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Faborite Books


星の王子さま

サン=デグジュぺリ 作
内藤 濯訳
岩波少年文庫

 この本に出会ったのは中学生の頃。担任の先生が薦めていた本で、最初はそれほど興味が湧かなかったのだけど、親が自分で読んでみたいと思って買ってきたので、せっかくだから読んでみようと手にしてみると、たちまち引き込まれてあっという間に読んでしまいました。そして今でも時々手にとってみる大切な本です。
 作者によるとこの本は、『子どもだった頃のおとな』のために書いたそうですが、まだ子どもだった頃にこの本に出会えてよかったと思っています。多分、今初めてこの本を読んだとしたら自分自身で純粋に感動するより先に、「これを子どもにも読ませてあげたい」とか、「子どもだった時に読みたかったな」って思ってしまうと思うからです。でもだからといって、大人になってから読んでも意味がないとは思いません。純粋な気持ちを思い出させてくれる素適な本です。まだ読んだ事のない人には、ぜひ読んで欲しい一冊です。
 あと、これはフランスに旅行に行った時に初めて知ったのですが、サン=デグジュぺリはフランスの紙幣の肖像画になっていました。(今はもうユーロになってしまったけど・・・)

沈黙

遠藤周作 著
新潮文庫

 自分はカトリック信者でありながら、中学生になったくらいから復活祭やクリスマス以外はほとんど教会に行っていない。部活やバイトで忙しかったということもあるけれど、大切なのは教会に行くことではなくてもっと別なところにあるような気がしているからなのだと思う。教会に行ったときに見るほかの信者と映画などで見る欧米の信者の行動や考え方はどこか違っている気がして、でもそのどちらにもなんとなく違和感を覚えているし、そもそも教会に行くことの意義自体がよくわからない。だけどそれでもどこかに神様はいるような気がして、時々ふとお祈りをしに行きたくもなる。それはある意味、幼児洗礼を受けた信者の宿命なのかもしれない。
 そんなことを思っているときにこの本に出会い、なんとなく答えが見えたような気がした。信者が読むのと信者以外の人が読むのとでは、たぶん印象はぜんぜん違っているのだろうなって思うけれど、自分に少なからず影響を与えてくれた本であることは確かだと思います。人間と神様の関係や、色々な宗教問題を考える上でも参考になる本だし、単純に物語として読んでもとてもドラマッチックで面白いので、キリスト教でない人にもおすすめです。
 神様がいるのなら、どうして人が苦しんでいる時に助けてくれないのか。その理由を知りたい人はぜひ読んでみてください。

掌の小説

川端康成 著
新潮文庫

 高校生の頃、自分は理系の道に進むか文系の道に進むか悩んだ。もともと理系の科目の方が好きだったので理系に進むつもりではいたのだけど国語の先生によって、文学の世界の複雑さと面白さを教えられたからだ。そもそも文系と理系のどちらかを選ばなければならないことに疑問も感じていた。
 結局、理系の道を進む事になったのだけど、文系的な視点も知っておきたいと思った。そこで、とりあえず日本文学の代表的な作家の本を読んでみようと思い、まずは国語の先生が好んでいた芥川龍之介をいくつか読んでみた(文系=本を読むと思っていた)。古典を題材にしたものが多かったけどわりと読みやすく、意外と本読むの好きなのかもと思わせてくれた。それなら一気にノーベル賞受賞作家の本をと思い、川端康成を読んでみた。「雪国」、続いて「伊豆の踊子」。きれいな文章だなっていう印象はあったけど、彼が何を書きたかったのか全然わからなかった。なんだか悔しかったので、もう少し読んでみようと思い手にしたのが、この「掌の小説」という本だった。
 「掌の小説」には111もの短編が収められている。短編小説は、詩の世界の俳句のようによけいなものが出来る限り取り除かれていて、川端康成という人の様々な世界を簡潔に、かつ直接的に感じる事が出来たような気がした。文学の世界における一つの頂点をまじまじと見せ付けられた感じがして、素直に理系の道に進もうと思わせてくれた作品であったようにも思う。
 このような文学作品を、まだ感受性豊かで時間もたくさんあった高校生の頃に読んでおくことが出来てよかったと思う。今読もうと思っても、他に読むべき本ややらなければならない事が色々あって、ゆっくりと心を落ち着かせて読むのが難しいと思うからだ。「今のうちにこういう本を読んでおけ」と言ってくれた高校の頃の国語の先生に感謝している。

