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●マネシツグミ類とツグミモドキ類(MOCKINGBIRDS AND THRASHERS)(マネシツグミ科)は、尾が長く、翼が短く、嘴が細い。目立つところに止まり大声で囀る。マネシツグミ類はものまねがとてもうまいことで知られている。ツグミモドキ類はマネシツグミ類ほどフレ−ズを繰り返さず、ものまねをすることも少ない。全種とも、潅木密生地、森林の周辺、あるいは住宅地を好む。卵は3〜6個。
マネシツグミ NORTHERN MOCKINGBIRD
合衆国南部に広く分布する普通種で、良く目立つ。遠くからだと飛翔中が最も識別しやすい。翼の白い部分がはっきりあらわれ、羽撃は数えられるほどゆっくりしている(モズ類(260ペ−ジ)参照)。止まっているときは、細い嘴と、翼と尾の白で、間違えなく識別できる。尾を左右に素早く動かす。ものまねがとてもうまい。殆どの歌のフレ−ズを何回も繰り返す。止まっているときも飛んでいるときも囀る。他のモノマネドリより夜に鳴くことが多い。
ネコマネドリ GRAY CATBIRD
植物が密生しているところのちかくに普通。下尾筒が錆色で、体が暗灰色で模様がないのは本種だけ。はっきりした黒い帽子に注目。長い尾をしばしば素早く動かす。名前の由来はネコのような鳴声。囀りは、きしむような声で、繰り返しは、殆どか全くない。ものまねはうまくない。
チャイロツグミモドキ BROWN THRASHER
普通。テキサス中央部やロッキ−山脈の東にいる唯一のツグミモドキ。下面は筋模様が密集し、上面は鮮やかな赤茶色。最も混同しやすいモリツグミ(248ペ−ジ)は、本種より尾が長く、目が暗色。囀りの各フレ−ズの繰り返しは、2回(ネコマネドリは繰り返さず、マネシツグミは何回も繰り返す)。毎分25〜42回。
ハシナガツグミモドキ LONG-BILLED THRASHER
南テキサスの留鳥で普通。この限定された棲息域にはチャイロツグミモドキもいるが、本種は頭と背面に赤茶色がないことで見分けられる。嘴はチャイロツグミモドキより黒っぽく長い。囀りは、チャイロツグミモドキよりネコマネドリに似る。
ウタイマネシツグミ SAGE THRASHER
ヤマヨモギの薮に棲息する普通種。尾が短い。嘴が短く、目が黄色く、尾の角が白いことに注目。本種が出現する湿気のない郊外に営巣する筋模様のツグミ類は他にいない。しかし、冬は他のツグミモドキとの比較が必要。目立つ所に止まっているとき、あるいは飛びながら、囀る。囀りは、チャイロツグミモドキに似るが、もっと音楽的で、フレ−ズの間に小休止はない。
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●筋模様のないツグミモドキ類 (UNSTREAKED THRASHERS) は、南西部に棲息する。胸には比較的模様がなく、姿、形も、囀りも、互いに類似するので、特にアリゾナでは、識別するときは細心の注意が必要。アリゾナの砂漠地帯の水溜まりには、3〜4種が一緒に現われることがある。主に地上で餌を採り、メスキ−トやサボテンのところに営巣する。スナイロツグミモドキだけが渡り鳥。
スナイロツグミモドキ BENDIRE'S THRASHER
小型、最高の野外識別点は、殆どまっすぐな短い嘴。胸の目立たない筋模様とレモン色の目にも注目。サボテンに営巣することが多い。囀りは、他の殆どのツグミモドキより変化に富む。各フレ−ズは区別できない。
マルハシツグミモドキ CURVE-BILLED THRASHER
砂漠に散在する潅木に普通。成鳥の目が赤または赤っぽいオレンジ色で、尾が背面より黒っぽいことで、スナイロツグミモドキと識別される。若鳥は、目が黄色く嘴が成鳥よりまっすぐに近いので、スナイロツグミモドキに酷似する。同じ棲息域の他のツグミモドキには胸に模様がない。他のツグミモドキと比べて、囀りは変化に乏しい。各フレ−ズは区別できない。鳴声は、笛のようなホィットゥホィ−ッ (whit-wheet) という大声で、独特。
