砂金を掘るときには、必ずと言っていいほど重砂(ブラックサンド)が伴います。私もそうですが、それらの砂は砂金採取時のズリとして廃棄してしまうことが多い。重砂イコール砂鉄と考えてしまうせいもあるが、この砂鉱というのが大変奥深い。重砂の筆頭は砂鉄つまり磁鉄鉱そしてチタン鉄鉱であるが、実際調べてみると重砂の中は鉱物のオンパレード、顕微鏡やルーペを使うことで、不思議な世界をかいま見る事が出来ます。また、河川付近の地質を知る大きな手がかりでもある。
最近福島県石川町で採取の折り、ある方から砂鉱の着目についてアドバイスを受け、砂の中から多数の鉱物の結晶を拾い出す楽しさを味わいました。石川町といえば日本でも屈指のペグマタイト鉱物の産地として知られおり、特に希元素鉱物においては日本最大の産地と言っても過言ではありません。
この地域の川からは砂金の他にゼノタイム、モナザイト、コルンブ石等様々な鉱物を見いだすことが出来ました。これらの鉱物には極微量ですがウランやトリウムが含まれていることが多く、ガイガーカウンターを当てるとカウントすることが確認できます。
現在、私の知る範囲で砂鉱としての採集が期待できる代表的ないくつかの鉱物について述べてみたいと思います。
自然金 比重19.3
イリドスミン 比重19〜21
現在、関東近辺で産出が認められるのは長瀞より下流の荒川のみとされているが、最近の情報で宮城県で産出することが判った。報文として信頼性はかなり高いので、いずれ調査に入ってみたいところ。もし、見つかれば地学的価値は相当高い。
磁鉄鉱 比重4.9〜5.2
持って帰った砂金を含む砂を乾かしてから磁石で選別しているが、稀に大きなものがあり、つい心が躍ってしまう。砂鉄といえば実につまらない鉱物というイメージがつきまとうが、でかくて結晶が綺麗なら別格といえる。
チタン鉄鉱 比重4.6〜4.8
ルーペで見ると六角板状、大概磁石には着きません。これも大きければ、別格の値打ちものといえるが、残念ながら、そんな大物には出会ったことがない。
黄鉄鉱 比重4.82〜5.02
海外では愚か者の金というニックネームがあるが自然金の金色と黄鉄鉱の金色は明らかに違うので、パンニング中にだまされることは全くない。少しドキッとすることもあるが。特に茨城で砂金掘りをしていると稀に素晴らしい美品が伴っていることがあり、砂金以上に魅力を感じることすらある。
さて、これは砂鉱と言えるのか判りませんが、奈良県針道は超有名な黄鉄鉱産地である、ここの沢筋から絹雲母の粘土を袋詰めにして持って帰り、川でざるを使い粘土を洗うと、煌めきの強い黄鉄鉱の結晶が多量に採れる。ここのものは光沢が良い完全結晶で本当に芸術品といってもよいものです。実はありふれたものほど奥が深いということを痛感させられます。
金雲母
黄鉄鉱以上に紛らわしいのはこれ。海外では猫の金というニックネームを持つ。私も何度ぬか喜びさせられたことか。こんな軽い鉱物にだまされるのも不思議な話だが、あの白みを帯びた上品な煌めきは、本当にまぎらわしい。にくいぞ!金雲母。
ジルコン 比重4.67
割とありふれていて多くの場所で確認できます。変種も多く苗木石、恵那石というのもジルコンの一種である。大概棒状の結晶ですが、色は無色、褐色、桃色と実に多彩だ。荒川のジルコンは褐色だが、多摩川のジルコンは桃色で数も非常に多い。ジルコンの色は岩石の年代と密接な関係があり、着目すると以外と面白い鉱物だと言える。
トパーズ 比重3.56
言わずと知れた宝石鉱物で、コレクターの間でも人気者です。屈折率が高いためダイヤのような煌めきがあり非常に魅力的です。岐阜県中津川市、蛭川村の川でパンニングするとよく見つかります。大概の場合砂鉱に錫石を伴う。トパーズと錫は親和性があるらしい。このような関係は茨城の高取鉱山、滋賀の田上でも見られます。
また、田上下流域では、トパーズや砂金が結構採れたようだが現在の状況は知らない。
