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●タイランチョウ類(TYRANT FLYCATCHERS)(タイランチョウ科)は、頭が大きく、嘴が幅広く、脚が短い。露出した枝や電線に止まり、飛んでくる虫を待つ。小型種の多くは、尾をピクピク動かす。雌雄は類似(バラノドカザリドリモドキとベニタイランチョウを除く)。若鳥はほんの少し異なる。殆どは、木や潅木に営巣する。卵は2〜6個。
バラノドカザリドリモドキ ROSE-THROATED BECARD
アリゾナ、ニュ−メキシコ、テキサスの合衆国・メキシコ間の国境に沿って局地的に棲息するが、稀。雄の咽はバラ色は独特。雌と若鳥は体が茶色で、首が帯状に幅広く黄褐色で、頭頂が黒い。新世界の熱帯産で大型のカザリドリモドキ亜科に属するのは、北米では本種だけ。嘴と頭が大きい。木のてっぺんに止まり、しばしば停空飛翔をする。巣は大きい。卵は3〜6個。鳴声は、細くてかんだかい笛のようなパチパチ音。
エンビタイランチョウ SCISSOR-TAILED FLYCATCHER
開けた郊外に普通。成鳥の長く流れるような尾に注目。若鳥は、ニシタイランチョウ(206ペ−ジ)に似るが、側面がピンク色で、尾が白っぽい。鳴声はニシタイランチョウを連想させる。類似するズグロエンビタイランチョウ (Fork- Tailed Flycatcher, L15")は、やはり長く流れるような尾だが、下面が白く、頭頂は黒い。幼鳥は茶色っぽい。合衆国東部に偶然やってくることがある。
キバラオオタイランチョウ GREAT KISKADEE
リオグランデ渓谷の低地に局地的に普通。白黒の顔模様が目立つので、簡単に識別される。飛翔時は、赤褐色の翼に注目。キスカディという英名は鳴声に由来する。
ベニタイランチョウ VERMILION FLYCATCHER
湿気のない南西部の小川のちかくに普通。ショウジョウコウカンチョウやフウキンチョウ類より明らかに小さいだけでなく、嘴が小さいことと、ハエを採る習性で、簡単に識別される。雌は、筋模様の側面と、イチゴ色がかった脇腹で識別される。チャイロツキヒメハエトリ(210ペ−ジ)は、尾が長く、筋模様がない。囀りは、高いパチパチ音で速い。
キバラブチタイランチョウ SULPHUR-BELLIED FLYCATCHER
標高5000〜7500フィ−トの峡谷に局地的に棲息し、かなり普通。声はうるさいが、高い所の茂った葉に隠れていて見づらい。下面の筋模様が目立つタイランチョウは、北米では本種だけ。鳴声は、キノドメジロハエトリ(214ペ−ジ)に似るが、格段にうるさい。
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●アカボシタイランチョウ類(KINGBIRDS) は、開けた郊外に棲息するヒタキ類。攻撃的。ほとんど垂直の姿勢で止まる。
オウサマタイランチョウ EASTERN KINGBIRD
グレ−トプレ−ンズの東で普通。尾の先端に幅広い完全な白帯があるのは、囀る鳥では本種だけ(260ペ−ジのモズの欄を参照)。レンジャク類(258ペ−ジ)は、しばしば似たような仕草をするが、尾の帯が黄色い。鳴声は、強い調子のきしむような声。毎分13〜15回。(夜明けに鳴く。)
ニシタイランチョウ WESTERN KINGBIRD
巣を作れるような木々が散在する農場のちかくや小川沿いに普通。尾の外側の白い羽が見えれば識別できる。もし白が見えないと(白を欠く幼鳥がいる)、ハシナガアカボシタイランチョウと見間違うことがある。ハシナガアカボシタイランチョウは、小さく、咽の白い部分が本種よりくっきりしていて、頭は暗色。また、本種は尾が黒いことで、ヒタキモドキ類(208ペ−ジ)と識別される。鳴声は、オウサマタイランチョウとはまるで異なり、また、きしむような感じはさほどない。
ハシナガアカボシタイランチョウ CASSIN'S KINGBIRD
かなり普通だが、ニシタイランチョウほど分布域が広くない。潅木密生地や森林ちかくの高地を好む。ニシタイランチョウと比較して、太っており、活動的でない。尾先の幅の狭い部分が、灰色か白で、尾の外側の羽に白はない。鳴声は、ヒガシオリ−ブタイランチョウに似るが、低音。
