2001年、良かった小説(戯曲含む)


 注:普通「2001年良かった小説」と言うと、「2001年に発売された(書かれた)中で、良かった小説」のことなんですが、ここでは私が2001年に読んだ中で良かったものを紹介していきます。なんて私的。詩的ではなく。

 ↓一応、順位。いい意味での印象度が、基準です。

No. 本の題名、作者、感想など
『燃えあがる緑の木』大江健三郎
大江氏の自伝的小説。自由な筆致のもと、四国の山村でスケールの大きな物語が展開する。人間にとっての「救い」を模索する人々のストーリー。宗教や文学などに対する言及も幅広く、大江氏の思想が快く繰り広げられる。
『深い河』遠藤周作
遠藤氏のライフワークであった「カトリック思想の日本への順応」の集大成。積極的な「信仰」でないとしても、イエスに対する「信頼」を捨てることはできない…。聖なるもの・聖性についての思索へと誘われる。
『復活』レフ・トルストイ
人間性と背反するロシアの裁判制度や法律の虚偽を告発し、それを通してトルストイの理想とする人生観が表明される。人間の生み出した法制度という欺瞞、それは現代日本にも否応なく通用する。
『ノルウェイの森』村上春樹
描写の全てが必然性をまとっているという文学的高みの贅沢。ただ、ストーリーには必然性が感じられないが、小説はストーリーではないということがつくづく実感される。
『空の怪物アグイー』大江健三郎
短編では1位。あまり短編は好きではないのですが、これは良かった。
『万延元年のフットボール』大江健三郎
上掲「燃えあがる緑の木」と同じ舞台設定。いや、「緑の木」は「万延元年」の続編である。大江文学の「乗越え点」たる作品。吉本ばなな的向日性と異なり、内罰的な自己観念が強い。しかし向日性は、ある。拠って立つ所が違うだけ。会話の妙を堪能できる逸品。
『薔薇と海賊』三島由紀夫(戯曲)
童話のようなラヴストーリー。だって舞台が童話なんだから。愛の秘蹟に関する三島の自作解題も必見。三島って頭いい人だったんだなあ、と改めて唸らされる。
『カラマーゾフの兄弟』ピョートル・ドストエフスキー
悲劇の諸相を描いたわりには、結末があっけない。気楽ですらある。無神論や放蕩への反論は、読み手の各々に与えられる課題なのであろう。
『卍』谷崎潤一郎
読んでると引き込まれるという点で、かなり恐い。文章は芸術の高み。
10 『草枕』夏目漱石
ちなみに12月31日に読了しました。小説の使命について、夏目と吉本ばななが接近しているということがわかりました。この文章も、芸術の名を欲しいままに。

ちなみに2001年に読んだ本の数は74冊、うち文芸(小説、詩、戯曲)は56冊でした。

表紙へ戻る