を食う。殆どは地上に営巣する。4〜14個の卵を産む。(54ページ)

海水ガモ類(SEA DUCKS)は、アイサと同じ族である。飛び立つとき、水面に沿ってバタバタ走る。入江ガモに比べ、深くまで潜り、軟体動物を好んで食う。内陸の湖より、海水域で繁殖することが多い。冬場の棲息場所は、入江ガモに比べて、より厳密に海水域に限定される。地上に営巣する。卵は、4〜8個(56〜60ページ)

オタテガモ(STIFF-TAILED DUCKS)は、ずんぐりとした小型のカモ類。南部の湖や淡水の入江に棲息する。英名は、比較的長く堅い尾に由来する。卵は5〜11個。(62ページ)

アイサ類(MERGANSERS)は、嘴が長くほっそりしていて魚をつかむのに適している。海ガモ類同様、ゆっくりと飛び立つ。ウミアイサ以外は、木のくぼみに営巣する。卵は6〜18個。(62ページ)

040

○ハクチョウ類(SWANS)(ガン亜科ハクチョウ族)は、白く、首が長い、重量級の鳥で、湖や川の岸辺に棲む。頭と首を水に浸して水底の植物を食う。岸辺の草も食う。雌雄は類似。幼鳥は灰褐色。首をのばして、深く、どっしりと飛ぶ。V字形あるいは一列の編隊で飛ぶ。

コブハクチョウ                   MUTE SWAN
北東アメリカに導入された旧世界の種で、公園に普通に見られる。局地的に野生で繁殖する。泳ぐとき、首は優雅なS字曲線を保ち、次列風切を、しばしば持ち上げる。幼鳥の嘴は、くすんだバラ色で、基部が黒い。ブーブーという低い声だが殆ど聞こえない。飛翔時の羽撃は、特徴的なざわめき音を発する。

アメリカコハクチョウ                TUNDRA SWAN
最も普通のハクチョウで、かつてはコハクチョウ(Whistling Swan)と呼ばれていた。最北部で繁殖し、淡水もしくは、やや海水の混じる浅瀬で、大きな群れをつくって越冬する。遊泳時には、シルエットで、コブハクチョウと識別される。首はまっすぐ伸ばし、嘴は水平を保ち、次列風切を持ち上げることはない。成鳥の黒い嘴には、しばしば鮮明な黄色の点が現われる。これは、ナキハクチョウにはない。ナクハクチョウと比べると、ふつう、横からみた嘴の形がくぼんでいて、頭に丸みがある。幼鳥は明るい灰褐色。嘴はピンク色で、先端だけ黒みがかっている。こもった笛のような鳴声で、音楽的である。ホーンというカナダガン(42ページ)の声に似る。旧世界種(コハクチョウ)は、極稀にアラスカや北西海岸に飛来する。成鳥は、嘴の基部が黄色いことで、識別できる。

オオハクチョウ                   WHOOPER SWAN
極稀にアラスカやグリーンランドに飛来する。ナキハクチョウに似るが、成鳥は、大きな嘴の基部の広い範囲が黄色い。

ナキハクチョウ                   TRUMPETER SWAN
ワイオミング州のイエローストーン国立公園、モンタナ州のレッドロック湖、あるいは、カナディアンロッキーの各地で、普通になってきている。繁殖地以外では稀だが、冬場は西海岸で見られる。最高の識別点は、声、扁平な頭、横から見た嘴の形、大きな体。幼鳥は、嘴がピンク色で、先端と基部が黒い。トランペットのような鳴声で、大きく、低い。低い声のあとに、約3回、高い声を続ける。

042

○ガン類(GEESE)(マガン族)は、大きく丸々とした鳥で、首は長く、脚は短く、嘴は広く丸い。穀物、新芽、ある種の海藻を食う。飛翔時の羽撃は、深く力強い。渡りのときは、ふつう、やかましい群れが、V字形あるいは、乱れた一列の長い編隊をつくる。雌雄は同じように見える。

カナダガン                     CANADA GOOSE
最も普通で、最も良く知られている。黒い頭と首、幅広く白い頬で識別できる。湖畔や海岸の湿地で繁殖する。繁殖期を過ぎると大きな群れをつくり、水辺から通える距離にある開けた草原で草を食う。昼も夜も渡る。少なくとも10種の亜種が知られている。亜種間は、大きさが大幅に異なり、色は少し異なる。ホーンという声で鳴くことは、良く知られている。小さめの種の鳴声は、クワッ。