 おすすめの本というよりは、ただの感想文になってしまいましたが、たくさんの美しい文章が収められている本なので、きっと自分にぴったりくるような小説を見つけられるはずです。一つ一つがすごく短くて、地下鉄などの移動中に読むのにも適しているので、そういう点でもお勧めの本です。


百万回のコンチクショー

野口 健
集英社

 野口健は、25歳で7大陸の世界最高峰最年少登頂記録樹立した現役のアルピニストだ。この本には、その偉業を達成するまでの過程と、今もなお新たな夢を描きそれに向かって挑戦しつづけている姿が本人の手によって書き綴られている。読んでいると、間違っていると思うことに正面から立ち向かっていく勇気や、自分一人ではどうしようもない事でも周りの人を説得して協力してもらいながら成し遂げてしまう彼の行動力に圧倒されてしまう。その原動力を彼は『怒り』だと言っているが、そのエネルギーを全てプラスの力に変えられるのは彼の類まれな正義感の強さがあってこそだと思います。そんな正義感を持った人が世の中にいることを知って、なんだかとても嬉しくなりました。

人間の土地

サン=デグジュペリ
堀口 大學訳
新潮文庫

 この本は、サン=デグジュペリが職業飛行家としての豊富な体験の思い出を伝えたエッセイ風の小説である。『夜間飛行』や『南方郵便記』と同様に、言葉遣いや表現の仕方が難しく、一読しただけではなかなか読み取ることの難しい本ではあるけれど、その一つ一つのエピソードの中に人間として忘れてはいけないような大切なことが散りばめられていて、『星の王子さま』を読んだだけでは解らなかった、サン=デグジュペリの根底にある思想みたいなものが感じ取れたような気がする。人間はいかに生きるべきなのか、本当に大切なものはなんなのか、極限の状態に陥った時に人は何を思うのか、そんな人間の本然みたいなものを教えてくれる本です。
 ちなみに、この本のカバー装画とあとがきは宮崎駿が担当しています。サン=デグジュペリも宮崎駿もどちらも自分の尊敬する人であり,そういう意味でもお気に入りの本です。

風の谷のナウシカ(1〜7)

宮崎駿
徳間書店

 映画『風の谷のナウシカ』の原作。『〜ナウシカ』はもともと宮崎映画の中でも1、2番を争うほど好きな映画だったのだけど、高校の時に初めてこれを読んだときは本当に衝撃的だった。映画の背景となっている壮大な世界が全て描かれていて、これを読むことで初めて映画の『〜ナウシカ』の本当の良さがわかったような気がした。自然環境や宗教問題、戦争と平和から人の生き方についてまで、さまざまな哲学的な要素も盛り込まれていて、少々読みづらいところもあるのだけど、本当に面白い、というか色んなことを考えさせられる本です。
 実は映画での話は2冊目くらいで終わってしまい、その先にはまだまだ続きがある。映画の中には収まりきらなかったことが力強く絵がかれているので、読んだことのない人にはぜひお勧めです。

センス・オブ・ワンダー

レイチェル・カーソン 著
上遠 恵子 訳
  新潮社

 「歴史を変えることができた数少ない本の一冊」と呼ばれる本がある。この本の作者,レイチェル・カーソンが書いた『沈黙の春』という本だ。環境の汚染と破壊の実態を、世に先駆けて告発した本で、発表当時おきな反響を引き起こし、世界中で農薬の使用を制限する法律の制定を促すと同時に、地球環境への人々の発想を大きく変えるきっかけとなった本らしい。その本は既に読んだのだけど、もう結構古い本なので、当時は驚愕だったのかもしれないけれど今はもう当然といったようなことが多く、それほど感動は覚えなかった。むしろ、そんなひどい時代があったのかと思った程度であった。
 この、『センス・オブ・ワンダー』は、そんなレイチェル・カーソンの遺作とも言える作品であり、タイトルどおり、『センス・オブ・ワンダー(神秘さや不思議さに目を見はる感性』の大切さを訴えている。子供が持つ澄み切った洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものに対する直感的な感性は、大人になるとやってくる倦怠と幻滅、自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることに対する解毒剤となると言っている。サン・デグジュペリが『星の王子さま』を通して伝えようとした「大切なもの」の見つけ方や守り方を、この本がわかりやすく教えてくれているような、そんな気がする本だった。
 綺麗な写真がたくさん載っていて、薄く小さなすぐに読み終わってしまうような本だけど、なんだか色んなことを教えてくれるような本でした。

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