○ 晩成社 依田勉三 織田完之を訪う
( 出典:「十勝開拓史」萩原 實 編 昭和五十年七月二十六日 名著出版発行 )
第一章 明治二十六年誌
二月十五日 晴風。 朝六時余 神田猿楽町織田完之氏を訪い 二宮氏の遺書一見を頼み, 去って平川町馬場氏を訪い 夫より三田農具製作所を観、 慶應義塾を訪い 芝を通り牡蠣飯(かきめし)を食し 現助町に薬を求め、 農商務省に寄り 二宮翁の書(日光御神領村々荒地起返方仕法賃金一両積鍬下十ヵ年季雛形)一冊を読み 一時半を費し、 去って 玉屋より時計を受取り 本を買い 帰宿し 荷物を纏め 本港町に行き帰り 六時兄帰る。 夜寄席に往く。
(杉浦補注) 本書 「十勝開拓史」は、萩原 實 著 『北海道晩成社 十勝開発史』 (昭和四十九年名著出版社復刊)の後をうけて、明治二十六年から十年間の勉三翁の日誌の紹介である。
帰郷中の晩成社副社長の依田勉三が早朝織田完之宅を訪れたこの時期は、完之はすでに農商務省を引退した直後(あるいは引退する直前)の時期と見られる。 この日、勉三は農商務省で二宮翁の書を精読しているが、これには完之の奨めと紹介があったものと推測される。