オリ−ブタイランチョウ TROPICAL KINGBIRD
メキシコ国境ちかくの茂みに普通。秋、カリフォルニア沿岸をさまよう。胸は、腹と同様、鮮やかな黄色で、背面はオリ−ブ色。淡色でV字形の尾に白い部分はない。鳴声は、キティッ (kittik) という一連の高い声。ヒガシオリ−ブタイランチョウ(Couch's Kingbird, L7") は、オリ−ブタイランチョウと姿は殆ど同じだが、鳴声が、うるさいチックィ− (chi-queer)。
ハイイロタイランチョウ GRAY KINGBIRD
フロリダキ−ズの電線の上に普通。他の海岸ちかくの所では局地的。大きな嘴、淡色の上面、および白い部分がないV字形の尾に注目。鳴声は、ペチィ−リィ−(pe-cheerrry)。
ハシブトアカボシタイランチョウ THICK-BILLED KINGBIRD
南アリゾナやニュ−メキシコに棲息するが、稀。上面が茶色っぽく下面が淡色なので、ヒタキモドキ類(208ペ−ジ)を連想させるが、顔模様、白い咽、暗色の尾、縞がない翼、および動作から、アカボシタイランチョウの一種だと分かる。太い嘴に注目。幼鳥は、下面は全面が黄色。
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●オオヒタキモドキ類(MYIARCHUS FLYCATCHERS) は、大型。頭と背面はオリ−ブ色で、黄色っぽい腹は、幼鳥ほど色鮮やか。オリ−ブオオヒタキモドキ以外は、尾が鮮やかな錆色。全種とも翼に縞がある。止まる姿勢は、アカボシタイランチョウ類より垂直に近く、陰に止まる傾向が強い。全種とも木の穴や郵便ポストに営巣する。巣箱や新聞受けにも営巣する。
オオヒタキモドキ GREAT CRESTED FLYCATCHER
落葉樹林や雑木林で普通。ロッキ−山脈の東やテキサスで見られるオオヒタキモドキは本種のみ。嘴が太く、頭が大きく、ヒタキ特有の習性で、ヒタキであることが分かる。東部のヒタキで、尾が錆色で長いのは本種のみ。類似するニシタイランチョウ(206ペ−ジ)は、稀だが9月から10月にかけて大西洋岸に決まってやってくる。ニシタイランチョウは、開けた所に止まり、尾は黒く、外側の羽が白い。鳴声は、上がり調子の耳ざわりなホィ−ッ (wheep)。毎分30〜45回。
シロハラオオヒタキモドキ BROWN-CRESTED FLYCATCHER
南西部の落葉樹林やサグアロスサボテンが生える砂漠にかなり普通。類似するハイノドオオヒタキモドキやオリ−ブオオヒタキモドキより大きく、下面が黄色っぽく、尾が長く色鮮やかである。南テキサスに渡るが、そこで棲息域が重なるオオヒタキモドキより咽と胸の色が格段に淡く、嘴が太く一様に黒いことで識別できる。鳴声は、うるさいケウ−ゥ (ke-woow)。
ハイノドオオヒタキモドキ ASH-THROATED FLYCATCHER
西部の落葉樹林やメスキ−トやサグアロスサボテンが生える場所に普通。オオヒタキモドキ類中で最も淡色。オオヒタキモドキやシロハラオオヒタキモドキより明らかに小さく、嘴は細い。白い咽は、格好の野外識別点。南ネバダや南西ニュ−メキシコより北にいるオオヒタキモドキは本種のみ。鳴声は、ピ−リァ(pee- reer) 。ニシタイランチョウ(206ペ−ジ)の音質の短く鋭い声もだす。
オリ−ブオオヒタキモドキ DUSKY-CAPPED FLYCATCHER
特に標高6000フィ−ト以下のオ−ク潅木の茂みでかなり普通。成鳥の尾の錆色は、もしあるとしても、ほんの少ししかない。ツキヒメハエトリ(210ペ−ジ)より僅かに大きい。シロハラオオヒタキモドキと間違えることはない。また、咽はハイノドオオヒタキモドキのように対照的ではない。このペ−ジの他の鳥とは異なり、停空飛翔をしながら葉の上の虫を摘み採ることが多い。他のオオヒタキモドキは殆ど例外なく飛んでいる虫を食べる。鳴声は、悲しげで長い笛のような声で、やや下がり調子。鳴声をまねれば、鳥寄せが可能なことが多い。
