2001年、良かった小説(戯曲含む)
↓一応、順位。いい意味での印象度が、基準です。
| No. | 本の題名、作者、感想など |
| 1 | 『燃えあがる緑の木』大江健三郎 |
| 大江氏の自伝的小説。自由な筆致のもと、四国の山村でスケールの大きな物語が展開する。人間にとっての「救い」を模索する人々のストーリー。宗教や文学などに対する言及も幅広く、大江氏の思想が快く繰り広げられる。 | |
| 2 | 『深い河』遠藤周作 |
| 遠藤氏のライフワークであった「カトリック思想の日本への順応」の集大成。積極的な「信仰」でないとしても、イエスに対する「信頼」を捨てることはできない…。聖なるもの・聖性についての思索へと誘われる。 | |
| 3 | 『復活』レフ・トルストイ |
| 人間性と背反するロシアの裁判制度や法律の虚偽を告発し、それを通してトルストイの理想とする人生観が表明される。人間の生み出した法制度という欺瞞、それは現代日本にも否応なく通用する。 | |
| 4 | 『ノルウェイの森』村上春樹 |
| 描写の全てが必然性をまとっているという文学的高みの贅沢。ただ、ストーリーには必然性が感じられないが、小説はストーリーではないということがつくづく実感される。 | |
| 5 | 『空の怪物アグイー』大江健三郎 |
| 短編では1位。あまり短編は好きではないのですが、これは良かった。 | |
| 6 | 『万延元年のフットボール』大江健三郎 |
| 上掲「燃えあがる緑の木」と同じ舞台設定。いや、「緑の木」は「万延元年」の続編である。大江文学の「乗越え点」たる作品。吉本ばなな的向日性と異なり、内罰的な自己観念が強い。しかし向日性は、ある。拠って立つ所が違うだけ。会話の妙を堪能できる逸品。 | |
| 7 | 『薔薇と海賊』三島由紀夫(戯曲) |
| 童話のようなラヴストーリー。だって舞台が童話なんだから。愛の秘蹟に関する三島の自作解題も必見。三島って頭いい人だったんだなあ、と改めて唸らされる。 | |
| 8 | 『カラマーゾフの兄弟』ピョートル・ドストエフスキー |
| 悲劇の諸相を描いたわりには、結末があっけない。気楽ですらある。無神論や放蕩への反論は、読み手の各々に与えられる課題なのであろう。 | |
| 9 | 『卍』谷崎潤一郎 |
| 読んでると引き込まれるという点で、かなり恐い。文章は芸術の高み。 | |
| 10 | 『草枕』夏目漱石 |
| ちなみに12月31日に読了しました。小説の使命について、夏目と吉本ばななが接近しているということがわかりました。この文章も、芸術の名を欲しいままに。 |
ちなみに2001年に読んだ本の数は74冊、うち文芸(小説、詩、戯曲)は56冊でした。