コクガン                      BRANT
地域によっては普通。小さく、暗色で、首が短く、頬はカナダガンとは異なり白くない。暗色の翼と明色の側面が、とても対照的である。首の白は、幼鳥にはない。東部の鳥は、腹が明色。西部の鳥は、かつてクロコガンとして知られていたが、胸と腹が黒く、首の白が東部種より広がっている。飛翔は早く、水面上を低く飛ぶ。しばしば、群れで、一列の長い編隊を組む。北極で繁殖し、海岸の入江で越冬する。餌はウナギ草のような水棲植物で、水に浮び体を傾けて採る。一度、絶滅しかけたが、今は以前の数を回復している。声は、穏やかなゥルォンッ(rronk)。

カオジロガン                    BARNACLE GOOSE
旧世界の種で、秋の東海岸に、他のガンの群れの中に混じって、偶然現われることがある。顔全面が白いことで識別される。幼鳥は成鳥に似る。グリーンランドやヨーロッパの極地で営巣し、ヨーロッパで越冬する。速く短い吠えるような鳴声を連続させる。

ミカドガン                     EMPEROR GOOSE
灰色で小さい。アラスカの湿地で繁殖する。アラスカの海岸域で越冬する。数羽は、迷鳥として北カリフォルニアの海岸まで南下する。脚のオレンジ色(成鳥)、暗色の下尾筒と白い尾(成鳥、幼鳥とも)に注目。鳴声は、やかましいクラガッ、クラガッ、クラガッ(kla-ga kla-ga kla-ga)。

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マガン                       GERATER WHITE-FRONTED GOOSE
体は灰色。普通種。ふつう、大きな群れで主な越冬地に飛来する。ただし、ミシシッピ川の東では稀。明るい灰色の下面上に不規則な黒い模様がある。このような特徴の北米のガンは本種のみ。脚はオレンジ色か黄色。このような特徴は、アラスカ以南で本種のみ。成鳥の白い顔は、至近距離での格好の野外識別点。幼鳥は、主として、黄色い嘴と脚、および鳴き声で、アオハクガンの幼鳥と識別される。鳴声は、高い金切り声で、ワァア、ワァア、ワァア、ワァア(wah wah wah wah)、または、トゥウルウ、トゥウルウ(tu-lu tu-lu)。

ヒシクイ                      BEAN GOOSE
春、西アリューシャンに稀にやってくる。マガンの幼鳥に似るが、嘴が太めで、黒く、先端ちかくにオレンジ色の帯があることが、識別点となる。

コザクラバシガン                  PINK-FOOTED GOOSE
グリーンランドで繁殖し、ヨーロッパに渡る。ピンク色の足、ピンク色と黒の嘴が、識別点となる。

ハクガン(アオハクガンを含む)           SNOW GOOSE (including BLUE GOOSE)
地域によっては数が多く、大きな群れをつくる。白色型は、純白で翼の先が黒い。成鳥と淡灰色の幼鳥は、両者とも、稀に現われるヒメハクガンに酷似する。本種のほうが、大きく、嘴が太いことで、識別できることもある。青色型は、グレートプレーンズの東部に多数みられるが、ミシシッピ川の東では、普通ではない。成鳥は、頭、首、脚は、白色型と同じだが、体は、暗色で、マガンのようである。幼鳥は、マガンの幼鳥と殆ど同じだが、嘴と脚が灰褐色。白色型と青色型の混血は、背は暗色だが、下面がとても白っぽい。短くこもったようなハウハウ、ハウハウ(haw-haw, haw-haw)、という鳴声で、アメリカコハクチョウ(40ページ)を連想させる。

ヒメハクガン                    ROSS' GOOSE
北米のガンのなかで、最も小さく、最も稀。北極で繁殖し、殆ど例外なくカリフォルニア州、セントラル峡谷で越冬する。ハクガンに酷似するが、同時に現われた場合、平均的には小さめである。嘴は短く、暗色の筋はない。至近距離では、成鳥の嘴の基部に、イボのようなコブが見える。幼鳥は、ハクガン幼鳥に比べて、灰色が淡く、脚が一層ピンク色である。黒色種が稀にいる。鳴声は、弱々しいアゥアゥ(aw-aw)だが、めったに聞けない。
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