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●ツキヒメハエトリ類(PHOEBES) は、中型のヒタキで、他のヒタキとは異なり、長めの尾をゆうゆうと下に動かす習性がある。目の周りの輪はない。翼の目立つ縞は、成鳥にはないが、幼鳥にあることがある。ふつう、水辺ちかくで見ることが多いが、全種とも(特にチャイロツキヒメハエトリは)、水辺から遠く離れたところに現われ、営巣することさえある。やはり他のヒタキとは異なり、張りだした崖や土手の下、橋や軒の下、あるいは農場の建物の中に営巣する。人をまるで恐れず、ふつうは地上20フィ−ト以下の開けた場所に止まるのが簡単に見られる。卵は4〜5個で、ふつうは白く模様がない。
ツキヒメハエトリ EASTERN PHOEBE
農場の建物や橋の近くで普通。どの羽毛でも、暗色の頭、一様に黒い嘴、尾を上下に振る習性が、最高の識別点。成鳥は翼に縞がないが、幼鳥では黄褐色の縞が目立ち、モリタイランチョウ類(216ペ−ジ)と見間違う可能性がある。モリタイランチョウ類は、メジロハエトリ類(212ペ−ジ)と同様、翼の縞がいつもあらわれ、下嘴はふつう淡色。モリタイランチョウ類の頭は、背面と同じような色合だが、本種の頭は背面より黒く。笛のような声はださないが、フィ−ビ−(fee-be)やフィ−ブリ− (fee-blee) といった声をだす。毎分20〜40回。
クロツキヒメハエトリ BLACK PHOEBE
通常は6000フィ−ト以下の西部の農家の庭や小川沿いに普通。胸が黒いのも、胸と腹の色が鋭く変化するのも、北米のヒタキでは本種だけ。配色はユキヒメドリ(334ペ−ジ)を連想させるが、垂直の姿勢、尾を上下に振ること、およびハエを採る習性で識別される。群れはつくらず、日陰の場所に止まる。殆ど飛ぶ虫だけを食う。囀りは、細くてかんだかいティウィ−ティウィ−(ti-wee, ti-wee)。対をなす声は徐々に調子が下がって終わる。毎分20〜40対。
チャイロツキヒメハエトリ SAY'S PHOEBE
牧場の建物ちかくの平原や断崖や絶壁に普通。他のツキヒメハエトリより乾燥した陽なたを好む。正面からは、腹と下尾筒が錆色であること、後方からは、淡色の背面と黒い尾が対照的であることで識別される。頻繁に尾を上下に動かす。ベニタイランチョウ(204ペ−ジ)は、体色が殆ど同じだが、明らかに小さく、咽が白く、側面に細かい筋模様がある。囀りは、不明瞭なチュウィア
(chu-weer)(毎分30〜40回)と、ピッペティチィ− (pippety-chee) 。鳴声は、下がり調子の笛のような単声。
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●メジロハエトリ属(THE GENUS EMPIDONAX) は、尾が短い小型のヒタキで、目の周りに輪があり、翼に縞が2本ある。幼鳥の翼の縞は、成鳥より黄褐色がかっている。慣れてくれば、繁殖地で殆どの種が識別できる。このとき棲息域と囀りが手がかりになる。殆どの種は地鳴も独特である。殆どの種は尾を素早く上下にピクピク動かす。
キバラメジロハエトリ YELLOW-BELLIED FLYCATCHER
繁殖地のトウヒ林では普通だが、渡りの途中を見ることはめったにない。東部のメジロハエトリで咽が黄色いのは本種のみ。ミドリメジロハエトリは、特に幼鳥の時期に脇腹が黄色いが、咽は白。東部のメジロハエトリで笛のような声で囀るのは本種のみ。囀りは、上がり調子のパ−ウィ−(per-wee) で、ミズカキチドリ(114ペ−ジ)を連想させる。チビメジロハエトリが頻繁に繰り返すチェベッ(che-bek')に似た単声、チェバンッ(che-bunk)をゆうゆうと発することもある。
ミドリメジロハエトリ ACADIAN FLYCATCHER
湿った森林、特に氾濫原の落葉樹林に普通。ふつう、葉かげにいる。渡りの途中は、キバラメジロハエトリと同じ棲息域で見られるが、本種は咽が白いことで識別できる。チビメジロハエトリより大きく嘴が太く、また、メジロハエトリより上面が緑色っぽいが、鳴声で識別するほうが無難である。囀りは、破裂するようなピ−ッス− (peet suh) 。毎分2〜4回。
メジロハエトリ WILLOW FLYCATCHER
潅木が密生した斜面に普通。上記の2種や西部の種類(214ペ−ジ)より背面が茶色っぽい。チビメジロハエトリに比べて咽と胸の対照的で、大きい。目の周りの輪ははっきりしない。囀りは、フィッツビュー (fitz'bew) で、うなり声に笛のような声が付け加わる。毎分16〜28回。下記のキタメジロハエトリを参照。