錫石 比重7.00
何年か前、滋賀県大津市の田上新免でパンニングをして多量に採れることに驚いたことがあります。錫石には、川ズレが少ないと強い煌めきがあり鉱物愛好家の間では人気の高い金属鉱物の一つです。
ここでは他に細かいモナザイトも多く混じっていました。なお、私は未確認ですがトパーズや砂金を採集された方もいるようです。
コランダム 比重4
よく、スリランカなんかでは漂砂鉱床で採取される宝石鉱物ですが、残念ながら日本には、そんなゴージャスなものは採れません。福島県石川町では砂金採取の時、赤紫色のコランダムが採れ、戦前は標本もあったと言うことです。(よくあることですが標本は戦時中失われてしまったらしい)他の産地として、奈良県二上山麓の川で多量の石榴石に混じり小量採れます。また、ここでは漂砂の中から自然金が取れた記録もあるが相当稀なようだ。
2008年5月に山の斜面から土砂を採取し自宅で淘汰をした。多量の灰ばん石榴石?に伴い細かいコランダムを多数入手したが最後に黒砂に混じり細かいながら多くの砂金が確認でき、たいへん驚かされた。砂金に付随する重砂としては面白い組み合わせである。
石榴石 比重4.31
珍しいようでありふれた鉱物、荒川水系でパンニングすると必ず皿に残っている。色は褐色から灰緑色まで色々とある。
また、三峰より上流では、細かい砂金が数多く採れるところには石榴石が多いので、砂金採取の指標にすることが出来る。
また最近、砂金調査をした福島県石川町も捨てがたい。ほとんどは破片で産出するが血赤色透明であり、まるで宝石のように美しい。
2005年久慈川本流でパンニング中、桃色〜赤色の1ミリくらいの美しい石榴石を確認した。追跡をしていく矢祭の支流域でも多数確認することが出来た。果たしてこれは何処から供給できるのか?やはり重砂は面白い。
コルンバイト 比重7〜8
コルンブ石の方が一般的な呼び名ですね。福島県石川町や茨城県山ノ尾のペクマタイト鉱山のズリや沢の砂をパンニングすると黒光りする板状結晶として確認できる。産地によってガイカーカウンタがよく反応するものとさほどでないものがある。
モナザイト 比重4.6〜5.4
私が初めてこの鉱物を目にしたのは、滋賀県の田上新免でパンニングをしたときです。パンの中にごっそり入った錫の中に細かいが数多く確認できました。
そういえば、この鉱物、一時期ニュースで騒がれましたね。しかし、この程度のもの幾ら集めても核兵器の原料にはなりません。モナザイトには微量なウランやトリウムが含まれていることが多く、人口のラドン温泉などはこの鉱物が原料として使われています。
ゼノタイム 比重4〜5
結晶形の面白い鉱物、ガイガーカウンターにも良く反応します。福島県石川町で、ベテランの方に教わり、初めて自分の手で採りました。
サマルスカイト 比重5.3〜6.0
福島県石川町調査の折り、パンニング中に光沢の良い黒い結晶を見つけた。最初はコルンバイトかと思ったが、同好のベテランの方に判断を仰ぐと、コルンバイトとは質感が違うという。サマルスカイトだと思うとのこと。言われたとおり帰宅後ガイガーカウンターでカウントさせるとカリカリ音をたてながら景気よく数字をカウントしていく様に、なんだかえらく感動してしまった。
辰砂 比重8.06
水銀の原料になる鉱物、愛知県津具鉱山付近でパンニングすると、砂金と共にパンの底に残り真っ赤になっています。
なお、津具では、パンニングで輝安鉱も採れますが、硬度の低いこの鉱物が川砂から採れるのは、津具くらいだろう。
瑪瑙 比重2.55〜2.63
瑪瑙は、茨城県久慈川本流や大宮町でパンニング中良く拾えます。色は白色が大部分を占める。時々、鮮やかなオレンジ色のものもあり楽しい。
今後も気が付き次第追加する予定です
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