オオムジツグミモドキ CALIFORNIA THRASHER
茂みや潅木密生地に普通。眉線、焦茶色の体、および淡錆色の下面に注目。本種の合衆国での全棲息域は、サボテンムジツグミモドキとアカハラツグミモドキの棲息域だけが重なる。本種は、他のツグミモドキに比べて、飛ばずに歩くことが多い。地上で餌を採るとき、本種と下記の2種は、上記の2種に比べて、尾をピンと立てることが多い。土を掘るときは、脚でひっかかずに曲がった嘴を使う。囀りは多種多様なフレ−ズから成り、その多くを繰り返す。ものまねもうまい。ソノグラムは下記。
サボテンムジツグミモドキ LE CONTE'S THRASHER
サボテンが生える非常に開けた砂漠や海辺の薮に普通。嘴が暗色で、過眼線が黒く、暗色の尾が淡灰色の体と対照的であることで、暗色味が強いオオムジツグミモドキやアカハラツグミモドキと識別される。囀りは不規則的で、各フレ−ズを他のツグミモドキほど多く繰り返さない。
アカハラツグミモドキ CRISSAL THRASHER
肥沃な渓谷や植物が密生する峡谷に棲息する。下尾筒が錆色のツグミモドキは、本種とオオムジツグミモドキだけだが、オオムジツグミモドキには黄褐色の眉線がある。殆ど飛ばない。鳴声は、ピッチュ−リッ (pitchoorip) 。
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●ツグミ類、ハエトリツグミ類、およびルリツグミ類 (THRUSHES, SOLITAIRES, AND BLUEBIRDS)(ヒタキ科ツグミ亜科)は、囀りが美しい広範囲のグル−プ。若鳥は全て胸に斑点がある。ルリツグミ類とハエトリツグミ類以外は、全て地上で立ったり走ったりしているところを見ることが多い。一般的には、ツグミ類は夜に渡り、コマツグミ類とルリツグミ類は群れをつくって昼に渡る。ルリツグミ類は、木の穴や巣箱に営巣する。他のツグミ類は木や潅木のまたのところに巣を作る。卵は3〜6個で、ふつう、青緑色か、模様がないか、斑点がうっすらある。
コマツグミ AMERICAN ROBIN
良く知られた普通種。芝生の上で虫やミミズを探しているところを見ることが多い。寒いときは、湿気のある森林や実のなる木々を好む。成鳥は胸がオレンジ色(雌は頭が雄より淡色)。若鳥の胸には斑点がある。果樹園の木々、潅木、あるいは建物に、草と泥をつかって巣を作る。囀りは、6〜10フレ−ズから構成される一連のもので、各フレ−ズは、笛のような3〜4声からなる。毎分5〜20回。
ノハラツグミ FIELDFARE
アラスカからデラウェアにかけて、ユ−ラシアから偶然やってくることがある。背面と翼が栗色で、頭と襟首と腰が灰色。胸はくすんだ赤茶色で筋模様が密集している。翼の裏あては白い。鳴声は、鼻にかかった大声で、シャ−ッシャ−ッ(shahk, shahk)。
ワキアカツグミ REDWING
グリ−ンランドとニュ−ヨ−クに、北方ユ−ラシアから偶然やってくることがある。落葉樹林、庭、あるいは野原で見られる。白い眉線が目立ち、下面に筋模様があり、脇腹に赤味があり、翼の裏あてが栗色であることに注目。鳴声は、高いズィ−アップ (zee-up) 。
メキシココマツグミ RUFOUS-BACKED ROBIN
南アリゾナや南テキサスの実のなる落葉樹に偶然やってくることがある。配色は上面がノハラツグミに、下面がコマツグミに似る。眉線はない。若鳥は下面に大きな黒斑点がある。鳴声は、メウ− (meoo) 。
バフムジツグミ CLAY-COLORED ROBIN
南テキサスの森林やその周辺に、季節を問わず、偶然現われることがある。胸と腹は黄褐色で、全体的くすんでいて模様がない。鳴声は、ホィ−ウ−ウィ−ッ(whee-oo-weet)、および、低音のプッパッパッ (pup-up-up)。
クロウタドリ EURASIAN BLACKBIRD
