228
●カラ類(CHICKADEES)(シジュウカラ科の一部)は、嘴が黒く、暗色帽子の曲芸師で、人を恐れない。3種以上が同時に現われるのは、北西部の山地だけである。雌雄は類似で、幼鳥は成鳥に似る。木の穴や巣箱に営巣し、殆どは簡単に餌台にやってくる。卵は5〜8個。
アメリカコガラ BLACK-CAPPED CHICKADEE
黒帽子の普通種。冬場は、カロライナコガラの棲息域に侵入することがあるが、本種は翼の羽の縁が白いこと、頬の白さと側面の錆色が強いことで、識別される。カロライナコガラより人を恐れない。笛のような囀りは、簡単に模倣される。2番めの声は1音程低い。毎分16〜23回。
カロライナコガラ CAROLINA CHICKADEE
かなり普通。アメリカコガラより小さく、側面は淡色。翼の羽の縁の幅狭い部分が灰色で、よだれかけはこじんまりとしていて、尾は短めである。渡りはしない。鳴声はアメリカコガラより速く、笛のような囀りは1オクタ−ブ高い4〜5声。毎分8〜12回。
マミジロコガラ MOUNTAIN CHICKADEE
針葉樹林に普通。カラ類で眉線が白いのは、本種のみ。ただし、夏の終わりの換羽期には消える。シロガオエボシガラ(230ペ−ジ)参照。山地に営巣し、冬場は渓谷をさまよう。鳴声はしわがれ声で、囀りはアメリカコガラと殆ど同じ。毎分8〜10回。
メキシココガラ MEXICAN CHICKADEE
咽の黒い部分が大きく、側面が灰色であることに注目。南アリゾナとニュ−メキシコの限定された地域だけに見られ、そこではカラは本種のみ。鳴声は、低く、きしむような声。
カナダコガラ BOREAL CHICKADEE
北方針葉樹林で、かなり普通。頭部・背面・側面が茶色いカラは、本種のみ。笛のような囀りではない。チッカディ−(chick-a-dee) という鳴声は、ゆっくりとしたしわがれ声。
クリイロコガラ CHESTNUT-BACKED CHICKADEE
太平洋岸の低地で普通。山地では局地的。針葉樹林を好む。鮮やかな栗色の背面と側面、および黒っぽい頭に注目。笛のような囀りではない。鳴声は、速いしわがれ声。
シベリアコガラ SIBERIAN TIT
カナダコガラより大きく淡色。側面は茶色くない。アラスカや西カナダのツンドラの端にあるトウヒ、アスペン、あるいはヤナギの林で見られる。鳴声はカナダコガラに似る。
230
●エボシガラ類 (TITMICE)(シジュウカラ科の一部)は、冠羽がある。しぐさはカラ類に似るが、大きい。シロガオエボシガラだけによだれかけがある。これと比べ他のエボシガラは、よく目立つ冠羽が大きく、概して長い。雌雄は類似。営巣期以外は、カラ類、ムシクイ類、あるいはキクイタダキ類と、しばしば混群をつくる。渡りはしない。自然の木穴に巣を作るが、巣箱を利用することもある。卵は5〜8個。
エボシガラ TUFTED TITMOUSE
北米産のエボシガラ中、最大。南東の落葉樹林域の特に小川の周辺で普通。ふつう一緒にいるカラ類に比べ、体が大きく、冠羽があり、黒いよだれかけがない。ふつう3〜8羽の群れで見られる。テキサスの東に現われるエボシガラは本種だけである。林近くの餌台にやってくる。笛のような囀りは、2声(あるいは、1声がもう1声につながることもある)が2〜4回、繰り返される。毎分14〜22回。他の鳴声はカラ類に似るが、特有である。かつては別種と思われていた黒い冠羽の亜種は、簡単に識別される。本亜種は、テキサスや北東メキシコの落葉樹林、オ−クの潅木林、あるいは日よけ用の木々に普通。黒い冠羽の成鳥は間違えようがない。幼鳥は、ふつうのエボシガラに比べて額が灰色というより白であり、ハイエボシガラとは異なり脇腹がうっすら錆色であることで、識別される。本亜種の囀りや鳴声は、他のエボシガラに類似する。
