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●旧世界のスズメ(OLD WORLD SPARROWS)(ハタオリドリ科)は、大きな科であるが、北米では輸入された2種に代表されるのみ。両種とも、類似する北米産のヒメドリ類に比べ、脚が短く嘴が太い。渡りはしない。巣箱か建物の上に巣をつくるか、あるいは木にかさばった巣を草で編んで作る。4〜7個の卵を産む。
イエスズメ HOUSE SPARROW
農場、都市、および郊外に多数棲息する。雄は、よだれかけと嘴が黒く、頬が白いことで識別される。雌は、他のヒメドリ類や雌のホオジロ類としばしば見間違う。胸がくすんだ色で筋模様がないこと、過眼線が黄褐色で太いこと、背面に筋模様があることが最高の野外識別点。しばしば群れで見られる。囀りは、長い一連の音楽的なチュンチュン声で、抑揚がない。毎分30〜120回。
スズメ EURASIAN TREE SPARROW
ミズ−リ州、セントルイス周辺とイリノイ州近くで局地的に普通。どの羽毛でも、頭頂の鮮やかな栗色、および耳と咽の部分の黒で識別される。鳴声はイエスズメに似る。
●ムクドリモドキ類(BLACKBIRDS AND ORIOLES)(ホオジロ科ムクドリモドキ亜科)は、中型から大型で、嘴が太い。体色は主としてつやのある黒、あるいは黄色かオレンジ色の部分がある黒。地上を歩く種もいれば、樹上生活の種もいる。上嘴の上の部分が額の羽のところまで延びている。卵は3〜6個。
ボボリンク BOBOLINK
地域によっては乾草原に普通。秋の渡りのとき湿地ちかくで大群が見られる。春の雄は、下面が暗色で上面が明色。この配色は北米の陸鳥では唯一。雌と秋の雄は大型のヒメドリ類に類似するが、胸と頭央線が黄褐色で、尾羽は幅が狭く尖っている。囀りは沸きでるような大声で長い。毎分5〜15回。
ヒガシマキバドリ EASTERN MEADOWLARK
野原や柵の上に普通。成鳥も幼鳥も黄色い胸に黒いV字があり、外側の尾羽が白い。群れをつくる。飛翔時は羽撃と滑空を交互に繰り返す。囀りは澄んだ笛のような不明瞭な声。毎分5〜11回。
ニシマキバドリ WESTERN MEADOWLARK
普通種。体色、習性、棲息地ともにヒガシマキバドリに似るが、咽の黄色が頬の上まで広がっている。冬場の群れに両種が混ざる場所では、本種のほうが背面と尾が淡色であることで識別される。囀りはフル−トのような大声。毎分4〜8回。
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キガシラムクドリモドキ YELLOW-HEADED BLACKBIRD
ガマやフトイが生える湿地で地域によっては普通あるいは多数。頭が黄色で体が黒いのは北米では本種のみ。雌と一年目の雄には翼に白い部分がない。ムクドリモドキ類が大群をなしていると、茶色っぽい本種の雌は見落されやすいが、筋模様のない黄色っぽい咽を目印にするとよい。きしむような低い声の囀りは、下がり調子の長いうなり声で終わる。毎分3〜5回。鳴声は、独特の低くしわがれたガ−ガ−声。
ハゴロモガラス RED-WINGED BLACKBIRD
湿地や野原に多数棲息する。雄は肩が赤く、間違える可能性があるのはサンショクハゴロモガラスだけである。雄の幼鳥や雌は、類似する大型のヒメドリ類に比べて、嘴が長く、筋模様が密集している。また、しばしば、肩や咽がかすかに赤味がかっている。飛んだり、餌を採ったり、ねぐらで過ごすときは大群をつくる。囀りは、きしむようなコンカリ− (kong-ka-ree)。毎分4〜9回。
サンショクハゴロモガラス TRICOLORED BLACKBIRD
ガマやフトイが生える所で普通。雄は、ハゴロモガラスより肩の赤が暗色で、縁が白いことで識別される。雌は、ハゴロモガラスより背中が低めで筋模様が不明瞭であり、腹が一様に暗色であることで識別される。囀りは、ハゴロモガラスとは全く異なり、非音楽的で耳ざわりな声。
クロムクドリモドキ RUSTY BLACKBIRD
