ゼファー日記7
千早赤阪村・金剛山
★2002年11月11日(月)・・・・・・・・・走行距離・92キロ
突然の寒波に冬装備が間に合わない上に、風邪を引いてしまい、二週間程どこへも行けずに、『ベストライディングの探究』を読みながら、駐輪場でバイクに跨がる毎日にも飽き、久し振りの小春日和にいそいそと出掛ける準備。バイク用に購入したラム製の皮ジャンに、牛革の手袋。下着も上下冬用に衣替え。山登りが一時間程あるので、足元はいつものGパン。そうそう、首も赤チャン用腹巻で守ります。
チョットばかり足元に寒さを感じながらも、爽快に走り出す。久し振りに大型車に囲まれてしばらく不安感に包まれるが、5分もすれば忘れてしまい、この二週間バイクに跨がって練習してきた乗り方を、一つ一つ検証してみる。市街地を出る迄に判った事は、なかなか身体に馴染まない。意識してやらないと、忘れてしまう。教習所で始めから教えてくれればいいのに・・・・・・考えて見れば、教習所では正しい乗り方を教えてはくれない。他にも、給油所への入り方や出方、駐車場での停め方、信号待ちの仕方、フューエルタップのやり方、・・・・・笑い事の様なものだが、いざ本番、実施となると、いつでも本には無い状況だ。この日も、フューエルタップを回すのが先か、ガスステーションが先か、迷いながら目盛りを見て走っていた。皆は信号待ちでフューエルタップを回すのかな?
そんなこんなで走っていたら、通い慣れた市街地脱出の左折を見逃してしまい、15分程遠回りをして、千早赤坂村に着く。九十九折りの道は、秋模様の景色に包まれ、匂い迄が秋本番、畑焼きの煙が漂っている。待ち焦がれた紅葉が、家でヌクヌクしているうちに確実に色づいていた。黄金色とは言えないが、秋色の銀杏の木が指示機となって、頂上へと案内する。少しばかり肌寒い空気も、温められたバイクに守られて、バリケード前の駐車場に入る。そこから登る事5分でロープウェイ千早駅となる。
村営のロープウェイは、全長1,323m、標高差267mで、約6分で標高1,000mの金剛山駅に着く。木々は杉やブナばかりで、紅葉は下界に見えるだけ。時々見える登山道も、険しいばかりでつまらなそう。と思っていると、白い物が時々見え隠れする。万年雪?まさか、この高さで・・・・・・皆のガヤガヤに切符切りの女性が、『一昨日降った雪が頂上では10センチにもなりまして・・・・』と説明するが、この雪は、日溜まりの中で溶けて、遊歩道を泥濘に変えていた。
金剛山駅には、同じく村営の宿<香楠荘>があり、500円で登山の汗を流せる事が売り物になっていたが、露天でも無いので諦めて、登山一本に絞る。山頂迄25分が売り物、少し頑張れば、13時発に間に合うだろうと、木々に囲まれた遊歩道を歩き出す。車が通るのか小型車の轍が蒲鉾状にした遊歩道を、雪解け水がジワジワと流れていく。防水のライディングシューズがありがたい。かなり急勾配の山道を、持ち込みのジュースに口を潤しながら、一歩一歩踏みしめて登って行く。残り雪があるのに、皮ジャンが段々暑くなってくる。
『ここより50m・きつい坂道が・続きます』と、標識が出る。嬉しい様な、悲しい様な、ナントも言えない気持ちに包まれる。ほとんど地面との格闘に近い歩き方で、這う様に登る坂道がいつまでも続くので、皮ジャンを脱いで手に持つ。挨拶を交わす下山の人々も皆、上着を腰に縛りつけて、下りてくる。バイクの服装と、ハイキングの服装とは相いれないものがある。バイクを下りる時、服装の見直しが必要だが、またまた悩みが増える事になる。
『お疲れさま・きつい坂道は終わりました・もう後は楽です』と、標識が出て、平坦な道が鳥居へと続く。樹齢約500年の<仁王杉>が千古の杉を従えお供に迎えてくれる。だが、この参道、少しばかり天を目指して傾いていて、『きつい坂道』に似ている。雪解け水が洗い清めてくれる人工の石畳を曲がり切ると、『この上、山頂・葛木神社』の標識があり、手すりを持たずには登れそうも無い石段が待ち構える。更に、シャーベットのお飾り付きである。冬場にはアイゼン着用としているだけある金剛山、スニーカーでは無理だったろう。雪が判るかな?
大阪府下最高峰を誇り、冬の樹氷で有名な金剛山、標高1,125mの頂きにある葛木神社、参拝作法が書いてある大社造りの本殿に参る。

隣には、役の行者創建の転法輪寺があるが、樹齢約350年の枝垂れ桜の春を楽しみに取っておく。急いで下りないと、13時発に間に合わない。上りの時に挨拶を交わした人々を抜きながら展望台へ、そこから近道の階段を一気に駅迄転げ落ちる様に下る。駅の屋根が見え、ホッとしたのも束の間、『今から、改札を始めます』の放送が聞こえてくる。汗まみれのまま、転がり込む様に乗り込み、ケーブルは出発する。『15日から40日掛けてロープの交換をする』と、張り紙がボックスの中にある。来る時には無かったのか、気がつかなかったのか、ようするに、切れる前に交換するわけだろう、考えてみれば不安である。風による揺れも一段と気になりだす。ついつい視線が下界に向けられ、真っ盛りの紅葉がまるで地獄の炎の様に赤々と揺らいでいる。汗も引く、長い6分間だった。
バイクと紅葉を一緒に撮影したいと思いながら、青空と紅葉が交互に繰り返すワインディングロードを、右に左に下りていく。紅葉は、真っ赤あり、黄色あり、黄緑あり、地面は西陣織の帯の様に続いていく。ここぞと思う撮影ポイントは、ロープを張って臨時有料駐車場になっているか、見通しの悪い曲がり角、次こそ次こそと思いつつ、道は終わる。
いつもの都会の渋滞を帰路につく。暑くなってきたので、皮ジャンの前を少し開けるが、走れば風は冷たい。服装の難しさはいつもの事と諦めるが、首筋の赤チャン用の腹巻が無性に熱い。脱ぐには、ヘルメットが邪魔になる。マフラーの方が便利かな、これも次回の課題である。
課題だけが増えていき、山盛りになっていくのが、私のツーリングであるわけだが、今日は一つだけ、ほんのチョットだけ、クリアかな。念願のスリ抜けを家迄の直線3キロ、前を行く250ccに着いて走り抜く。この渋滞抜けは、原付以来だが、ありがたいものだ。