ハイエボシガラ PLAIN TITMOUSE
灰色で模様がない。西部で普通。棲息域が重なるエボシガラは、シロガオエボシガラのみ。咽が白いことで全てのカラ類と識別される。オ−クやビャクシンマツの林を好む。笛のような2声を繰り返して囀り、第1声が強く、エボシガラに似た感じである。他のエボシガラと異なり、エボシガラ類よりカラ類に似たチッカディ−ディ−(chick-a-dee-dee) という鳴声も発する。
シロガオエボシガラ BRIDLED TITMOUSE
独特な模様。南西部の高度5000〜7000フィ−ト(ときには8500フィ−ト)の山地のオ−クやマツの潅木林で普通。棲息域が重なるマミジロコガラ(228ペ−ジ)とのみ混同する可能性があるが、マミジロコガラには冠羽がない。幼鳥でも顔模様があらわれるので、他のエボシガラやカラ類と識別される。
232
●ツリスガラ類 (VERDINS)(ツリスガラ科)とヤブガラ類(BUSHTITS)(エナガ科)は、小さく、ほっそりとして、尾が長い。習性は、カラ類に似る。
アメリカツリスガラ VERDIN
メスキ−トや他の砂漠の潅木林に普通。頭と咽が黄色、体が灰色、また、肩が栗色であることに注目。8月終りまで、若鳥はヤブガラの若鳥に似るが、短い尾と、細くてかんだかい笛のような声で、識別される。
ヤブガラ BUSHTIT
潅木林、開けた森林、あるいは郊外で、大きな群れをつくり多数棲息する。体色に特徴がないこと、翼に縞がないこと、尾が長く嘴が短いことで、識別される。細くてかんだかい争うような鳴声。ロッキ−山脈の亜種は、灰色の帽子と茶色い目先。黒耳型は、南部ニュ−メキシコや西部テキサスの5000フィ−ト以上の山地で見られ、雄は顔が黒い。雌と幼鳥は、ふつうのヤブガラに比べて咽が白く、脇腹が暗色で、顔が灰色いことで、識別される。
●ミソサザイモドキ類(WRENTITS)(ヒタキ科の一部)は、小さく、ミソサザイに似る。渡りはしない。飛翔は弱々しく、草木の間を飛び跳ねるのを好む。
ミソサザイモドキ WRENTIT
密集した茂みに普通だが、ふつう目に触れることはない。ミソサザイに比べて尾が長く、目が淡黄色で、嘴が短いことで、識別される。囀りは、澄んで抑揚がない大声。雄では、震え声で終わる。
●コウラウン類 (BULBULS)(ヒヨドリ科)は、旧世界の鳥で、襟首に髪の毛のような羽の部分がある。2〜5個の卵を生む。
コウラウン RED-WHISKERED BULBUL
地域によっては普通。1960年8月、フロリダ州南マイアミ(ケンド−ル)に放鳥された。冠羽が黒く、耳あてと下尾筒が赤いことで識別される。雌雄は類似。
●カワガラス類 (DIPPERS)(カワガラス科)は、脚が強く、特別な脂分泌せんがあり、水中で棲息することに唯一、適応している。群れをつくらない。流水ちかくに苔を使って大きな巣を作る。3〜6個の卵を生む。
メキシコカワガラス AMERICAN DIPPER
山地の大きな急流にかなり普通。黒っぽい体色、ピンと立てた短い尾、および白い目蓋で識別される。頭を上下に動かす。水中を歩く。飛翔は低く、直線的。囀りは、節があって長く、震え声や繰り返しを入れる。
234
●ゴジュウカラ類(NUTHATCHES)(ゴジュウカラ科)は、頭が大きく、尾と脚が短い。木をよじのぼり、木の幹や大枝の樹皮から虫を集める。動かないときも、木を登るときも、動き回るときも、頭を下にして幹を下るときも、同じように曲芸師のようである。カラ類やエボシガラ類と、しばしば混群をつくる。翼は尾の先までとどく。雌雄は僅かに異なる。渡りをするものは、昼間にする。飛翔時は断続的に羽撃く。穴に4〜9個の卵を生む。