森林域の沼地に、かなり普通。他のムクドリモドキと共に野原にいることは稀。大きさと形はハゴロモガラスと同じだが、尾がやや長い。成鳥は、目が明色で、下尾筒の縁が錆色で、羽毛がつやつやしていないことで、コウウチョウ(300ペ−ジ)、ハゴロモガラス、あるいは雌のテリムクドリモドキと識別される。他のムクドリモドキより嘴の基部がほっそりしている。若鳥の茶色い目は10月までに黄色っぽくなる。囀りは、きしむような高い声。
テリムクドリモドキ BREWER'S BLACKBIRD
特に西部で、農場、野原、あるいは道端に普通。春の雄は、光線の具合がよいと、明色の目、紫がかった頭の光沢、および緑っぽい体で識別される。2種類のコウウチョウ(300ペ−ジ)とオオクロムクドリモドキと類似することに注意。雌は、目が焦茶色で、冬場は薄い錆色を欠くことで、雌のクロムクドリモドキと識別される。ホシムクドリ(260ペ−ジ)は尾が格段に短い。囀りは柔らかい笛のようなしわがれ声。チャッ(chack) という声は、クロムクドリモドキに似る。
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オナガクロムクドリモドキ GREAT-TAILED GRACKLE
南西部の都市やメスキ−トや湿気のない農耕地に普通。雄(16インチ)は雌(12インチ)より格段に大きく、全長がウオガラス(226ペ−ジ)位のある。ほっそりしたV字形の尾はとても長く、先にむかって広がっている。群れを見ると、大きさと色が雌雄で対照的なので遠距離からでも識別できる。雌雄ともに虹彩は輝くような黄色。雄は、つやつやした紫色で縞はない。雌はオオクロムクドリモドキの雌より茶色っぽい。囀りは、棒をへし折るような音や、笛のような声や、ガラガラ声で、長く、やかましく、変化に富む。
キタオナガクロムクドリモドキ BOAT-TAILED GRACKLE
岸辺や海岸の湿地に普通。フロリダでは内陸の水辺でも普通。棲息域と囀りが、オナガクロムクドリモドキとの最高の識別点。目がくすんだ黄色もしくは茶色で、つやつやした色合は主として青っぽく、求愛動作中の首の膨らみが大きいことが、棲息域が重なるメキシコ湾岸域での雄の識別点である。上がり調子のきしむような声と咽を鳴らすしわがれ声が混じりあう独特な囀りである。
オオクロムクドリモドキ COMMON GRACKLE
農耕地に多数棲息する。常緑樹があればそこに営巣する。竜骨形の尾は長く、先にゆくほど広がっている。コウウチョウやハゴロモガラスやホシムクドリと群れる。虹色に輝く頭は、緑や青や紫に見えることがある。雄の青銅色の背面は、内陸や北方では縞がなく、南部では虹色に輝く縞がある。雌は小さいが、尾は長く竜骨形である。若鳥の目は10月まで茶色い。囀りは、上がり調子のやかましいきしむような声。
コウウチョウ BROWN-HEADED COWBIRD
農耕地に普通。ハゴロモガラスやテリムクドリモドキやオオクロムクドリモドキと、しばしば混群をつくる。嘴は太めで、体は細目で、歩くとき尾を上に傾けることに注目。雌は、鼠色で模様がない。他種の巣に小さな斑点がある卵を産みつける。若鳥は雌に似るが、はっきりしない筋模様が胸にある。若鳥は、育て親に餌をうるさくねだる。囀りは細くてかんだかい笛のような声。
クロコウウチョウ BRONZED COWBIRD
地域によっては農耕地に普通。他のムクドリモドキと群れる。コウウチョウより大きく、嘴は格段に長い。コウウチョウよりテリムクドリモドキ(298ペ−ジ)のほうに似るが、目が赤く、嘴が短めなことで識別される。暗いときは雌雄とも一様に暗色に見える。雌雄とも首の後ろに膨らませられる襟羽がある。囀りは、類似するコウウチョウに比べ、あえぐような声で、一声一声が短い。