グリ−ンランドやケベックに偶然やってくることがある。北米のコマツグミに相当するヨ−ロッパの普通種。一様な暗色(雄は黒色、雌は茶色)、黄色い嘴、およびコマツグミのような習性と鳴声で、識別される。
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マミチャジナイ EYE-BROWED THRUSH
春、アリュ−シャン列島の北部と西部に稀に渡ってくる。アラスカの西部と北部の他の地域には偶然現われることがある。白い眉線、オリ−ブ色っぽい淡茶色の模様がない体に注目。雄の白い咽は、灰色の頭巾と対照的。鳴声は、耳ざわりなスィィ− (seee) 。
ツグミ DUSKY THRUSH
春、アラスカの西部や北部に偶然やってくることがある。白い眉線が目立ち、雄の胸や脇腹や背面に黒い斑点が密集していることが、識別点。胸の黒い斑点は密集して1、2本の帯を形成することが多く、これが白い咽と対照的である。襟の半分が白く、また、腰と翼両面に錆色の部分があることに注目。鳴声は、ノハラツグミ(244ペ−ジ)に似る。
ムナオビツグミ VARIED THRUSH
北西部の湿気のある針葉樹林に普通。唯一類似するコマツグミ(244ペ−ジ)は、姿、形も、習性も類似する。翼の縞と眉線がオレンジ色で、胸帯が黒(雄)または灰色(雌)であることに注目。音程が変化する音楽的な長い声の連続で、コマツグミとは異なる。各々の声は真ん中が一番大きい。鳴声は、下がり調子の笛のようなうなり声。
ハエトリツグミ TOWNSEND'S SOLITAIRE
夏は針葉樹林に、冬は森林や潅木密生地に棲息するが、普通でない。マネシツグミ(240ペ−ジ)を垂直にして嘴を短くしたような感じだが、目の周りに白い輪があり、尾がV字形で、胸が暗灰色。典型的なツグミとは異なり、開けたところに目立つように止まり、ヒタキのようにして餌を採る。また、地上に巣を作る。遠くからだとコマツグミのように見える。囀りは、大声を震わせて長く歌う。鳴声は、甲高い単声。
ノゴマ SIBERIAN RUBYTHROAT
春と秋、アリュ−シャン列島の西部に稀に渡ってくる。雄は間違えようがない。雌はオガワコマドリに似るが、尾に模様がなく、首飾りがない。囀りは、ネコマネドリを連想させる。
オガワコマドリ BLUETHROAT
アラスカの北西部や北部の高地や山麓の丘で稀に繁殖する。アジアで越冬する。雄の咽は独特。雌は、尾の基部に鮮やかな錆色の部分があり、眉線が白く、首飾りが黒いことに注目。しばしば尾を急に動かしたり広げたりする。囀りは、高くやさしい声を震わせて歌い、ミソサザイ(236ペ−ジ)を連想させる。
ハシグロビタキ NORTHERN WHEATEAR
北アラスカからグリ−ンランドにかけて普通。他のところでは稀。殆どはアフリカで越冬する。長い翼、短い尾、細い嘴、白い腰、黒い顔面、尾の派手な模様、および垂直な止まる姿勢に注目。
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●胸に斑点があるツグミ類(SPOTTED-BREASTED THRUSHES) は、ふつう、コマツグミより少し小さい。目が暗色で、尾が短か目で、胸に斑点があることで、ツグミモドキ類と識別される。森林の下草のあたりを好み、虫やベリ−を食う。全種とも囀りが美しい。
モリツグミ WOOD THRUSH
東部の落葉樹林や郊外に営巣する普通種。チャイロツグミモドキ(240ペ−ジ)とは、胸の斑点が丸いこと、目が暗色であること、尾が短いことで、また、他のツグミ類とは、胸の斑点が大きいこと、頭が錆色であることで、それぞれ識別される。囀りは、大きく、フル−トのようなフレ−ズの連続。各々のフレ−ズの後には、しわがれた柔らかい震え声が続く。毎分11〜19回。
チャイロコツグミ HERMIT THRUSH
