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時は天保世は泰平。天下の台所大坂に御店を構える料亭「末尋屋」。八代続いたその老舗で、向こう板を務める「捨て吉」という名の若者が居ったそうな。 まじめで働き者の捨て吉は御店の人々に目をかけられ、「末尋屋」の主人なども、 その捨て吉が胸に秘めたるは「いつか修行の旅に出たい」という想い。 しかし、想い遂げんとすれば、長く御店を空けることになってしまう。つねひごろかわい そんなある日、とうとう捨て吉は意を決し、女将さんに出立の許しを請うた。 「私を旅へ遣ってください。幾年掛かるか分かりませんが、一つ道を究めて、きっとこの末尋屋に帰ってきますから」 行く先定めぬ精進の旅。 しかし、一心にひとつ道を究めんとする強い決意を知り、女将は捨て吉を笑顔で見送る |