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●ムクドリモドキ類(ORIOLES) は、色彩豊かな樹上生活のイクテリッドである。習性、姿、好みの棲息域、巣の構造のどれもが、地上生活を好む同類とは全く異なる。北米産のムクドリモドキは、基本的には同じ模様である。成鳥の雄と殆どの一年目の雄は、胸・腹・腰が部分的に輝くような色彩で、翼・咽・頭の黒と対照的であり、また多くの種は、尾が黒く丸っこい。殆どの雌は互いに類似するので、数種類が出現する南西部では識別が難しい。全種とも、翼の縞が目立ち、嘴は非常に鋭く尖っている。雌のフウキンチョウ類(挿入図)は、嘴が太目で明色であり、尾はV字形。渡りは主に夜だが、早朝、まとまりのない5〜10羽の群れを木のてっぺんにしばしば見かける。
アカクロムクドリモドキ ORCHARD ORIOLE
農薬散布がされていない果樹園や森林の周辺や木陰用の木々に、地域によっては普通。北米では、煉瓦色のムクドリモドキは本種の雄の成鳥のみ。また、南フロリダを除くミシシッピ川の東部地域では、尾が一様に黒いムクドリモドキは本種の雄の成鳥のみ。一年目の雄は黒いよだれかけがくっきりとしている。東部では、オレンジ色っぽい黄色でなく緑っぽい黄色の胸のムクドリモドキは、本種の雌のみ。7月〜8月にかけて早々に南へ渡る。囀りは、笛かフル−トのような旋律的な声で色々と変化に富む。ボルチモアムクドリモドキの短い節まわしとは全く異なる。毎分4〜8回。独特な鳴声は柔らかく低音のチャッ (chuck)。
ズグロムクドリモドキ AUDUBON'S ORIOLE
密生した森や茂みに棲息するが、普通でない。黄色(雄)あるいは緑色がかったオリ−ブ色(雌と若鳥)の背面と黒い頭の組み合わせのムクドリモドキは北米では本種のみ。北米の他のムクドリモドキ類の雄は、背面上部が黒または黒筋模様。雌雄ともに若鳥の頭は8月に黒くなり、翼と尾は2回目の秋に黒くなる。性質が控え目で、木々が密集した場所を好み、あまり囀らないので、大型であるにもかかわらず見つからずに行ってしまうことが多い。柔らかい囀りは、笛のような低い声。
セグロムクドリモドキ SCOTT'S ORIOLE
イトラン、ジョシュア(イトランの一種)、ピンヨンヨン松、あるいはビャクシンが生える南西部に普通。本種の棲息域に、黒と黄色の他のムクドリモドキはいない。尾の模様がハゴロモムシクイ(293ペ−ジ)と同じであることに注目。一年目の雄の咽の黒はくっきりせず、類似のアカクロムクドリモドキやムナグロムクドリモドキ(304ペ−ジ)とは対照的。雌は、これらの2種と酷似するが、嘴が太くまっすぐなこと、背面の筋模様が顕著なことで識別できる。アカクロムクドリモドキより1インチ長い。囀りは、ニシマキバドリ(296ペ−ジ)を連想させる。
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ムナグロムクドリモドキ HOODED ORIOLE
潅木が下に生い茂るヤシの木やポプラや高い木々の生える所で普通。しばしば住宅地でも見られる。雄の成鳥は頭頂が金色で尾が黒いことでオレンジムクドリモドキ以外の他のムクドリモドキと識別される。オレンジムクドリモドキもこのような配色だが本種より大きい。北米のムクドリモドキのなかで嘴の湾曲は最大。一年目の雄はセグロムクドリモドキやアカクロムクドリモドキ(302ペ−ジ)に類似する。雌は、ボルチモアムクドリモドキの雌や幼鳥より緑色っぽく、尾に丸みがある。囀りは、柔らかく、声を震わせて歌い、耳ざわりで金属的な震え声で中断する。鳴声は、上がり調子のスゥイーッ (sweep)。
ボルチモアムクドリモドキ NORTHERN ORIOLE
背の高いニレや他の日陰をつくる木々に普通。そこではペンダントのような深い巣をよく見かける。北米のオレンジ色の他のムクドリモドキは、尾に目盛り模様があり、雄の成鳥の頭頂がオレンジ色である。東部に棲息するボルチモア亜種は、頭の黒と尾の黒いT字模様で識別される。西部に棲息するバロック亜種は、眉線がオレンジ色で、尾には逆T字模様がある。ボルチモア亜種の雌は、通常、腹がオレンジ色っぽい黄色で、背面には筋模様がある。バロック亜種の雌は、腹が灰色で、淡灰色の背面には筋模様がない。グレ−トプレ−ンズでは中間の体色のものが見られる。囀りは、フル−トのような澄んだ声で、単声のときも4〜15種類の変化に富んだ一連の声のときもある。鳴声は、速い、けたたましい声。
