王子神谷駅で南北線を降りて地上に出た時には、みぞれ混じりの冷たい雨が降っていた。しかし9時10分のラジオ体操を終えて外に出ると、もう雨は雪に変わっていた。すぐ止むか、あるいは雨に戻るかと思っていたが、雪は次第に勢いを増し、午前中はずっと横殴りの吹雪が続いた。まず芝生の部分が、次に建物の屋根が、最後には道路のアスファルトが、積もっていく雪で白くなり、空を舞う白い雪片と相まって、景色が真っ白のヴェールに包まれた。
仕事納めなので、14時には退社。このまま帰るのはもったいないので、風邪気味にもかかわらず、仕事の作業着を1枚私服の上に厚着して、海に出かけてみた。南北線を後楽園駅で丸の内線に乗り換え、東京駅で京葉線各駅停車に乗り葛西臨海公園駅で下車。帰りのバスの時間を確かめた後、一路、渚橋を渡り葛西海浜公園の砂浜へ。
砂浜に舞う雪はどことなく違和感があり、珍しい光景だった。空から落ちてきた雪が音も無く海水面に消えてゆく。海面からは白い湯気が立ち、これも大気の中に消えてゆく。いつもなら遠くの沖合いに貨物船の姿がいくつか見えるのだが、今日はほとんど視界がきかない。砂にできた凹凸は西向きの斜面が雪で白く覆われている。寒さを忘れて、幻想的な光景にしばし見入っていた。
夜、今度は蔵前橋通りの平井大橋を徒歩で渡った。もう雪は止んでいたが、吹雪に洗われて大気が澄んだおかげで、いつもより星がきれいに見えた。東京では珍しく、ぺガサスとアンドロメダの姿までくっきりと見えた。橋の下を流れる漆黒の川はいつもより水量が多く、流れが激しかった。
橋の上から都心側を見ると、遠くには赤い光を屋上に点灯させているビルの群れが見え、その手前側には住宅地が広がる。逆に千葉側を見るとマンションと団地が並んでいる。橋の下を流れる荒川の川幅の広さと相まって、この光景は東京という都市の特徴的な一面を内容豊かに切り取ったものであるように思う。 |
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