ムナジロゴジュウカラ WHITE-BREASTED NUTHATCH
落葉樹林に普通。体色は、咽の白以外、カラ類に似るが、体形と動作は異なる。白い顔と、雄の一様に黒い帽子(雌は灰色)に注目。鳴声は、低いヤンッヤンッ(yank-yank) 。囀りは、低く速い5〜15声。毎分6〜15回。
ムネアカゴジュウカラ RED-BREASTED NUTHATCH
針葉樹林域に広く棲息する普通種。目を通る黒い縞とその上の白い縞があるのは、北米産ゴジュウカラでは本種のみ。渡りは不定期的で、隔年であることがしばしばである。鳴声は、鼻にかかっていて、ムナジロゴジュウカラほど大きくない。
チャガシラヒメゴジュウカラ BROWN-HEADED NUTHATCH
カラ類やムシクイ類と大群をつくって現われる。体は小さく、頭は茶色い。東部だけに棲息する。南部マツの外側の枝や球果に沿って餌を採る。鳴声は柔らかいチッチ声で、東部の他のゴジュウカラとは異なる。
ヒメゴジュウカラ PYGMY NUTHATCH
チャガシラヒメゴジュウカラに対応する西部種で、体色も習性も類似する。本種の方が、頭が灰色。高度3500〜10000フィ−トで、マツ(とりわけイエロ−パイン)を好む。冬は高地を離れる。鳴声はチャガシラヒメゴジュウカラに似る。
●キバシリ類(CREEPERS)(キバシリ科)は、小さく、脚が短く、背面が茶色い。木の幹を旋回しながらはいあがり、虫を探す。嘴は曲がっている。群れをつくらない。ゆるんだ樹皮の後ろに楕円形の巣を作り、6〜7個の卵を生む。
アメリカキバシリ BROWN CREEPER
普通だが、小さくて目立たない森林の鳥。幹をよじのぼったり動き回るときに、長い尾羽の先の堅い部分を支えに利用する。繁殖地以外では殆ど聞くことがない囀りは、高く、弱々しい。毎分6〜12回。鳴声は、非常に高い一声。
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●ミソサザイ類 (WRENS)(ミソサザイ科)は、活動的で、小さい。体は、茶色っぽく、細かい縞があり、細くて丸い尾をふつうはピンと上に立てている。雌と幼鳥は、雄に類似。長くほっそりとした嘴で主に虫を食う。ふつう地上12インチ以内の穴、もしくは球状の巣に、4〜9個の卵を産む。囀りは大きく、がみがみいうようなそっけないガラガラ声も発する。
イエミソサザイ HOUSE WREN
潅木の茂みや薮に普通。模様はミソサザイのなかで最も薄い。東部では最も普通。背面に筋模様がないことで、ハシナガヌマミソサザイやコバシヌマミソサザイ(238ペ−ジ)と識別される。また、眉線が目立たないこと、腹が暗色でないことで、他のミソサザイと識別される。攻撃的で、他の鳥を巣箱から追い出す。自然の穴にも営巣する。茶色い咽の亜種は、南東アリゾナ山地の高度7000〜8000フィ−トに棲息するが、普通でない。眉線・咽・胸が黄褐色であることに注目。囀りは、大きく、ぶくぶく泡立つような声。
ミソサザイ WINTER WREN
低木密生地や、湿気の多い森林の下草が密集したところに棲息するが、普通でない。尾がとても短いこと、頭を上下に動かすこと、腹に焦茶色の縞があることで、イエミソサザイと識別される。本種に比べイエミソサザイは大きく、繁殖地や渡りの時期が重なることが殆どない。眉線が目立たないことに注目。囀りは、非常に高く澄んだ声と震え声が、すばやく連続する。少なくとも、5秒は続き、毎分4〜6回、繰り返される。ティッティッ(tick-tick) という低く、重なった鳴声は、特徴的である。ソノグラムは14ペ−ジ。