キタメジロハエトリ ALDER FLYCATCHER
ハンノキの生える沼地に普通。体色はメジロハエトリと区別できない。繁殖地が重なるのもいる。囀りは、フィ−ビィォ(fee-bee'o) で、音質はメジロハエトリに似るが、3音節の2音節目にアクセントがある。毎分12〜24回。
チビメジロハエトリ LEAST FLYCATCHER
潅木林や森林周辺や農薬が散布されていない果樹園に普通。東部のメジロハエトリのなかで最小。キタメジロハエトリやメジロハエトリに比べ、咽と胸が対照的でない。背面は緑色っぽくない。囀りで識別される。囀りは、耳ざわりなチェベッ (che-bek') を繰り返す。毎分50〜70回。
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ハモンドメジロハエトリ HAMMOND'S FLYCATCHER
モミ、トウヒ、あるいはマツが生える所に普通。標高11000フィ−トまでの所に営巣する。切れ目ない針葉樹林を好む。翼や尾をひっきりなしに動かす。姿と声では、ネズミメジロハエトリと識別できないことが多い。オリ−ブ色っぽい茶色の背面、灰色の胸、および淡黄色の腹に注目。囀りは、非常に低く、セパッ(seput) 、プズルゥ(pzrrrt)、トゥリィッ(treeip)、と3つの部分からなることが多い。鳴声は、鋭いピッ (pic)。
ネズミメジロハエトリ DUSKY FLYCATCHER
ワシントン州の標高2000フィ−ト以下の潅木が密生する斜面に普通。ニュ−メキシコでは、標高7000〜9000フィ−トのところにいる。類似するハモンドメジロハエトリに比較すると、胸と腹が対照的でなく、尾がほんの少し長く、背面が灰色っぽく、下面が黄色っぽくない。翼や尾を動かすことは殆どない。低音の囀りは、チィピッ、チャゥイィ、チィピッ、プスィ−ッ (cheepit,
chuwee, cheepit, pseet) で、特に順序だっているわけではない。鳴声は、柔らかいホィッ (whit) 。
ハイイロメジロハエトリ GRAY FLYCATCHER
グレ−トベイスン(ネバダ砂漠)のヤマヨモギ潅木密生地やビャクシンが生える所にかなり普通。ハモンドメジロハエトリより少し大きく、頭頂や背面や下面がハモンドメジロハエトリやネズミメジロハエトリより確かに灰色味が強い。下嘴の基部に近いほうの2/3は、ピンク色。下面に黄色い部分は、殆どあるいは全く無い。西部のメジロハエトリ属のなかで、尾を上下に振るとき先ず下方に向かって動かすのは本種だけ。典型的な囀りは、低く速く元気のよいチャァウィ−ウゥ (churweeoo)、および高くはっきりしないチ−ィッ (cheeip) 、の2つの部分からなる。
キノドメジロハエトリ WESTERN FLYCATCHER
落葉樹や針葉樹の湿った森林、あるいは背の高い雑木が生える斜面に普通。目立たない所に止まる。西部のメジロハエトリ属のなかで、咽が黄色いのは本種だけ。ハモンドメジロハエトリやネズミメジロハエトリやメジロハエトリやキタメジロハエトリ(213、215ペ−ジ)より下面が格段に黄色い。囀りは、非常に高いプチィッ、イ−、プチ−ウィ− (pchip, ee, pcheewee)。鳴声は、ホィ−スィ− (whee-see) 。
ウスチャイロメジロハエトリ BUFF-BREASTED FLYCATCHER
背の高いマツや背の低いオ−クが散在し、その下に潅木が茂るような、標高5000〜8500フィ−トの峡谷の急斜面に局地的に棲息するが、稀。小型で、胸と脇腹と腹が黄褐色であることで識別されることがある。
メグロハエトリ NORTHERN BEARDLESS-TYRANNULET
低い落葉樹が密生する標高0〜4000フィ−トのところに棲息するが、稀。翼の黄褐色縞と、目の周りにはっきりした輪がないことで、キクイタダキ類(252ペ−ジ)と識別される。葉を集める。習性と鳴声はアメリカツリスガラ(232ペ−ジ)に似る。嘴がとても小さく、咽と胸が黒ずんでいることで、メジロハエトリ属の鳥と識別される。鳴声は、下がり調子の高く鋭いピァピァピァ(pier pier pier)。