北方の森林地帯に広く分布する普通種。一分間に数回ゆっくりと尾を上げる習性があるツグミは、北米で本種のみ。錆色の尾がオリ−ブ色っぽい茶色の背面と対照的であることに注目。胸全体に斑点があるツグミで冬場に合衆国で見られるのは、殆ど全てが本種である。囀り(繁殖地以外ではめったに聞けない)は、高いフル−トのような単声の後に、上がって下がる声が素早く連続する。このパタ−ンが音程を変えて繰り返される。毎分9〜16回。
オリ−ブチャツグミ SWAINSON'S THRUSH
普通種。最高の識別点は、黄褐色の顔と目の周りの輪。このペ−ジの他のツグミと詳細に比較するとよい。ハイイロチャツグミ同様、常緑樹の森林で繁殖する。囀りは、速いフル−トのような声を転がるように連続させ、音階がだんだん上がってゆく。毎分8〜14回。
ハイイロチャツグミ GRAY-CHEEKED THRUSH
かなり普通。オリ−ブチャツグミとは、顔が灰色で目の周りに目立つ輪がないこと、ビリ−チャツグミとは、背面の色で、チャイロコツグミとは、尾が背面と同じオリ−ブ色であることで、それぞれ識別される。囀りは、ビリ−チャツグミに似るが、それより柔らかく鼻にかかっている。最後に音が上がる。
ビリ−チャツグミ VEERY
普通。典型的な体色は、上面が錆色。モリツグミやチャイロコツグミと類似する。他のツグミ類に比べて、胸の斑点が目立たず、その範囲が小さい。落葉樹林で夏を過ごす。他のツグミ類より湿った所を好む。地面の上か、そのすぐ近くに営巣する。大きな囀りは、速いフル−トのような声を転がるように連続させ、音階がだんだん下がってゆく。毎分8〜14回。
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●ルリツグミ類(BLUEBIRDS) は、果樹園、農家の庭、道端、あるいは開けた森林地で見られる。家族集団あるいは群れでいることが多い。止まるとき背を丸めることに注目。このとき嘴を少し下に向けることが多い。目立つところに止まり、そこから虫を求めて地上に降りる。翼で虫を捕まえることもある。秋や冬にはベリ−も食う。巣は、自然の木の穴、あるいは巣箱。飛びながら頻繁に鳴く。
ルリツグミ EASTERN BLUEBIRD
グレ−トプレ−ンズの東で唯一のルリツグミ。道端、農家の庭、あるいは使わなくなった果樹園に、かなり普通。雄は、背面全体が鮮やかな青で、咽と胸が錆色。本種より格段に大きいアオカケス(222ペ−ジ)は、冠羽がいつもあり、胸には錆色がない。ルリノジコ(312ペ−ジ)とルリイカル(310ペ−ジ)は下面全体が青く、ムネアカルリノジコ(312ペ−ジ)には翼に縞がある。雌と若鳥は、止まるとき背を丸めること、目の周りに輪があり翼と尾に青い部分があることで識別される。幼鳥は、典型的なツグミのような斑点があり、チャカタルリツグミやムジルリツグミの幼鳥に類似する。囀りや鳴声は、抑揚のある笛のような声。毎分30〜40回。
チャカタルリツグミ WESTERN BLUEBIRD
かなり普通。雄の成鳥は、ルリツグミとのみ混同する可能性がある。本種の特徴は、青い咽と背面上部の錆色。雌と若鳥は、ルリツグミと比較して、上面の茶色味と咽の灰色味が強い。他のルリツグミ同様、昼に渡り、営巣期以外はふつう小さな群れで見られる。ふつうの囀りは、笛のような2〜3声。鳴声は、単純な一声で典型的。夜明けに、さらに変化に富んだ声で囀る。
ムジルリツグミ MOUNTAIN BLUEBIRD
かなり普通。雄の空色の体色が識別点。雌雄ともに胸は錆色でない。雌は、胸が灰色であることで識別される。雌雄ともに上記の2種ほどは、止まるとき背を丸めない。若鳥は、他のルリツグミと比べて、止まる姿勢が異なること、翼と尾が淡青色であることで識別される。さらに本種は、虫を狩るために地上の低い所で停空飛翔することが、他のルリツグミより多い。英名が示すように高地で夏を過ごすのがふつうであり、標高5000フィ−トに最も多く、夏の終わりには標高12000フィ−トの所にまでさまよっていく。冬は海水面と同じ高さの低地まで移動する。夜明け以外は声をださない。囀りは、柔らかい笛のような声。