○ かずさDNA研究所がバイオ燃料植物(ナンヨウアブラギリ)のゲノム解読に世界で初めて成功
( 出典 ; 千葉県商工労働部産業振興課 平成22年12月10日 報道発表資料 )
県が支援している(財)かずさDNA研究所が、大阪大学、国立遺伝学研究所、日本植物燃料(株)等と共同で、ナンヨウアブラギリ(ヤトロファとも呼ばれる)の全ゲノム(※)の解読に世界で初めて成功しました。
ナンヨウアブラギリは、食糧の生産と競合せず、良質な脂質を生産し、劣悪な環境でも生育できるバイオ燃料植物として、多くの国で栽培されています。
今回の研究成果を活用して、ナンヨウアブラギリの優れた性質のメカニズムの解明により、荒地の緑化やバイオ燃料の効率的な生産につながることで、将来の地球環境やエネルギー問題にも大きく貢献することが期待されます。
1.研究成果の意義
(1)環境・エネルギー問題の解決への貢献
ナンヨウアブラギリがもつ、「半乾燥地域でも生育できる」、「ほぼメンテナンスフリーで50年間実をつけ続ける」、「種子に多くの良質の油を持つ」といった環境耐性や油脂生産などの優れた性質のメカニズムの解明に貢献。
メカニズムの解明が進むことにより、今後、「砂漠などの劣悪な環境で生育できる品種」や、「燃料に精製しやすい脂質を生産する品種」の生育が加速され、荒地の緑化やバイオ燃料の効率的な生産につながることが期待される。
(2)千葉県、さらには我が国のゲノム研究のプレゼンスの向上
世界各国の大学・研究機関が競ってナンヨウアブラギリのゲノムの解読を進めてきた中で、世界に先駆けて解読し、結果を公開することによって、作物ゲノム研究における千葉県、さらには日本のプレゼンスが高まり、有用遺伝子や作物分子育種に関する最新の情報が集積することが期待される。
2.研究成果の概要
(1)世界で初めて、ナンヨウアブラギリゲノムの2億8,350万塩基の配列を決定した。
(2)ナンヨウアブラギリは、干ばつや病害に強く通常の作物の栽培に適さない環境でも生育するが、今回得られた配列中に、こうした特性に関わるものなど、全遺伝子の約95%に相当する40,929の遺伝子の構造を解明した。
(3)ナンヨウアブラギリの各品種の遺伝的な多様性の解明と品種改良に必要なDNAマーカー(※)を多数開発した。
3.研究成果の公開
今回得られたゲノム塩基配列情報および遺伝子の情報は、12月13日に国際科学雑誌「DNA Research」のオンライン版、およびかずさDNA研究所が運営するデータベース[http://www.kazusa.or.jp/jatropha/]から国内外の研究者に向けて公開されます。
<用語解説>
ゲノム
"gene(遺伝子)"と集合をあらわす"-ome"を組み合わせた言葉で、生物のもつ遺伝子(遺伝情報)の全体を指す言葉。
DNAマーカー
個体や品種間での塩基配列のわずかな差を利用したDNA上の番地。ヒトの個人判定などに利用されるが、遺伝子の目印としても使えるため、有用遺伝子の単離や交雑育種のスピードを上げるために用いられる。
ナンヨウアブラギリ
中南米原産のトウダイグサ科の落葉低木で、最低気温11℃以上の熱帯、亜熱帯に広く分布しており、油の生産効率ではアブラヤシに次いで2番目に高いと言われている。
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