オレンジムクドリモドキ ALTAMIRA ORIOLE
テキサス州ブラウンズビルちかくに棲息するが、稀。成鳥は、ムナグロムクドリモドキより大きく、嘴が太く、翼上部の黄色い部分が幅広いことで識別される。雄の若鳥(8月の換羽後)と雌は、ムナグロムクドリモドキよりくすんでいて、翼は暗い灰茶色で、背面は黄色っぽいオリ−ブ色。囀りは、笛のような声を区切って1回もしくはそれ以上鳴く。耳ざわりな声で中断する。
ズアカムクドリモドキ STREAK-BACKED ORIOLE
カリフォルニアやアリゾナに季節を問わず偶然現われることがある。類似するオレンジムクドリモドキより小型で、背面上部には黒筋模様がある。筋模様は雄の成鳥ほど密になる。鳴声は、ボルチモアムクドリモドキに似るが、やや高く速い。
ムナフムクドリモドキ SPOT-BREASTED ORIOLE
フロリダ州デイド郡東部に輸入された。原産地は中米。雌は雄より淡色だが、雌雄ともに胸の側面の黒い斑点、黒い尾、および大きな翼の白で識別される。囀りは、変化に富む大声で、殆どのムクドリモドキより連続的である。
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●フウキンチョウ類(TANAGERS)(ホオジロ科フウキンチョウ亜科)は、輝くような色彩のツグミ大の森の鳥。膨れたような嘴は、ムクドリモドキの細く尖った嘴より太く、イカルの円錐形の嘴より長い。雄は、しばしば木のてっぺんで囀る。卵は3〜5個。
ニシフウキンチョウ WESTERN TANAGER
ベイマツ、トウヒ、マツ、アスペンの森に、かなり普通。雄は、頭や顔が赤く、体が黄色で、翼と尾が黒いことに注目すべし。秋、頭が黄緑色になるが翼と尾は黒いまま。雌と若鳥は、翼の縞、フウキンチョウ特有の形の淡色の嘴、V字形の尾で識別される。囀りは、コマツグミに似るが、しわがれていて、各フレ−ズごとに休止を入れる。鳴声は、上がり調子のピッティッ (pit-ik) またはピッタァリッ (pit-er-ik)。
アカフウキンチョウ SCARLET TANAGER
落葉樹林やオ−クマツ林に普通。体が赤く翼と尾が黒いのは北米では本種だけ。一年目の雄は赤でなくオレンジ色であることもある。7月から8月にかけて緑色っぽい羽が徐々に赤い羽に変わるが、翼の黒はそのまま。雌は、ナツフウキンチョウの雌に比べて嘴が短くて暗色味が強く、体色が黄緑色であることで識別される。囀りは、6〜7フレ−ズの連続的なしわがれ声でコマツグミに似る。毎分、4〜7回。鳴声は、低く抑揚がないキィッバッ (keep-back)。
ナツフウキンチョウ SUMMER TANAGER
南部のオ−クマツ林、あるいは南西部の低地のヤナギやポプラが生える小川沿いに普通。雄の成鳥は冬でも赤い。雄の若鳥は雌に似る。アカフウキンチョウの雌が黄緑色であるのに対して、本種の雌はオレンジ色っぽい黄色で、嘴は黄色っぽく、アカフウキンチョウより長い。囀りは、他のフウキンチョウ同様、コマツグミに似るが、しわがれていない。毎分3〜5回。低く速い鳴声は、下がり調子で、チッキィタッキィタッ (chicky-tucky-tuck)。
レンガフウキンチョウ HEPATIC TANAGER
マツやオ−クが生える標高5000〜7000フィ−トの山の峡谷に棲息するが、普通でない。雄は、嘴と頬が暗色であることでナツフウキンチョウと識別される。雌と若鳥は、翼の白い縞を欠くことで、ニシフウキンチョウやムクドリモドキ類(302ペ−ジ)と識別される。また、頬の部分と嘴が暗色で、チャッ(chuck) という鳴声を何回も繰り返すことで、ナツフウキンチョウと識別される。囀りは、アカフウキンチョウに似るが、やや低音。
シトドフウキンチョウ STRIPE-HEADED TANAGER
西インド諸島から南フロリダを放浪する。雄の頭の縞とアサギアメリカムシクイの模様に注目。体に模様がない雌も、翼の模様は同じ。囀りは、対をなした高音。