2002.4.6 剪宇峠 二人
先週の宇峠とは貞光川を挟んだ剪宇峠(860m)
穴吹側から一字村への明治時代の東のメインルート。
今回(4月6日)は、剪宇峠から稜線を南へ上がり、檜の丸(1186m)を歩くことに。
R438岩戸橋を渡り、剪宇集落へ。
標高690mの薬師堂より更に舗装路は上へ延びている。
工事中の人に聞けば「何日かは剪宇峠まで伸びる」とのこと。
峰越林道・岩倉林道でも同じであったが、
地元の唯一の産業=公共事業を考えると複雑な思いがする。
薬師堂脇に車を止め、峠を目指す。
足下にスミレ・タンポポが咲き、モンキチョウが飛び舞う峠路を進めば直ぐに杉林。
30分ほどで峠へ。宇峠とは異なり200u程の広場となっている。
嘉永三年三月と刻まれた石灯籠と、二方を直径1m以上の2本杉と3本杉に守られた石造りの祠の中に赤い袈裟を纏った二体の石の大師像が祭られている。
反対側には直径数mの巨大な杉が立ち、苔むした根元に小さなお地蔵さんと手水鉢が。
往時は、通行する人たちを見守っていたことだろう。
杉の根元でコーヒーを沸かし遅い朝食を摂り、檜の丸を目指す。
最初は100m程急坂を上がり、稜線通しに進む。
やがて、満開のタムシバ(コブシ?)が点在するようになり、
あちこちに白い花びらが落ちている。 
途中の1078m峰までは広い稜線を進むが、その後は道が悪くなる。
痩せた岩尾根や、巨大な岩を巻く巻路もあり、両側の展望も効かない。
登山道上には動物の糞が所々にあり、皮を囓られた木がポツポツと出始める。
やがてなだらかになり、突然青いトタン屋根の祠の「檜の丸大権現」につく。
祠の中には、30p程の錆びた鉄の鳥居が一緒に祭られている。
祠は周りの木に針金で支えられているが、何故か左前の柱が宙に浮いているので
周りの石を使って支えを作り安定させた。
ここからは左へカーブし少し下がると一字村側の伐採跡の上に出る。
正面にスキー場に無惨に刈り取られた塔の丸、右横には先週歩いた宇峠から志貴岳、津志岳が。
タラの木の群生地の脇を歩き、20分ほどで檜の丸ピークへ到着。峠より2時間30分を要す。
13時20分、今日は、冷や奴&燗酒を用意している為、展望が効く所で昼食にしようと引き返す。
檜の丸大権現を過ぎ、往路は巻路を歩いた急な下りにも踏跡があったため、念のため付けていた赤テープを回収し難なく下る。
次の巻路の所も急坂の中の踏み跡を追い簡単に下る。
が、歩いて来た岩尾根が出てこない。
先ほどの踏み跡で巻いたのだろうか?
やや下ると、記憶にない巨大な岩の上へ出る。
直には下れないので、右手を巻こうと急斜面をトラバースするが踏跡らしき物は無い。
地図を開き、磁石で確認するが頭の中にある方角と、磁針が90度ずれている。
磁石が壊れているのかな?樹林の中で視界が効かないため現在位置が不明。
最悪のパターンである。足下に、蕾を付けたエンレイソウ・ヤマシャクヤクが点在しているがそれどころではない。
とにかく、巨岩を巻き左手頭上に見える稜線を目指すことにする。
時刻は15時を過ぎ、雨がポツポツと降りしてきたため、早めに合羽を着用する。
斜上しているうちに、杉林の中に作業小屋が出現。
周りに踏み跡がないか探すが見あたらない。
小屋の先の方へ行くと樹林越しに大宋らしき集落が見え隠れ。
でも方角が変。本当に一字村側なのかな?
尾根へ戻ると幸運にも踏み跡と、赤い境界杭を発見。
再度、地図を開き磁石で確認するが現在地がはっきりしない。
北へ進まなければいけないはずが、尾根は西を向いている。
最悪は作業小屋で一夜を明かすつもりで目印の赤テープを付け、
少し境界杭沿いに下ってみることにする。
しばらく進む内に踏み跡も消えるが、境界杭は下方へ続いている。
やがて境界杭が消え、再度踏み跡が現れ樹林越しに前下方の山肌に林道が見え隠れ。一字村側へ下っているのには間違いなさそう(???)
雑木林の急斜面を木に掴まりながら滑り下りる内にまたしても岩の上に。
右手に巻けそうなのでトラバースすると沢筋にコンクリート製の排水路が現れる。
ラッキー!!!
排水路沿いにしばらく下り林道へ飛び出る。時刻16時10分。
横殴りの雨に変わってきた林道を30分ほど歩くと、記憶にある剪宇の集落が前方の斜面に見え始める。
林道の合流点の散り掛けている桜の下にザックをデポし15分ほど登り返し、17寺20分車へ戻る。
車の中で再度地図を確認すると、2度目の巻路で左手へ延びる尾根へ迷い込み、樹林帯でUターンして標高差350mを下った様子。
地図と磁石で何度も確認しているが、「北へ延びる尾根」にいる筈の先入観で、「西へ延びる尾根」ではない、と思い込む異常心理状態。
こういうことが重なって「道に迷う」ことを恥ずかしながら身をもって体験。
途中で展望が出たりしたため下降を続けるというセオリーに反した行動を採ったが、「自分が常に何処にいるか」の確認の重要性を再認識した一日だった。
珍しく、男湯女湯共に貸し切り状態の岩戸温泉に飛び込み体力的・精神的疲れを取り除き、激しい雨の中を帰途に付く。