○ 老舗の極意
( 出典 ; 平成20年6月17日 朝日新聞(夕刊) 窓 論説委員室から )
老舗(しにせ)と呼ばれる長寿(ちょうじゅ)企業は、経営の指針としてどんなことを考えているのだろうか。 漢字1字でたずねたら、「 信 」という答えが最も多かった。
信用調査会社の帝国(ていこく)データバンクが明治末年(1912年)以前に創業した4千社を対象に調べ、814社から回答を得た結果だ。
東京・市谷(いちがや)の防衛省向かいにある同社史料館で29日まで特別展「 老舗ー温故知新(おんこちしん)− 」が開かれている。 この中で紹介するために調べてみたという。
「 信 」と答えたのは回答全体の24%。 以下、誠、継、心、真、和、変、新、忍、質という順になった。
一方、「 社風を1字で表すと? 」という問いでは、「 和 」が最多で19%だった。 以下、信、誠、真、心、進、明、堅、温、笑の順。
企業が長生きして老舗になるには、顧客(こきゃく)、取引先、従業員、株主などさまざまな関係者の利害が長期的に釣り合うような道を歩んでいかなければならない。 信も和も、利害関係者の心の調和を示す言葉なのは偶然(ぐうぜん)ではあるまい。
欧米流の資本主義では、目先の利益を極大(きゅくだい)にすることが求められる。 グローバルな投資が拡大すればするほど、このような圧力はさらに強まる。
しかし、地球環境(かんきょう)の制約などを考えれば、そこに自(おの)ずとブレーキを踏(ふ)ませる理念が必要になっている。 老舗を多く生み出したこのような日本の知恵は、世界からもっと学ばれていい。 (川戸和史)
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