シロハラミソサザイ BEWICK'S WREN
西部に広く分布する普通種だったが、数が減り、稀になり、アパラチア山脈に局地化しつつある。農家の裏庭、低木密生地、生け垣周辺で見られる。眉線、白い下面、および筋模様がない茶色の背面で、他のミソサザイ類と識別される。白い縁取りの長い尾を横にぐいっとねじる特徴にも注目。イエミソサザイに比べて、囀りは、細くてかんだかい。2〜5声のあと震え声が続く。毎分6〜12回。
チャバラマユミソサザイ CAROLINA WREN
厳しい冬のあと以外は、南東の下草が密集したところに普通。東部で最大のミソサザイで、白い眉線が幅広いこと、背面が赤褐色であること、下面が明るい黄褐色であることで、識別される。湿気の多いところを好む。囀りは、とてもやかましい3声から成り、4〜6回、繰り返される。毎分8〜13回。
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サボテンミソサザイ CACTUS WREN
砂漠に棲息する巨大な普通種。白くて幅広い眉線、斑点が密集した胸によって識別される。縞模様で先端が白い尾は、ふつう上にピンと立てない。地上低く飛ぶ。ウタイマネシツグミ(240ペ−ジ)は本種に類似するが、背面に白がない。ふつう高度4000フィ−ト以下の、刺のある潅木やサボテンが生えるところで見られる。本種の囀りは砂漠で最も馴染み深い音の一つ。囀りは、低音で抑揚がない非音楽的な声。
イワミソサザイ ROCK WREN
岩の多い不毛地帯で、かなり普通。中央以外の全ての尾羽の先端が明黄褐色で、これがはっきりしない尾の黒帯と対照的なことが最高の識別点。黄褐色の腰も灰色の背面と対照的である。胸がうっすら筋模様なのは、比較的類似するシロハラミソサザイ(236ペ−ジ)を含めてミソサザイ類のなかで、本種だけである。歩くとき頭を上下に動かす。囀りは、とても変化に富む震え声。毎分8〜20回。
ムナジロミソサザイ CANYON WREN
峡谷域でかなり普通。咽と胸の混じり気のない白が、腹の栗茶色と対照的であり、これによって、遠くからでも峡谷の断崖に棲息する他種と識別できる。大きさが類似するミソサザイは、灰色っぽく、また、腹がずっと淡色。囀りは、大きく澄んだ笛のような声で、音がだんだん下がってゆき、終わりのところで遅くなる。
ハシナガヌマミソサザイ MARSH WREN
限られた棲息域の中で多数。本種とコバシヌマミソサザイは、背面に筋模様があることで、他の小型ミソサザイと、直ちに識別される。本種は、一様に錆色の帽子で、目の上にくっきりと白い線がある。ガマ、イグサ、スゲ、あるいは湿地の背の高い草から遠く離れるとめったに見られない。囀りは、音程が異なる1〜3声の音楽的なガラガラ声で、しばしば前奏にヨタカのようなうなり声をかすかに伴う。毎分10〜16回。
コバシヌマミソサザイ SEDGE WREN
数が少ない。スゲ草原に局地的に棲息する。用心深い。頭頂と背面の筋模様、下面の黄褐色、嘴が短くほっそりしていること、尾をピンと立てること、および目の上に不明瞭な黄褐色の縞があることで、識別される。渡りの間、乾草の平原で囀ることさえある。渡りは不規則で、8月になってやっと営巣地にやってくることもある。囀りは、柔らかく、殆ど虫のようである。約3つのチッチ声の前奏のあと、非音楽的な震え声が続く。毎分5〜15回。