空屋あれども貸家なし


熊野に住む知人に住居探しを頼んであるのですがなかなか芳しい連絡が届きません。町内には空家が至るところにあ
るにもかかわらず、なかなか借りることができないのには次のような理由があります。空家の持ち主は家の中の大きな
家具などをそのままにして大阪などの都会へ出ていっています。したがって他人に貸すとなると室内を片付けないとい
けない。それらを収納する場所が必要になるし、家の補修の必要になるかもしれない。また盆正月などに帰省し際に使
うためにはやはり空けておきたいというわけです。しかも常時多くの借り手がいるわけでもなく、家賃の相場もこのあた
りではせいぜい月1万円くらいなので、どうやらその程度の金額のために面倒や不便はご免だということのようです。知
人に聞くと盆正月に帰って来るといっても、ここ数年一度も帰って来たことのない家主のために空いたままになっている
家も数多いということです。また、都会に住む見ず知らずの人に住居を貸した後、トラブルが起こる可能性を心配し出
すとついつい億劫になるというのも解らないではありません。

こうした過疎地特有の住宅問題が都会からの移住というぎりぎりの決断した家族の前に立ちはだかっています。このた
めに結局移住を断念せざるを得なくなったケースも多いということです。こんな状態では、いくら町の活性化といっても
掛け声で終わってしまうと知人は嘆きます。立派な建物を作ったり、大きなイベントを行ったりするだけでは抜本的な解
決には繋がりません。最も大切なものは「人材」であるはずです。町といえどもひとつの組織であると考えれば、理屈は
企業と同じだと思います。変化を生み出したり活性化を図ったりするのは間違えなく人であるはずで、町を出て行く若者
が止まらない中、移住してこようという希少な人を受け入れる仕組みがなければ、町は次第次第に保守化し寂れてい
かざるを得ないでしょう。

私は先日再び熊野を訪れて、知人と一緒に町役場に町長を訪ね、これまで自分がやってきた仕事と移住を決断したい
きさつを説明しました。忙しい町長に直接話す機会が与えられることに、小さい町ならではのことだなと感じました。知
人は本宮町を活性化するための人材を一から養成することには多大の時間とコストがかかること。都会からの移住者
を受け入れるということはこうしたコストの負担なく貴重な人材を確保することのできる有効な手段であること。そのため
に住宅問題が非常に大きな障害になっていると言うことを力説しました。ことは私たち一家だけの問題でないということ
です。

とは言っても私達にとってもこれは大問題です。現在住んでいるマンションは会社名義で借りているので、会社に退職
の意志を伝えるをということは収入を得るすべだけでなく、住居も同時に失う期限を自ら宣言するということです。昨年
末に退職の時期を3月末ということで会社と調整した以上、その日が近づいて来るのに住まいも仕事もが決まらないと
いうのはとても不安なものです。仕事は失業保険を受けるとしても、住居はたちまち困ります。妻と息子といった家族を
抱えているわけですのでどんな所でも良いと言うわけにもいきません。小学校も区切りの良い新学期から転校させてや
りたいとも思います。一日一日と過ぎていくにつれて、家族の誰もその話題に触れないにもかかわらず、私の中には重
苦しい不安が増していきます。


ここはひとつ辛抱して良い知らせを待つしかないの知れません。

どうか私たち一家を受け入れてくれる家が熊野に与えられますように・・・。

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